海外ドラマから垣間見えるアメリカの医療制度

 

WOWOWでノンスクランブル放送中の『デーブ&麻里の海外ドラマNAVI』、みなさんご覧になってますかあ?

 

この前の放送では、デーブさんや関根麻里ちゃんが『グレイズ・アナトミー』紹介にからめてアメリカの医療制度を紹介していましたね。

グレイズ・アナトミー』や『ER 緊急救命室』などを見ていると、加入している医療保険の種類がどうのこうのだとか、この保険だとこの手術は受けられないだとか、この病院ではこの人の治療はできないとか、日本人には"???"なことがいっぱいでてくるのでは?

映画でも"社会派"マイケル・ムーア監督の『シッコ』を始め、デンゼル・ワシントン主演で話題を呼んだ『ジョンQ-最後の決断-』など、アメリカの医療制度問題にメスを入れた作品が多くあることにお気づきの方も多いのではないでしょうか。

というわけで、今回は海外ドラマでもよくとりあげられているアメリカの医療制度について。

■知ってビックリ。日本とアメリカの医療制度

そう、アメリカには根幹となる公的な医療保険制度がなく、ほとんどが民間の医療保険でまかなわれている、というのが現状(公的なものがまったくない、わけではない)。無保険状態の人がおよそ4700万人もいるというのだから驚き。

日本だと、国民全員が加入する(義務付けられている)国民皆保険(こくみんかいほけん)制度だから、基本、だれでも治療を受けることができる。たとえ無保険者が40万人いるじゃないかといっても、それは加入していないだけのことで、加入拒否をされているわけではないのです。おまけに未加入でも診療拒否されずに、みんなが同じレベルでの治療を受けることができる(無保険の自由診療などは除くけどね)。
ただ、心臓移植など特殊なものについては、技術ではなく法律的な制限があっていまのところ、アメリカでの移植が多く行われている。しかーしこれ、説明しだすと長くなるんでカット。

でも、アメリカでは違う。病院に行っても診察してもらえない、保険への加入も審査ではねられる(お金がないと特に)。金額もケタが違う。日本では自己負担10万程度の手術費が、アメリカだと100万近く。日本は3割負担だから、全額負担だとしても40万程度なのに、アメリカはその倍以上。これじゃあ、簡単に手術する、というわけにもいかない。
なるほど、市販薬が安くて多いわけだ。

■困っている人が多いからドラマになる

こんなことが当たり前なアメリカならではの医療現場が、ドラマでも多く描かれているんですね。
たとえば、『グレイズ・アナトミー』。
最近日本で放送されているシーズン3にも、手術内容が実験的過ぎると保険会社が判断、支払いを拒否したために手術ができなくなる、というエピソードが差し挟まれている。まあ、ドラマだとこんな場合必ず助けてくれる神様のような人(この場合はイジーね)がいるからいいけれど、現実はそうもいかない。『ER』にもそんなエピソードはあふれかえっているし。

■自由な医療のほうがいいわよね

といってもアメリカは医療先進国といわれ、日本の医師たちもアメリカでの研修、学会などに重きを置く傾向がなくもない。
確かに19世紀の外科医療を描いている『外科の夜明け』をみても、アメリカの医療技術は当時から進んでいた、そして実験的な医療技術開発に熱心だったことがよくわかる。この小説にでてくる大学、ジョンズ・ホプキンス大学はいまだにアメリカの名門医大だし、確かにすごいわ。でも、そんな医療を受けられる患者はアメリカ国民の一部だけ。
ほかの国々でも"かかりつけ医"制度(昔の日本でも多かったけど制度じゃあなかった)とかあって、担当医師の許可がないと受診できないだとか複雑なことがたくさん。
でも、日本では国民皆保険制度に加入さえしていれば、いつでもどこでも"自由"に治療を受けられる。どっちがいいかは一目瞭然。

まあ、日本だって、待ち時間が長いのに3分診療だとか、インフォームドコンセントが徹底していないぜ(最近はよくなっているけど)、とかいろいろ問題点はあるけれど、アメリカのように門前拒否されるよりはましかも。だからといって、『グレイズ・アナトミー』のベイリーのようにいきなり無料クリニックオープンというのも両極端だけどね。

とはいえ、日本も安心してはいられません。アメリカのような医療制度を取り入れようという動きもあるので、他人事ではないんです。いまのうちに、アメリカの医療ドラマをみて、問題点を把握しておこう!

なんて強引な展開だけど、やっぱり異なる文化の国のドラマはおもしろいよね。

『デーブ&麻里の海外ドラマNAVI』
【放送予定】
毎週土曜午前11時~
WOWOWにてノンスクランブル放送中(無料放送)!

©Touchstone Television.