『SHERLOCK』アンドリュー・スコット、新作サイコスリラー『リプリー』について語る

英人気ドラマ『SHERLOCK/シャーロック』の悪役ジェームズ・モリアーティ役で知られ、ここ近年の活躍が目ざましいアンドリュー・スコットが、Netflixの新作ドラマ『リプリー』について語った。

モノクロで描かれる『リプリー』は、パトリシア・ハイスミスの小説「太陽がいっぱい」のドラマ版。貧しい青年トム・リプリーが富豪の友人を殺害して彼に成りすまし、財産を奪うために立てた緻密な計画の顛末が描かれる。

アンドリュー・スコット インタビュー

リプリーとの共通点を見つけるのが難しかった

GMAのインタビューで、『リプリー』に主演するアンドリュー・スコットが応じ、「トム・リプリーの心身に入り込むのはどれほど大変でしたか?」との質問に、「かなりのチャレンジでした。大きな名誉であり特権でしたが、間違いなく大変でした」と回答した。その理由については、リプリーが非常に複雑かつ多面性を持つキャラクターで、小説だけでなく映画のキャラクターとしても多くの人々を魅了しているからだと説明。実際の役作りについては、リプリーというキャラクターが大好きになったが、イデオロギー的には全く自分とは異なるため、リプリーとの間に共通点を見つける必要があるとしても自身はメソッド俳優ではないため、その作業が難しかったとコメントしている。

1年間、毎日休みなし

さらに、撮影で特に大変だったのは、膨大な出演シーンがあったことだと振り返ったアンドリュー。「8時間の番組で、シーンの95パーセントにリプリーが登場しているという事実だけでも大変な演技量で、1年間にわたって毎日、ずっと休みなしで現場にいて演技をし続けるのですから」と述べ、体力的にもキツかったと吐露。結論として、「だから心理的に非常に孤立した、必ずしも孤独ではないが、かなり寂しいキャラクターを演じていることに気づきました。故郷を離れて、言葉も通じない場所にいると凄くダークな気持ちになってしまうし、この役を演じられるのは大きな特権でしたが、間違いなく挑戦でした」と答えた。

マット・デイモン主演の映画版からの影響は?

続けてアンドリューは、1999年に公開されたリメイク映画『リプリー』に主演したマット・デイモンを意識したのか、もしくはマット版から何かインスピレーションを受けたのかどうかとの問いに、「すでに成功した他の人のバージョンを模倣することには、何の意味もありません」と回答。Netflix版で脚本・監督を務めたスティーヴ・ザイリアンが、「シリーズをモノクロで描きたい」という、非常に明確なビジョンを持っていたことに言及した。ザイリアンがモノクロで描いた狙いは小説の読み方と同じで、時おり読者は小説を読むときに、白か黒かどちらかの光を当てるように、物語や登場人物の小さな側面にフォーカスすることがあり、ザイリアンはシリーズをモノクロにすることで、視聴者に物語の見方を教えようとしたのではないかと、アンドリューは分析した。

リプリーは悪役ではない

そしてトム・リプリー役は、『SHERLOCK』のモリアーティに続く悪役となるが、アンドリューにとっては悪役を演じる方が面白いのだろうか? その質問には、こう答えている。「僕はトムを悪者だとは思っていません。他の人が彼を悪役と呼ぶ権利があることは分かっていますが、僕は彼をすごく複雑だと思っているから、彼を単なる悪役と呼ぶのは安易ではないでしょうか。間違いなく、彼はアンチヒーローですよね。この物語と脚本の偉大な功績は、視聴者が必ずしも応援すべきではない誰かを応援してしまうことだと思うんです。ほとんどの視聴者は、彼に逃げ切ってほしいはずです。視聴者が彼に(悪人ではないかもしれないと)疑問を抱くのは、自分の中にトム・リプリーを見出しているからではないでしょうか」

そう語ったアンドリューは、視聴者にリプリーの犠牲者になるのではなく、彼の立場になって感じてもらいたいのだという。誰でもリプリーのように心の中に闇を抱え、自分自身について問いかけたい部分があるものの、その答えは自分にとって謎のままで簡単には見つからない。そんな本シリーズのコンセプトについて、「視聴者が問いかけたくなるのは、それが本当に優れた芸術だからだと思います」と答えを締めくくった。

アンドリューが主演する『リプリー』は、Netflixにて4月4日(木)より配信スタート。(海外ドラマNAVI)

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Photo:©Netflix