海外で絶大な人気を誇り、すでにシーズン2の制作も決定している話題のドラマ『ヒーテッド・ライバルリー』。アイスホッケーのスター選手であるシェーンとイリヤが織りなす、激しくも切ない関係性を描いた本作が、ついにU-NEXTで独占配信される。
今回は、日本語吹替版でW主演を務める大塚剛央(シェーン役)と阿座上洋平(イリヤ役)を直撃。初回の印象から海外作品ならではの文化の違い、そして吹替という仕事の奥深さについてじっくりと語ってもらった。
\新規登録なら31日間無料/
メリハリのあるドラマと、現場で直面した「収録の熱量」
――本作の台本や物語に初めて触れた際、率直にどのような感想を抱かれましたか?
阿座上: 僕は映像と合わせて台本をチェックしたのですが、アイスホッケーの胸が高鳴るようなシーン、ロマンスのシーン、そしてそれぞれが苦悩するシーンというように、メリハリが非常に明確な作品だと感じました。純粋に一人の視聴者として楽しんで観進めることができました。
大塚: 僕が最初に抱いた感想は「これは収録が大変そうだ」というものでした。当初は「別録りはせずに進めよう」という方針があったものの、実際にセリフが重なり合うシーンが非常に多く、どちらが息を吸って吐いているのかさえ判別できないほどの熱量で被っていたのです。そのため最終的には完全に別々で収録することになりました。現場で実際にマイク前に立って演じるとなると、相応の時間とエネルギーがかかるだろうと予想されましたが、内容としては、二人が確定的な言葉を口にしないまま物語が展開していきます。観ている側が気持ちを察するようなもどかしさや、お互いの立場や環境からくる葛藤が丁寧に描かれており、非常に引き込まれました。
――劇中で特に印象に残っているシーンはありますか?
大塚: やはり初めの出会いのシーンです。キャラクターの役作りという面でも重要でしたし、お互い存在は知っていながらも初めて言葉を交わすあの場面の声のトーンは、強く印象に残っています。作品を最後まで観た後に改めて最初に戻ると、また全く違った関係性を感じていただけるのではないでしょうか。
――本作は海外でも非常に高い評価を得ていますが、収録を経て作品への印象に変化はありますか?
阿座上: 最初はラブシーンの多さに驚きましたが、物語が進むにつれて、これは結局のところ「人と人とのドラマ」なのだと実感しました。二人はそれぞれ異なる悩みを抱えており、イリヤは家族のことで悩んでいますが、シェーンはわりと仲睦まじい家族で、だからこそ打ち明けるのが怖いという部分もあります。さらにシェーンはゲイですがイリヤはどちらかというとバイであるなど、抱えている悩みに若干のズレがあるのです。同じ悩みであればもっと早く結ばれて高め合えるはずのところで、すれ違いが生じてしまう。そうした心の機微が丁寧に描かれた作品なのだと、印象が変わっていきました。
大塚: 僕も当初は「どのような要素がこれほど多くの人々を惹きつけているのだろう」と考えていましたが、丁寧に描かれる物語を追ううちに、これは非常に純粋な純愛の物語なのだと強く感じるようになりました。
感情が自然と動かされた、それぞれのキャラクター性

――大塚さんにお聞きします。シェーンは言葉よりも表情で多くを語る人物という印象がありますが、演じる中で思わず感情が動かされた瞬間はありましたか?
大塚: シェーンが置かれている立場は自分自身とは全く異なりますが、彼が抱える家族への悩みや、中心にあるアイスホッケーに対する苦悩には、非常に寄り添いやすかったです。役として演じるにあたって寄り添っていく中で、「そりゃそうだよな」と、彼の葛藤に対して自然と心が動かされる瞬間が多くありました。自分自身がそういう立場でなかったとしても、共感できる部分が多かったです。
――阿座上さんにお聞きします。イリヤは非常に情熱的かつダイナミックな人物ですが、演じる上で特にエネルギーを費やしたシーンを教えてください。
阿座上: 父親の葬儀を中心とした、家族のシーンです。イリヤはロシア語のシーンになるとより素に近い喋り方になる気がします。作中、最悪な関係である兄に掴みかかる場面があるのですが、彼は姪のことも考えていますし、どれほど酷い兄であっても「唯一の家族である」という葛藤を抱えています。対象に向かって怒りをただぶつけるだけなら単に感情の解放なのですが、イリヤの場合は「感情のベクトルが相手にも向いているし、自分にも向いている」という状態です。どうしようもない兄への怒りと、抑えなければならないという気持ちとがせめぎ合い、その摩擦がストレスとなりました。心にも声にも、そして喉にも乗ってくるので、最も体力を消耗したシーンでした。
――ちなみに、イリヤのように阿座上さんご自身が「つい熱くなってしまうもの」は何かありますか?
阿座上: サッカーのワールドカップです。僕が初めて上京した年がちょうどワールドカップの開催年でした。一人暮らしの部屋で夜中に観戦していて、日本代表のシュートが決まった瞬間に思わず叫んでしまったことがありました。その際、壁の薄いアパートだったのですが、隣の部屋からも「うおー!」と歓声が聞こえてきたのです。「あ、日本がこうして一つになっているんだな」と、こんな時間でもみんなで観ているのだという実感があり、非常に嬉しかった思い出があります。みんなが心一つになる瞬間が僕は結構好きなので、YouTubeなどでサポーターが現地で盛り上がっている姿を観るときなども熱くなります。
異文化のラブロマンスを描く難しさ

