甘いマスクに減らず口と、なんとも憎めない堕天使のルシファー。そんな彼が特殊能力を活かして犯罪捜査に貢献する『LUCIFER/ルシファー』の新章、シーズン4が公開された。5月上旬からNetflixで配信されている。
地獄の番人役に飽きて人間界へと休暇に出たルシファー(『ワンス・アポン・ア・タイム』のトム・エリス)。高級クラブのオーナーとして"天使の街"ことロサンゼルスで暮らしていたが、知り合いが目の前で殺されたことをきっかけに、LAPDのクロエ(『シカゴ・ファイア』のローレン・ジャーマン)と知り合い、事件の解決に大きく貢献。その過程で、人間なら誰からでも一番暗い秘密を聞き出せるという自分の特殊能力が唯一通用しないクロエに興味を持ち、強引にLAPDのコンサルタントに就任する。
シーズン4では、ルシファーとクロエの関係が焦点に。これまで堕天使だといくら聞いても信じなかったクロエが、前シーズンでついにルシファーの悪魔となった姿を目撃。これまでと何も変わらないと言いながらも動揺を隠しきれないクロエは、新たな殺人事件の捜査に乗り出すものの、ルシファーとの間にぎこちない空気が漂う。
新シーズンはこれまで通り笑えるシーンが盛り沢山だが、それにも増して感情に訴えるストーリーに磨きがかかっている。米AV Club誌によれば、優れたストーリーが導入され始めたのはシーズン2からで、今シーズンでは余分な要素が削ぎ落とされ、さらにストーリーテリングの本質に集中しているという。
シーズン3までを放送していた米FOXがキャンセルを発表したことから存続が一時危ぶまれていた本作。米Hollywood Reporter誌によると主演のトムは、「この奇抜な作品でずっと演じてきたが、さあこれからという時になって切られてしまうところだった」という趣旨のコメントを発表して驚きを露に。しかしNetflixへの"移籍"で難を逃れることになった。脂の乗った新章に期待が募る。
今回公開された新シーズンでは、ルシファーとクロエの関係が興味を引く。精悍なルックスの人間の姿とは異なり、怒りに我をなくしたルシファーの禍々しい悪魔の形相をついに目撃してしまったクロエは、長い時間をかけて育んできた信頼関係が揺らぐのを感じる。これまでは刑事ドラマのテイストが強かったが、ことシーズン4では超常的な側面が色濃く出ている、とAV Club誌。悪魔の姿に戻ったルシファーや地獄から遣わされた彼の仲間を通じて人外のキャラクターの恐ろしさが存分に感じられるシーズンだ。クロエとルシファーを引き離そうとするモンスターには背筋が凍る、と同誌。二人の関係に試練が訪れる。
Netflixへの移籍でより活き活きとしたキャラクター描写が実現し、FOXの時に比べて表現の規制が緩くなったと米Hollywood Reporter誌は伝えている。主演のトムも、「これによりルシファー本来の性格を表現しやすくなった」と同調する。
軽妙なやり取りの裏に切ない心情が込められた『LUCIFER/ルシファー』シーズン4は、Netflixで配信中。(海外ドラマNAVI)
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『LUCIFER/ルシファー』
©John P. Fleenor/Netflix