新型コロナウイルス(COVID-19)により亡くなった人々の遺族が、"勤め先の企業は社員をウイルスから保護していなかった"と主張して訴訟を起こす―――。このようなケースは主に米国でパンデミック初期には見受けられた事態だったが、感染拡大から約1年が経った今年に入り、ハリウッドで初めてこの訴えが出ている。米The Hollywood Reporterが伝えた。
昨年、NetflixはSecret Cinema and Empyrean Production Servicesと共同で大ヒットシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のドライブスルーイベントをロサンゼルスにて開催。このイベントは、1985年のインディアナ州ホーキンスをイメージした駐車場の中を参加者が車に乗りながら移動するというスタイルで、その一環としてシーズン3のあるシーンを再現するショーも行われている。コロナ禍に合わせたこのイベントは昨年10月に始まり、少なくとも今年3月までは続く予定だが、このイベントの関係者がNetflixを訴えているのだ。
このイベント内のショーでデモゴルゴンに扮したスーツアクターのティモシー・ハールは、屋内で行われたリハーサルでコロナウイルスのリスクを感じ、Netflixに問い合わせを行ったがその回答は納得できるものではなかったため、カリフォルニア州労働安全衛生局に訴えるに至ったという。
ハールによれば、彼と他の演者は車の排気ガスで気分が悪くなり、一酸化炭素中毒の危険性があることを訴えたそうで、一部の演者は呼吸困難に陥ったことも明かしている。労働安全衛生局による調査も行われたが、結果的にハールは職を失ってしまったという。彼は、自身の解雇がカリフォルニア州の内部告発者保護法(当局に法的な違反を報告した者を報復から保護する)に違反していると主張している。
『ストレンジャー・シングス』サイドの情報筋によれば、ハールがパフォーマンスを行なっていた期間に新型コロナウイルスに感染した人は一人も出ておらず、大気質に関しても確認を行なっているとのこと。Netflixの代理人は「Stranger Things Drive Into Experienceの開始以来、ファンとチームメンバーの安全は最優先事項です。現場の全ての人の健康と福祉を保護するための対策が講じられており、これらのプロトコルが優れた安全記録につながっていることを誇りに思います」とコメントしている。
これまでエンターテイメント業界で新型コロナウイルスに関する労働者訴訟が起きていなかった理由の一つは、労働組合が現場の安全のためのガイドラインの発令と製作停止の推奨に関与しているためだが、今回の件により、安全の基準が満たされていない場合は訴訟に発展する可能性があると示された事になる。
『ストレンジャー・シングス 未知の世界』はシーズン1~3がNetflixにて配信中、シーズン1はDVDレンタル中。(海外ドラマNAVI)
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Photo:『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン3より