――劇中のセリフや展開で、「日本とは異なる文化だな」と新鮮に感じた部分はありますか?
阿座上: 海外のラブロマンス作品、特に若い世代を描いたものは本当に難しいと感じます。どうやら欧米圏などでは日本と違って「告白をしてから付き合う」という明確な文化がないようで、例えば海外のティーンドラマではさっきまで普通に会話していた二人が唐突にキスに至る、なんて事があります。日本の恋愛作品になれていると、「え?今キスするような会話だったっけ?」といったこともありますが、なぜその感情に至ったのかを自分の中で紐解いていく作業は、難しくもあり面白くもあります。確かにお互いを感じ合う空気の中、なんて事ない会話のラリーを続けてからキスをするようなシーンも多く、こういった国による文化の違いを演じるのは面白いなと思いました。
大塚: 欧米ではキスやハグなどのスキンシップそのものに幸福を覚える性質が強いと聞いたことがあります。日本だと一番幸せを感じるのは美味しいご飯を食べているときですが、向こうではスキンシップが上位にくるという文化の違いがあります。演じる側としては、その文化的な背景を汲み取った上で、感情の繋がりや何気ないセリフを表現しなければなりません。アジア圏の作品ともまた異なり、感情の持っていき方には深く悩まされました。
AIの時代だからこそ、役者の「魂」を乗せる吹替の魅力
――近年、配信作品の普及に伴い、日本でも吹替で海外ドラマを楽しむ視聴者が増えています。吹替という表現の魅力をどのように捉えていますか?
阿座上: 近頃は原音と字幕で楽しむ方も増えている中で、吹替の立ち位置とは何だろうと改めて考えることがあります。オーディションの際も、やはり本国の役者さんと声が似ているかどうかが大きいらしいのですが、単に本国の声をトレースするだけならAIに取って代わられる時代がすぐそこまできています。だからこそ、我々人間の役者が演じる意味が問われます。本国の役者さんのお芝居の力を借りつつ、そこに自分自身の感情を調和し、その真ん中にあるエッセンスを差し出すことを大切に考えています。
大塚: 日本の吹替文化は、世界的に見ても非常に高い技術と歴史を持っています。素晴らしい声優さんが数多くいらっしゃいますし、海外作品特有の文化的な差異がある中で、日本人の感覚に寄り添った表現や制作を施すことで、吹替版だとより面白くなるような、作品そのものの魅力がさらに化ける可能性を秘めています。すごく可能性のあるお仕事だと思います。ただ、演者としての本音を言えば、完成した吹替版を観るとどうしても技術的な仕事のことが頭をよぎって、純粋に観られなくなってしまうこともあります。
フラットな視点で、人間の純粋な美しさを感じてほしい
――最後に、配信を楽しみに待っている日本の視聴者へメッセージをお願いします。
大塚: 海外での評判や事前情報に囚われすぎず、まずは評価などを抜きにして、フラットな気持ちでこの物語に没入していただきたいです。丁寧に紡がれる彼らの世界観を、ぜひ吹替版と合わせて堪能していただければ幸いです。
阿座上: 世界的な人気作ではありますが、家族全員で団欒しながら観るには少々刺激が強い描写もありますので、その点はご注意ください(笑)人間だからこそ、好きだからこそ、体にも触れたくなるしキスもしたくなる。その欲望が先に立って始まった関係だから、お互いの純粋な思いに気づきにくく、8年もかかってしまうわけです。しかし、その思いに気づけたときの人間の美しさは、性別という枠組みを超えてストレートに伝わる素敵なものだと思っています。皆様の心に届くことを願っています。よろしくお願いいたします。
『ヒーテッド・ライバルリー』配信情報

『ヒーテッド・ライバルリー』はU-NEXTにて2026年8月28日(金)に第1話配信開始。以降毎週1話ずつ配信。(全6話、字吹同時配信)




