『SATC』キャストが『ザ・ソプラノズ』を羨ましがった理由とは？

米HBOの大ヒットドラマ『SEX AND THE CITY』（以下『SATC』）と『ザ・ソプラノズ／哀愁のマフィア』（以下『ザ・ソプラノズ』）。ともに同じケーブル局で1990年代後半にスタートし、6シーズン続いた両作は、撮影スタジオも、時には監督さえも共有する間柄だったが、食事のケータリングに関しては別の話だったようだ。

『SATC』でシャーロット・ヨークを演じたクリスティン・デイヴィスが、撮影当時に『ザ・ソプラノズ』のミートボールを分けてもらえなかったと回想している。

ケータリングに格差？今だから話せる『ザ・ソプラノズ』への羨望

クリスティンがホストを務める『SATC』のリウォッチポッドキャスト番組『Are You a Charlotte?（原題）』に、監督のアレン・コールターが登場。彼は1990年代後半のHBO黄金期に同局を代表する監督の一人で、視聴者層も作風も大きく異なる『ザ・ソプラノズ』と『SATC』の双方でメガホンを取った最初の監督でもある。

両作は屋内撮影の場所を含む多くのリソースを共有していたが、“姉妹”番組にもかかわらず、親しい間柄ならではの気前の良さはなかったようだ。クリスティンはコールターと会話する中で、両作がニューヨークのクイーンズにあったシルバーカップ・スタジオで撮影していた時のことを振り返った。

「シルバーカップ・スタジオの中央エリアのことを覚えてるかしら？　あそこはもともとパン工場だったから、ちゃんとした作りのスタジオではなかったでしょ？　各ステージが共用の廊下で繋がっていたから、（私たち『SATC』のキャストにも）『ザ・ソプラノズ』のケータリングが目に入るんだけど、あれはまるで最高のイタリアンレストランだった。一方、私たちのケータリングは…それとはかなり違ったの」

クリスティンは「もちろん、作ってくれた人には感謝しているの」と続けて、自分たちのケータリングスタッフへの配慮を見せつつも、「でも、“どうにかしてあの食事にありつけないかしら？”といつも思ってた。ところが、彼らは食事をがっちりガードしているの。私たちが“お願いだから、ミートボールを少し分けてもらえない？”と頼んでも、“だめだ、こっちに来るな”という感じで。撮影が長時間続くと、『ザ・ソプラノズ』のミートボールが無性に欲しくなるのに、手に入らなくて（笑）」と振り返った。

これに対し、コールターは「（『ザ・ソプラノズ』の）マフィアが君たちを食事から遠ざけていたんだね」と冗談めかして謝罪。そして、両作品の内部事情をよく知る彼ならではの、撮影の裏話を語った。

映画やドラマの食事シーンの撮影では、基本的に俳優はカメラの前で皿の上のものを実際に飲み込むことはない。何度もテイクを重ねれば、お腹がいっぱいになってしまうからだ。しかし、『ザ・ソプラノズ』は例外だったという。

「まず前提として、食事シーンの撮影では必ず“スピット・バケツ（吐き出し用のバケツ）”を用意するんです。それは『SATC』の現場でも同じでした。でも、『ザ・ソプラノズ』で（ナイトクラブの）バダ・ビングの奥の部屋で彼らがパスタを食べるシーンを撮影していた時のことなんですが…俳優たちはその前にランチを食べていたにもかかわらず、テーブルの上に置いてあったスピット・バケツを撮影の合間に見たら何も入っていなかったんです。僕が“これはどういうことだ？”と尋ねると、彼らは“全部食べるんだよ”と答えました。4テイク撮れば、彼らは4食分食べるんです」

クリスティンによれば、『SATC』でもスピット・バケツは使わなかったという。

「思うに、（制作陣の）マイケル・パトリック・キングと、恐らくダーレン・スターも、私たちがリアルに食事をしながら話すシーンを求めていたのね。だから、“OK、吐き出して”と言われることはなかったの。とはいえ、何テイクも撮ることは分かっていたから、食べ続けるのが大変なものは頼まないようにしていたけどね」

もしも彼女たちが口にしていたのが、『ザ・ソプラノズ』のアーチー・ブッコが作るような本格的なイタリア料理――例えば、ムール貝のズッパやベシャメルソースたっぷりのカネロニだったら、全部食べるのは難しかったかもしれない。

『SEX AND THE CITY』全6シーズンと映画版2本と続編ドラマ『AND JUST LIKE THAT…／セックス・アンド・ザ・シティ新章』シーズン1～3、および『ザ・ソプラノズ／哀愁のマフィア』全6シーズンと前日譚映画『ソプラノズ　ニューアークに舞い降りたマフィアたち』は、U-NEXTにて配信中。（海外ドラマNAVI）

参照元：米Entertainment Weekly