"もしディズニー・キャラクターに子孫がいて、10代だったら?"という発想から誕生したディズニー・チャンネルの人気TV映画『ディセンダント』で、「101匹わんちゃん」の悪女クルエラ・デ・ヴィルの息子カルロス役を演じたキャメロン・ボイスが、現地時間の7月6日(土)に20歳の若さで亡くなったことは当サイトでもお伝えした。シリーズ最新作となる3作目の現地放送を来月に控え、長期間に及ぶ撮影を一緒に過ごしてきたキャストたち。同世代の共演者らが彼の急逝について、ついにコメントを発表した。
『ディセンダント』メインキャスト3人の中で最初に沈黙を破ったのは、「眠れる森の美女」の悪役マレフィセントの一人娘マルを演じたダヴ・キャメロン。気持ちの整理がつかず、キャメロンの死について口にすることができるようになるまでに3日かかったそう。現地時間7月9日(火)にセラピーを受け、ようやく亡くなった友人について語る準備が整ったと感じることができ、自身の想いをしたためようと思ったという。
化粧っけのない顔に眼鏡をかけ、髪を一つにまとめたダヴは、泣きはらした後なのか鼻をすすりながら、白黒のビデオメッセージを6本投稿。
「SNSでキャメロン(・ボイス)について投稿することに違和感を感じていました。なぜなら、私はとても感情的になっていたし、(これは)凄く個人的なことで、親密な気持ちでいたのに、SNSはそれとは真逆のものに感じたから...。この想いを投稿すべきかどうか...どうしたらいいかわかりませんでした」と言葉を選びながら、涙まじりにカメラに向かって語り始めた。
「けれど、たった今セラピーから帰ってきて、今この状態を乗り越える唯一の方法は、私たちみんなに必要なことだと思うのですが、感情を出して、共有すること。だから...書いてみました」と1枚の紙を手に取り読み始めた。
「この72時間はまるで2週間くらいに感じました。自分の考えや感情と向き合って言葉にしてみようとしてみましたが、ちょうどいい言葉が見つからなくてうまくいきませんでした。考えても気分が悪くなってしまい、ここ数日黙っているか泣くことしかできませんでした。これほど言葉に詰まり、話せなかったことはこれまでありませんでした。まだショック状態で、頭の中は靄がかかっているみたいだし、穴だらけになってしまったようです。でも頑張って書いてみました」と、そのショックの大きさを語った。
続けて「ヴィクター、リビー、そしてマヤへ」とキャメロンの家族に呼びかけたところで泣き崩れるダヴ。「あなた方のことばかり考えています。あなた方を想い胸が痛みます。ボロボロです。全てを失ったように感じています。でも、これはあなた方が感じている痛みのほんの一部に過ぎないでしょう。本当に残念です」
「この痛みや感情や愛を伝え、私の心のなかであなたの存在がどれほど大きかったかを表現するのにふさわしい言葉が見つかりません。キャメロンは私の大好きな人でした、そう思っているのは私だけではないとわかっているけれど。彼は魔法のような人――地上の天使でした。出会ってから6年、彼がまだ14歳の頃から、私たちは色々な話をしました。摂食障害で悩んでいる時は話を聞いてくれて、良くない交友関係や永遠に続くと思えた情緒不安定な状態から救ってくれました。TVの生放送中にどうしたら良いかわからなくなっている私にダンスの振りつけをささやいてくれたり、同じことを考えているよと私の手を静かに取ってくれたことを想い出します。楽しくて笑いを堪えきれず、私たちは何度(撮影を)台無しにしてきたか数え切れません」と、キャメロンとの想い出を振り返りながら、3歳年下の彼に精神的に何度も助けられたと明かす。
「彼がどんなに才能に溢れていたかをみんなが口にしています。疑いの余地なく、私たちが知る限り最も才能のある人でした。でもキャメロンの凄いところは、誰も見ていないような、小さな瞬間に垣間見える彼の人間性です。キャメロンは裏表なく常に良い人で親切な人でした。いつも他人のことを思いやり、優しく、まだ20歳という若さでありながら、真の博愛主義者でした。彼の光や言葉にできないほどのエネルギーをそばで感じられた幸運な人たちに愛されていました。彼はお手本のような人でした」
「さようなら、私の親愛なる友、そして兄弟。壮大な通夜と決して埋めることのできない深い傷跡を残してあなたは逝きます。と同時に、あなたは本当に多くの人々に影響を与えました。20年というこの世で過ごした短い期間ではあったけれど、あなたやあなたの生き様に深く影響を受けて、希望や愛に溢れた人が大勢います。あなたという存在はなんという贈り物だったのでしょう。少しでもあなたのような人になれるよう、近づけるよう願うばかりです。あなたにはもっと時間が与えられるべきだった。天使のようなあなた。残りの人生、私はずっとあなたを愛し、想い続けるでしょう」
