2018年にSNSで始まったセクシャル・ハラスメント撲滅を訴える「Time"s Up」ムーブメントをきっかけに設立された団体「Time"s Up」が、ハリウッドでベッドシーンやオーディションに臨む俳優を対象にした安全ガイドラインを作成・発行したことが明らかとなった。米Deadlineが報じている。
「Time"s Up」が発行した、「Working In Entertainment(エンターテイメント業界で働くこと)」と題された35ページにわたる俳優オーディション用のガイドラインでは、ベッドシーンの撮影、オーディション、およびキャスティング・ディレクターがホテルの部屋への訪問を要求するような状況への対処法まで網羅されている。「ヌードになることであったり、親密なシーンやベッドシーンにおけるあなたの権利」「オーディションにおけるあなたの権利」「性的不正行為や嫌がらせを報告するあなたの権利」といった項目があるという。
ハリウッドでは一昔前までセクハラ問題が絶えず、例えばベッドシーンの撮影になると普段はいないプロデューサーが突然見学に来たり、スタッフの一部がそういう撮影をスマホで撮影したり、テイクとテイクの間に俳優が羽織るローブを用意されず裸のままでいなければならなかったり、フリでなく実際に性行為を行うよう言われたり、撮影中に性暴力を経験したりといった訴えが寄せられていたと言われる。
そうした被害を防ぐため、ガイドラインでは全米映画俳優組合のルールをもとに、そうした撮影時には参加すべきメンバー以外は立ち入りできない、スタジオ側は最初に書面で合意した以上のパフォーマンスを要求できない、一度合意した内容であっても演者が望めば撮影前のいつでも撤回できるといった権利が記されている。
「何かおかしいと感じたら、その感覚は多分間違いありません。それが問題だと感じたら、おそらくそうなのです。"NO"と声を上げ、不快に感じる状況から立ち去っていいのです。身体的または精神的な安全性を損なうに値する役や仕事、関係は存在しません」と綴られており、問題に直面した人々が連絡を取れる米国雇用機会均等委員会や反性暴力組織団体「RAINN」、「Time"s Up」と俳優協会、映画セクシャルハラスメント・ヘルプラインの連絡先も列挙されている。
同ガイドライン作成にあたっては、「#MeTooムーブメント」が世界的に盛り上がるきっかけを作ったアリッサ・ミラノ(『溺れる女たち ~ミストレス~』)をはじめ、アリシア・ライナー(『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』)、アメリカ・フェレーラ(『アグリー・ベティ』)、ナタリー・ポートマン(『スター・ウォーズ』シリーズ)、ブリー・ラーソン(『キャプテン・マーベル』)らが協力しており、ガイドラインには彼女たちへの謝辞が綴られている。(海外ドラマNAVI)
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ヌードシーンや性的暴力シーンの多さがたびたび問題になった『ゲーム・オブ・スローンズ』
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