ブルース・リー原案の新作アクションドラマ『ウォリアー』の放送が、4月上旬から米Cinemaxで始まっている。伝説的な武術家が残したアイデアが、現代の格闘・映像技術で50年越しに実現。日本でもスターチャンネルにて6月25日(火)より独占日本初放送となる、今までにない世界観を描いた本作の現地最新レビューを紹介しよう。
中国武術の神童、アメリカに名を轟かす
在米中国人による暴力抗争が相次いだ、19世紀後半のサンフランシスコ。中国から移民として渡米したアー(アンドリュー・コージ)は上陸間も無く、移民への差別的扱いに直面する。持ち前の武術で対抗するとその技量を認められ、中華街のとある結社に雇われることに。
武術の神童とまで呼ばれた彼は、組織の将来を担うヤン(ジェイソン・トビン)とタッグを組み、彼らのアヘン貿易を妨害する敵対勢力の壊滅に向け動き出す。しかし不幸にも、アーの妹のマイ(ダイアン・ドーン)が敵対陣営に巻き込まれたことから、兄妹は引き裂かれてしまい...。チャイナタウン最恐の刺客と呼ばれるアーの活躍を追う全10話。
50年を経て、ブルース・リーの遺志を継ぐ
製作実現までの経緯について米New York Timesは「たまらなく魅力的」と述べているが、本作の実現にはそれほどの紆余曲折があった。50年ほど前にブルース・リーは8ページのトリートメント(映像作品のあらましを記した文書)を完成させ、買い手となるスタジオを探していた。しかしアイデアは当時売れることなく、あまつさえその基本コンセプトが1972年から放送された『燃えよ!カンフー』に半ば盗用されてしまう。今回ついに実現したドラマで、約50年越しの映像化が実現したことになる。
シリーズは、武芸の天才によって創られたコンセプトを、現代の制作技術と融合。それにより感動的なまでの相乗効果が生まれている、と米Rolling Stone誌は褒めちぎる。シーズン半ばにアーとヤンは町を離れ、行き着いた西部の酒場で馬車泥棒との乱闘にもつれ込む。シリーズ中、カンフーの頂点を極めるとも言える見せ場のひとつだ。そこで巻き起こる壮絶なアクションを視聴した同メディアは、仮にブルース・リーの原案が70年代に実現していても、これほど充実した映像表現は見込めなかっただろうとコメント。50年間の眠りに就いていた原案は、映像技術の発達を静かに待っていたのかもしれない。
豊富なアクションシーンに興奮
ブルース・リー原案だけに相当にハードルが上がっている本作だが、期待を十分に上回るアクションシーンを堪能できる、とRolling Stone誌は評価している。アンドリューとほかの出演者たちがスタント指導者とともに作り上げたアクションシーンの数々は迫力満点だ。監督たちの配慮によって各ショットの時間が比較的長めに取られており、美しいモーションをはっきりと堪能することができる。
各シーンが多様なスタイルで魅せてくれる、とNew York Timesも充実のアクションを評価。カンフーはもちろんのこと、素手での殴り合いや手斧を使った乱闘まで、豊富なバリエーションが展開する。主演のアンドリューは、2013年の映画『ワイルド・スピード EURO MISSION』や、ジェームズ・コーデンが脚本を手掛けたコメディスリラー『THE WRONG MANS/間違えられた男たち』、Netflixで配信中の10代のカップルを主人公としたSFラブストーリー『THE INNOCENTS/イノセンツ』に出演するなど、イギリスを中心に海外ドラマや映画で活躍する日系イギリス人俳優。アメリカでの知名度こそまだないものの、心に残る格闘シーンを演じている上にユーモアも感じられる、と同メディアは好感を抱いている。
その他、高級娼婦と暗殺者という2つの顔を持つ謎の美女に『マルコ・ポーロ』シリーズのオリヴィア・チェンなど、名だたるアジア系俳優が出演。また、カーアクション映画『ワイルド・スピード』シリーズや、クライム・ドラマ『SCORPION/スコーピオン』で監督を務めてきた台湾系アメリカ人ジャスティン・リンや、ブルース・リーの実娘であるシャノン・リーが製作総指揮を担うなど、彼の遺志を継ぎ世界で活躍するアジア系のスタッフや俳優が集結した注目作。ブルース・リーのストイックさを体現する鍛え抜かれた肉体と見事なアクションシーンは必見だ。
キレのある拳にしばし時の経つのを忘れる『ウォリアー』は、米Cinemaxで4月5日(金)より放送中。日本では、6月25日(火)よりBS10スターチャンネルにて独占日本初放送開始。放送を記念して6月15日(土)よりブルース・リーの5作品一挙放送やインタビュー映像をまとめた「ブルース・リーの『ウォリアー』への道」など特別放送も決定している。アメリカに渡ったブルース・リーはいかにしてこの『ウォリアー』を生み出したのか? 実娘シャノン・リーやブルース・リーを敬愛するジャスティン・リン、その他多くの関係者たちが彼の生き様や人柄、そしてその過酷な人生をもう一度振り返っており、こちらも見逃せない。
スターチャンネル『ウォリアー』放送情報
■BS10スターチャンネルにて(全10話)
【STAR2】6月25日(火)より毎週火曜23:00~[字] ※6/25(火)第1話無料放送
【STAR3】7月10日(水)より毎週水曜22:00~[二] ※7/10(水)第1話無料放送
・特別インタビュー番組
「ブルース・リーの『ウォリアー』への道」(全8編)不定期放送
・『ウォリアー』独占初放送記念ブルース・リー出演5作品を一挙放送
代名詞であるドラゴンの名を冠した『ドラゴン危機一発』『ドラゴン怒りの鉄拳』『ドラゴンへの道』を含め、撮影中の謎の死により未完となっていたフィルムを編集して作られた『死亡遊戯』、最後の姿が遺された『死亡の塔』を一挙放送。さらに、その素顔に迫るドキュメンタリー『アイ アム ブルース・リー』も併せて放送
*詳細は公式ホームページでご確認ください
(海外ドラマNAVI)
Photo:
『ウォリアー』
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