『ディセンダント2』と3作目で「リトル・マーメイド」アースラの娘ウーマを演じたチャイナ・アン・マクレイン(『ブラックライトニング』)も同様にSNSに動画を投稿。黒いパーカーを着てフードをかぶり、泣きはらしたような顔で「何か言えるようになるまで、まだ時間が必要だっていうのはわかってる」と語り、「みんなに連絡してなくてごめん。電話やSNS、インターネットから離れたかった。ニュースを読んだり見たりすることが耐えられなかった」と憔悴しきった様子で明かした。
「今は、これは現実に起こったことではないような気がしている。心が閉じてしまって、何も感じなくて、ぽっかり穴があいてしまったような気がする...」と親友の急逝を嘆き、「キャメロンのような友だちはもうできないと思う」と言ってむせび泣いた。
かぶっていたフードを取り、黒いニット帽を見せたチャイナは、「これは実はキャメロンが私の部屋に忘れていったんだ。『ディセンダント2』の撮影をしている時、共通の友だちやみんなで一緒にご飯を食べに行ったり、お互いの家に遊びに行ったり。映画を観に行った時なんてキャメロンの服や靴、サングラスも借りたりして...」と想い出し笑いを浮かべながら話した。
「この黒いニット帽を返すつもりだったけれど...」と話したところで涙が溢れ言葉に詰まってしまったチャイナは、「キャメロンはいなくなってない。大丈夫」と自分に言い聞かせるようにつぶやき、「キャメロン、アイラブユー」と言葉を贈った。
2011年から4シーズン続いたディズニー・チャンネルの人気コメディ『ジェシー!』で共演したデビー・ライアンは、自身が演じたジェシーが、キャメロン扮するルークを抱きしめる劇中のワンカットをSNSに投稿し、割れたハートの絵文字をつけた。その翌日、今度はルークと自撮りした写真を掲載し長いコメントをつけた。
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「引き裂かれるような想い。納得できない。こんなことあっていいわけない」と、彼の急逝を受け入れられず、混乱して、落ち込んで、怒りさえ感じていると語った。「でもこんなのキャム(キャメロンの愛称)らしくない」と述べ、いつもみんなを笑顔にしてくれたキャメロンの在りし日の姿を偲んだ。そして悲しみに暮れている『ジェシー!』の共演者たちを思いやった。
「ずっと愛しているわ、永遠に。あなたは自身が作り上げた愛という遺産の中で生き続けることでしょう。そして私は残りの人生ずっとその明かりを絶やさず灯し続けます」と結んだ。
そしてミシェル・オバマ前米国大統領夫人もキャメロンを追悼する画像をInstagramに投稿。
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「キャメロン・ボイスと、撮影現場やホワイトハウス、サービスプロジェクトなどでご一緒できてとても幸運でした。彼は素晴らしい才能の持ち主というだけでなく、温かい心を兼ね備えていました。たくさんの愛とハグを、彼の家族や友人、そして多くのファンに」とコメントし、2ショット写真を掲載した。
米CNNによると、キャメロンは生前、公表はしていなかったものの、脳の疾患である「てんかん」を患っており、治療を受けていたとのこと。同居していたルームメイトがキャメロンの異変に気づき通報。直ちに救急隊が駆けつけて蘇生を試みたが、残念ながら息を吹き返すことはなかった。死因は、「てんかん」発作に関連するものと推測されているが、正確な死因の特定には数週間を要すると見込まれている。
キャメロンの父親ヴィクター・ボイスさんは、息子を亡くした2日後の今月8日(月)にファンに対する感謝と最愛の息子を失った悲しみをSNSに掲載。そして10日(水)には「最後の写真」として、亡くなる直前の週末に撮ったキャメロンの写真を投稿した。
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ディズニー・チャンネルは、現地時間7月22日(月)に予定されていた『ディセンダント』3作目のレッドカーペットイベントを中止し、キャメロンが生前支持していた慈善事業、世界中に安全な水源を提供する非営利団体「Thirst Project」への寄付を行うことを決定。
余りにも早くその一生を駆け抜けたキャメロンの冥福を心より祈りたい。(海外ドラマNAVI)
Photo:
『Descendants 3』© Disney Channel/Matt Petit
© Disney Channel/David Bukach
© DISNEY CHANNEL/Jack Rowand
『ジェシー!』© DISNEY CHANNEL/CRAIG SJODIN
『ディセンダント2』© Disney Channel/Image Group LA