ジョージ・クルーニーが明かす『ER』ドクター・ロス復帰、驚きの舞台裏

医療ドラマの金字塔『ER 緊急救命室』には、今では押しも押されぬハリウッドの人気スターであるジョージ・クルーニーもシーズン1からシーズン5までレギュラー出演していた。本作でブレイクを果たし、映画の道へ進むために降板を決意したジョージだったが、のちにゲスト出演という形でカムバックしたことがある。この時の秘話をジョージと製作総指揮のジョン・ウェルズが米Entertainment Weeklyに明かした。

オリジナルキャストの一人だったジョージが演じていたのは、医師ダグラス・ロス。ERの小児科医として子どもに優しい面を持つ一方で、トラブルメーカーかつプレイボーイという役どころだった。ロスはシーズン5の最後にシアトルへ旅立つという形で作品から卒業したが、この時、ロスの恋人である看護師キャロル・ハサウェイを演じていたジュリアナ・マルグリーズはもう1シーズン契約が残っていた。さらに、シーズン6の最後には彼女がロスとの間に双子を授かるという展開も用意されており、ウェルズは物語を終わらせるためにはジョージに復帰してもらうしかないと考えたそう。

「僕らは最後に彼らが一緒になることを望んでいたが、それが完全にサプライズの形で実現できればと思ったんだ。だから(製作会社の)ワーナー・ブラザースにプライベートジェットを用意してくれるように頼んで、ジョージと話し、このことは一切口外しないという誓約書に署名したごく少数のクルーとともにシアトルへ飛んだんだ」

ジョージはこの旅を鮮明に覚えているそう。「僕らは誰も住んでいない家の裏でそのシーンを撮影し、飛行機に戻った。他のキャストは誰もこのことを知らなかった。もちろん(マーク役のアンソニー・)エドワーズも。知っていたのはジュリアナ、ジョン・ウェルズ、撮影監督、音声担当の彼、それからアシスタント一人くらいだったと思う」と当時の極秘撮影を振り返った。

しかし、彼らの情報漏えい対策はこれだけではなかった。ウェルズはロサンゼルスへ帰ると、撮影したフィルムを放送局のNBCで保管する代わりに自宅へ持ち帰り、なんと冷蔵庫の中で保管していたという。「(ジョージの復帰を)NBCには伝えていなかった。脚本にも書かなかった。誰も何も知らなかったんだ。放映日の2、3日前、誰もいない真夜中にその映像を編集して、本編に加えたんだよ」

そして迎えた放送日当日の2000年5月11日。イタリアに滞在していたジョージの元に何度も電話がかかってきたという。

「僕らの作戦が成功したことに、(知らされていなかった)みんなは不満だったらしい。だからノア・ワイリー(ジョン・カーター役)から電話が来た時は"どうなってるんだ?"と言われたし、エリック・ラ・サール(ピーター・ベントン役)は"なんで話してくれなかったんだよ! とても面白かったけど、知る由もなかったおかげで僕らは秘密を守れたね。一体どうやったんだよ"と言われたね」(海外ドラマNAVI)

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Photo:『ER 緊急救命室』 TM & © Warner Bros. Entertainment Inc.