【レビュー】人気コメディ『それいけ!ゴールドバーグ家』のスピンオフ『Schooled』 元問題児のレイニーが母校で音楽教師に!

米ABCで放送中のコメディ番組『Schooled(原題)』は、2013年から6シーズン続く人気シチュエーション・コメディ『それいけ!ゴールドバーグ家』のスピンオフ作品。本編で主人公一家の一員だったレイニーが、新任の音楽教師として独り立ちする。

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♦︎ロックスター志望から音楽教師へ
オリジナルシリーズから数年後の世界を描く本作は、成長したレイニー(AJ・ミシャルカ)が主人公だ。ロックスターを夢見るも挫折した彼女は、私立学校で音楽教師としてのキャリアを歩み始める。学生時代の彼女を知る校長(ティム・メドウス)は採用に乗り気でなかったものの、レイニーの豪胆な母・ビバリー(ウェンディ・マクレンドン=コーヴィ)の脅迫めいたネジ込みが功を奏し、職を得ることに成功。授業では校長の姪っ子であるフェリシア(レイチェル・クロウ)と衝突するが、徐々に生徒たちの信頼を勝ち取ってゆく。

本編から続投となるリック(ブライアン・カレン)は、同じ高校のバスケットボールチームのコーチ役。その指導方法は流行のプレイスタイルに追い付いていない模様で、「マイケル・ジョーダンになりたい」と言い出すスター選手のマット(ハンター・ドーハン)に手を焼いている。意見の対立した二人はバスケで勝負するが、何故かこれをきっかけにアメフトに目覚めたマットは、NFLへの道を目指すようになり......。

♦︎問題児vs.「元」問題児
大手放送局ABCのゴールデンタイムを飾るコメディだけあって、『Schooled』の贈る30分間は笑いの絶えない明るく前向きなトーンに満ちている。コメディだが温かみに溢れており、本家からの伝統をしっかりと受け継いでいる、と見るのは米Los Angeles Times紙。トラブルメーカーの高校生たちに向き合うのは、自身もかつてはトラブルメーカーだったという主人公のレイニー。かつてはロックスターに憧れたという彼女。その内面は今でも少年少女のような反抗心に満ちているが、生徒たちから大人として信頼を得るには、燃え盛る魂をときに抑えることも必要。そんなジレンマに満ちた彼女の奮闘には、思わず感情移入してしまう。

「Schooled(教育の行き届いた)」というタイトルとは裏腹に、教師も生徒も問題児ばかりの本作。とくに校長の姪のフェリシアは、鞄にアルコール飲料のボトルを隠して登校するほどのツワモノ。強く注意したいところだが、かつて学校の問題児だったレイニーも、胸を張れるほど優秀な教師というわけではない。トラブル続きの授業初日を紹介するのはDecider誌。のっけから授業に遅刻し、生徒をついついオタク呼ばわりし、そして合唱を教えるのにも気が乗らない様子を隠そうともしないレイニー。教師として母校に舞い戻ったまでは良かったが、本当に問題児なのは彼女の方なのかもしれない。

♦︎優れたキャスト、適切な舞台設定
初回のエピソードでは粗も見えるが、急速に良くなってゆく作品だ、とLos Angeles Times紙は評する。演者の質も高く、特に本編にも出演しているティムは秀逸の一言。スピンオフで校長に昇進したという役どころを違和感なくこなしている。彼はコメディ作品に引っ張りだこの貴重な存在だ。本作では画面に登場するたびにお説教を垂れる校長という役どころだが、それでも彼のキャラクターの魅力が損なわれることはない。

本作では学校を卒業したてのレイニーが主人公となったが、この判断が的確だったと米Decider誌は指摘する。実は過去にも本シリーズの未来の物語が描かれたことがあり、その際は校長とバスケコーチのリックを中心としたストーリーが放送されたものの、評判は芳しくなかった。今回のスピンオフでは就職したレイニーを主役に据え、その職場としての母校を舞台にするという判断が上手く機能したようだ。

本家『それいけ!ゴールドバーグ家』の温かさを継承するコメディ『Schooled』は、ABCで1月上旬から放送中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『Schooled』
©ABC/Craig Sjodint