第二次大戦初期に圧倒的な強さを示したドイツの潜水艦の乗組員と関係者のドラマを描いた米Huluの新作ドラマ『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』が8月10日(土)よりWOWOWプライムにて放送される。もともとは全3話のミニシリーズを一本の映画へと再編集した1981年のドイツ映画『U・ボート』から約40年の時を超えた続編となる本作は、昨年11月にドイツを含むヨーロッパの一部の国で配信を開始。今年6月中旬からはアメリカでも視聴できるようになった。
新米キャプテン、危険な乗務へ
時は1942年。フランスのラ・ロシェルの港町を占拠したドイツ軍は、戦略上の要となるUボートの建造を急いでいた。ドイツ潜水艦隊は目覚ましい成果をあげていたが、連合国軍側の反撃も激しく、戦況は決して楽観視できない。さらにはUボート自体も技術的な問題を抱えており、乗組員は決死の覚悟が必要だった。
そんな中、若く勇敢な軍人のホフマン(リック・オコン)は、Uボート「U612」の艦長に着任する。ところが副艦長のテンシュテット(アウグスト・ウィトゲンシュタイン)は、ホフマンの家柄が気に食わなかったのか、上官である彼に反発。実戦経験の長さを盾に戦果をあげに走り、内規を遵守したいホフマンと激しく対立する。命がけの任務を命じられたホフマンは、艦内の思わぬ抵抗勢力に悩まされる。
水陸同時進行のドラマ
ドラマは艦内だけでなく、ラ・ロシェルの港町でも同時に進行する。陸上では、ドイツ秘密国家警察の通訳を務めるシモーヌ(ヴィッキー・クリープス)が主要人物だ。シモーネの弟は、ホフマンの艦に乗船することになった通信士のフランク(レオナルド・シャイヒャー)。海底で戦死する事態をも覚悟した彼は、姉のシモーネにある品を届けてほしいと託す。
ドイツ人ながらもフランス育ちであることから周囲のドイツ兵とうまくなじめずにいたシモーヌは、弟の身を案じてさらに心をざわつかせることに。複数のストーリーラインが交錯するサスペンスフルなドラマだ、と米Hollywood Reporter誌は称賛している。潜水艦内でも、副艦長のテンシュテットだけでなく多くの部下がホフマンに反抗するようになってゆく。
全8話と比較的短めの構成だが、折り返し地点前後に仕掛けられるツイストにより、さらにメリハリが出ている。この急展開によって、艦内のストーリーと地上でのドラマのそれぞれが、規定路線から予想外の方向へと大きく逸れてゆくことに。話の根底が揺らぐセンセーショナルなひねりだと米New York Times紙は評価。シモーヌの暮らしにメロドラマが顔を出し、艦内では緊張状態に置かれた兵士らしからぬドラマチックな決断が行われる。複数の視点と想像を超えた展開で、ぐいぐいと引き込んでくれる作品だ。
38年の時を超えた続編
本作品は、アカデミー賞6部門にノミネートされた1981年の映画『U・ボート』の続編。長らく停止していた時の流れが、実に38年ぶりに再び動き出す。描かれるのは、前作フィナーレから9ヵ月後の世界。前作の展開をなぞるわけではないため、そちらをすでに観ていたとしても特に問題はない、とHollywood Reporter誌は述べている。
約40年後の本作で大きく変化している点の一つは特殊効果の進化、と指摘するのはNew York Times紙。技術の進歩によりいっそう本物らしい映像表現が可能になり、特に戦闘中の水面描写がリアルだ、としている。オリジナルのキャストはドイツ人中心だったが、本作ではドイツのほか、アメリカ、イギリス、フランス、ルクセンブルクなど国際色豊かな顔ぶれが揃っている。
『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』は8月10日(土)13:30よりWOWOWプライムにて放送される。それに合わせて、前作『U・ボート』が8月4日(日)10:00、8月9日(金)16:30よりオンエアとなる。(海外ドラマNAVI)
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『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』
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