新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、数多くの映画やドラマの製作が行えない状況になり、ロサンゼルスにおける撮影ロケが大幅に減少した結果、今年は大赤字になることが確定したようだ。米Varietyと米Deadlineが報じている。
カナダのバンクーバーをはじめとした他の都市で撮影されることが増えたことにより、2015年から2019年まで5年連続でロケが減っていたロサンゼルス。すでに下り坂だったロスでのロケは、同地での撮影許可をコーディネートする団体FilmLAによると、2020年の第1四半期(1~3月)において昨年比でさらに18%も減少したという。
今年1月初旬に好調なスタートを切ったが、感染拡大防止のための公共における集会の制限や外出自粛により、ロサンゼルスで行われていた撮影ロケ数は2月の1091から3月半ばには644まで減少。ロサンゼルス郡の公衆衛生局およびカリフォルニア州の地方自治体が外出を自粛する発令を出したため、3月20日をもって完全に撮影は行われなくなった。ドラマ界でも、最近では『S.W.A.T.』『THIS IS US』『ウエストワールド』『LUCIFER/ルシファー』などがロスで撮影されていたが、普段であれば2月中旬から5月初めにかけて行われるパイロット製作が、軒並み初期段階でストップを余儀なくされるなど、大きな影響を被っている。
FilmLAによれば、第2四半期(4~6月)に入って製作は昨年比100%ダウン。その状況は少なくとも6月まで変わらない可能性が高く、そうなれば、6月以降のどの時点で製作が再開されようとも今年は大赤字になるだろうと予測している。
現場も、いつ再開するかに関しては慎重な姿勢を示している。ビバリーヒルズを拠点とするロン・ハワードとブライアン・グレイザー(『ダ・ヴィンチ・コード』『24 -TWENTY FOUR-』)の製作会社、Imagine Entertainmentの関係者は、「2020年のうちに撮影したいというクライアントは多いが、それが可能だと保証するのは傲慢だし誤っているだろう」と発言。さらにイギリスの放送局Skyは、国外でのドラマ撮影を2021年春まで行わない意向を示している。そうした動きが他でも続くかもしれない。
4月23日(木)付けの労働省の統計によると、外出自粛やロックダウンでビジネスが停滞して経済が落ち込んだ結果、440万人が新たに失業手当を申請しており、失業者数は人口の16%に相当する約2650万人に上るという。これは、1930年代の大恐慌時代以来に低い数字だ。1994年にロスで起きたマグニチュード6.7の地震では、42億ドル(約4500億円)相当の損害が生じた。ハリウッドが今後どのようにして立ち直っていくのか、その動向が注目される。(海外ドラマNAVI)
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米Deadlineのtwitterより