米CBSのシットコム『ビッグバン★セオリー』は、コミックやSF作品、なかでも『スター・トレック』シリーズをこよなく愛するオタク仲間たちを描き、世界的な人気を博した。作中には、多くの『スタトレ』俳優が登場しており、『新スタートレック』のウィル・ウィートンは、主人公シェルドン・クーパー(ジム・パーソンズ)との因縁の関係を通じ、最も印象的なゲストキャラの一人となった。レナード・ニモイやジョージ・タケイもカメオ出演を果たしたが、伝説の「カーク船長」ことウィリアム・シャトナーは出演にあたり制作陣に条件を提示していたという。
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長年出演を拒否!シャトナーを悩ませた「本人役」への懸念
ウィリアムの『ビッグバン★セオリー』出演は、容易には実現しなかった。彼自身が長年にわたり番組制作者たちからのオファーを辞退し続けていたからである。では、なぜ『スター・トレック』の元キャストであるウィリアムが、番組への参加をそれほどまでに渋っていたのだろうか?
理由はシンプルだ。それは、俳優としての創作面での懸念、特に「本人役」としての描かれ方への抵抗感であった。
ウィリアムは、クリエイターのチャック・ロリーと制作チームから何度も出演の提案を受けていたが、そのアイデアに納得できず、「もっと良い案を考えてほしい」と伝えていたという。彼は、自分自身を誇張した“本人役”として演じることに気乗りせず、制作者が彼自身をきちんと成立させられるという確信を持つまでは出演を避けていた。結局、彼が制作陣の構想を信頼するまでには時間を要し、実際に出演を決断したのはシリーズ最終シーズンになってからだった。
最終出演の決め手はケイリー・クオコとの共演
スケジュールの問題から脚本内容まで、さまざまな要因によって計画が頓挫しかけていたウィリアムのゲスト出演だが、最終的にはシーズン12のエピソード「ダンジョン&セレブの法則」での登場が実現する。
その大きな理由の一つが、ペニー役のケイリー・クオコと再び共演できるチャンスであった。
シリーズ共同制作者のスティーブ・ホーランドは、New York Postのインタビューでこう振り返っている。
「ウィリアムとケイリーは過去にCMで共演したことがあったため、すでに親しい関係にありました。私が電話で話したときに彼が最初に言ったことの一つが、“ケイリーとのシーンはあるのか?”という質問でした」
この発言から、ケイリーとの再共演が、長年出演を渋っていたウィリアムの背中を押す決定的な要因となったことがわかる。
伝説のカーク船長が降臨したD&Dセッション
最終的にウィリアムが登場したエピソードでは、ウィル・ウィートンが進行役を務める壮大なD&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)セッションが展開され、カーク船長役で知られる彼もそのゲームに参加する著名人の一人として、過剰に演出されたバージョンのウィリアム・シャトナーを演じた。
このゲスト出演が実現したのは、彼の創作面の懸念が払拭されただけでなく、以前からケイリー・クオコと仕事上のつながりがあったことが大きく影響しており、すべてが最終的にはうまく収まった形となったと言えるだろう。
『ビッグバン★セオリー』シーズン1~12はU-NEXT、Huluほかにて配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:TV Line