【インタビュー】『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』ライル役&監督を務めたジャスティン・バルドーニ
『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』

全米で圧倒的な支持を得る作家コリーン・フーヴァーの著書を映画化した『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』は現在大ヒット公開中。そんな本作でリリーと恋に落ちるセクシーな脳神経外科医ライル役として出演&映画のメガホンを執ったジャスティン・バルドーニ監督(『ジェーン・ザ・ヴァージン』)のインタビューが到着した。

 

ジャスティン・バルドーニ監督インタビュー全文

いつ頃から、ご自身で演技と演出に挑戦したいと思われたのですか?

最初は、この作品には監督として関わることだけを考えていました。でもその時も、「これは女性が監督した方がいいのではないか?」「自分にできるだろうか?」と葛藤していました。暴力を受けた経験のある女性たちや、NoMore.orgのような支援団体と話をしていく中で、皆が共通して言ったのは「何よりも、これは人間の物語だ」ということでした。

演技については、本を映画化する権利を取得する段階で自分の中に「やってみたい」という気持ちが少しありましたが、それを口に出すのが怖い気もしていました。そんな時、まだ契約が正式に完了する前に、コリーンから「この作品で演技することを考えたことある? 例えばライル役なんてどうかしら? 想像できるの」というメールが届きました。本を読んでライル役に惹かれていた自分と、その後のコリーンからのメールが重なり、これはまさに“確信”だと感じました。

ライル役を演じるにあたり、多くの読者が思い描いているキャラクター像になろうとするのではなく、自分自身を役に投影したいと思いました。リリーがなぜライルを愛したのか、そしてその愛がどのようなものだったのかを観客が理解できるように演じたかったのです。なぜならそこには真実の愛があったから。

ブレイクとのコラボレーションについてお話いただけますか?

ブレイクが映画に参加してからは、彼女が制作のあらゆる面に関わってくれました。彼女は、手がけたものすべてをより良いものにする、あらゆる分野を網羅するクリエイターです。一緒にシーンに出ると、彼女が制作全体を理解していることが伝わってきて、キャラクターを少し違う方向に振りすぎた場合でも、彼女の反応を見て調整することができました。彼女は私たち二人の演技のニュアンスに非常に敏感で、この映画を美しいものにするために尽力してくれました。彼女が人生最高のパフォーマンスを披露したと信じていますし、観客が彼女の素晴らしい演技を目にするのが待ちきれません。

監督と俳優を同時にこなすのはどうでしたか?

多くの準備が必要でした。キャラクターの感情的な側面にしっかり取り組んだことで、カメラの前に立つときには深く考えることなくその役を体現できました。素晴らしい演技コーチと共に、ライルの身体的特徴や感情の状態を徹底的に練り上げました。映画の準備を進めながら同時に役作りも行い、ライルが自分の中に自然に存在できるようにしました。

特に激しいシーンの撮影にはどのように取り組みましたか?

初めから、インティマシー・コーディネーターが欠かせないと分かっていました。しかし、この映画ではインティマシー・コーディネーターだけではなく、スタントコーディネーターの両方が必要でした。なぜなら、その二つが同時に絡む場面があったからです。私たちは、リジー・タルボットとチェルシー・キャリーというインティマシー・コーディネーターを迎え、さらにスタントコーディネーターとして友人のローレン・ショーを招きました。彼らは現場を安全に保つだけでなく、素晴らしいアイデアを提供してくれました。それが作品の質をさらに引き上げたと思います。

こういったシーンを撮ると、役者としての緊張が体に溜まります。次のセットアップの前に一旦現場を離れて体を揺らしたり解放したりすることが必要でした。彼らがいつでも視界に入る位置にいるのは本当に貴重で、いつでも相談できる存在でした。彼らの存在は私たちのプロセスにとって欠かせないものでした。

映画化にあたって、原作者のコリーンや原作ファンのために最も重要視したことは?

この本がファンにとって非常に大切なものである以上、私たちが最初から最後まで意識したのは、彼らの望むものを反映することでした。初期の脚本ができた段階で、コリーンにロサンゼルスでファンとの脚本会議を行ってもらえないかと提案しました。こうすることでファンの反応を確認し、どの部分がうまくいっているか、何が足りないかを知ることができました。SNSで招集をかけて熱心なファンを招き、脚本に対する意見を聞きました。その後、彼らの多くの提案が映画に反映されています。

私が特に重要だと思ったのは、エンディングです。物語全体がこの複雑で繊細な瞬間に向かって進んでいき、その感情的なアークをしっかり着地させる必要がありました。そしてもう一つは、屋上のシーンです。このシーンが映画全体の基盤となり、エンディングがうまくいくには、このシーンが成功しなければなりませんでした。私たちはこのシーンに最も多くの労力を注ぎました。

映画の最初の10分間で、二人のキャラクターの関係性と、二人がお互いに惹かれ合うようになった理由を理解してもらう必要があります。良くも悪くもです。おそらく私たちが最も一生懸命に取り組んだシーンだとおもいます。クリスティは多くの草稿を書き、その後ブレイクが加わり、セリフに本当に役立つ助言をしてくれました。また即興も加えてくれました。おかげでリリーという人物をより理解することができました。最終的には、原作の真の姿をスクリーンに再現できたと思います。

この本がファンにとって非常に大切なものである以上、私たちが最初から最後まで意識したのは、彼らの望むものを反映することでした。初期の脚本ができた段階で、コリーンにロサンゼルスでファンリーディングを行ってもらえないかと提案しました。こうすることでファンの反応を確認し、どの部分がうまくいっているか、何が足りないかを知ることができました。12人の熱心なファンを招き、スクリプトに対する意見を聞きました。その後、彼らの多くの提案が映画に反映されています。

撮影日やキャストやクルーとの特別な瞬間の中で、特に印象に残っているものはありますか?

撮影全体で一番印象的だったのは、撮影が終わった後のことでした。コロラドで行った最初のテスト上映でのことです。コリーンを招待し、彼女が初めて映画を観る場面でした。彼女は母親と夫を連れてきていました。上映が終わった後、彼女のお母さんが涙を流しながらドアから出てきて、私に強いハグをしてくれました。彼女は私をしっかりと抱きしめながら「ありがとう。本当にありがとう」と繰り返していました。初めからコリーンには、この本を守ると約束していました。彼女や彼女のお母さん、そしてこの物語で描かれる現実を経験した方々にとって、感情的に正確な映画を作りたいと願っていました。そのハグは一生忘れられません。

本作を観た観客にどんなことを感じて欲しいですか?

この物語は、私にとってずっと「愛」についての物語でした。その核にあるのは、とても希望に満ちた映画です。観客や読者がこの映画を観て、時に激しい瞬間もありますが、最終的には希望と力を感じてもらえたらと思います。この希望は、リリーが映画で経験する痛みや悲しみを軽んじるものではありません。むしろ、彼女がその痛みを乗り越えたからこそ、希望が輝くのです。逆境を克服し、自分の力、平穏、そして喜びを見つける強いキャラクターを見ることは、とても美しいことだと思います。観客がこの映画を観た後、希望を感じ、自分の人生で断ち切るべきサイクルを乗り越える準備ができることを願っています。

『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』全国の映画館で公開中

『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』は大ヒット公開中。(海外ドラマNAVI)