『リベンジ(原題:Revenge)』日本上陸決定! 高級リゾート地ハンプトンで巻き起こる復讐劇。サスペンスとイケメンてんこ盛りの現代女性版『巌窟王』

『リベンジ』。

これほどドラマの内容が一目でわかってしまうタイトルも珍しい。ほぼ間違いなく、誰かが誰かにリベンジするわけだ。もしこのタイトルで誰もリベンジしなかったら、主人公が大気圏から一歩も出ず、つつがなく平和な生涯をおくる『スターウォーズ』みたいなもんだ。だが、この身もふたもないタイトルとは裏腹に、この秋からアメリカで始まった新ドラ『リベンジ(原題:Revenge)』は、一寸先に何が起こるかわからないスリリングな展開で話題を呼んでいる。つい先刻、このドラマが来春から日本でも放映されることが決まったと、NAVI編集部に聞いた。この予測不可能なサスペンスドラマが、日本でもかなりの人気を呼ぶだろうことは想像に難くない。

このドラマの原作となったのは、アレクサンドル・デュマの小説「モンテ・クリスト伯」。いわゆる「巌窟王」だ。無実の罪で監獄に送られた男が、脱獄して大金持ちになり、自分を陥れた悪漢たちに仕返しする、血湧き肉踊る復讐劇。『リベンジ』では、より多くの女性の視聴者層を獲得するために、この男の復讐物語を「女の戦い」にアレンジ。女性をメインに据えることでロマンスの要素がボリュームアップ、セクシー度&ドロドロ感が増し、女性も楽しめるエンターテイメントに仕上がっている。

主人公は、無実の罪で刑務所に送られて死んだ男"の"娘。父の仇への復讐心に燃えるヒロインを『ブラザーズ&シスターズ』のエミリー・ヴァンキャンプが、眼光するどく演じている。これに対し、彼女がターゲットにしている富豪一族の「女帝」役に扮するのがマデリーン・ストウ(『12モンキーズ』)。上流家庭らしく、その立ち居振る舞いには気品が感じられるが、氷のように冷ややかな微笑から繰り出される皮肉はイヤミ度120%。その女帝ぶりたるや、腹立たしいのを通り越し、思わず見惚れてしまう。

このような復讐劇において、敵が強大であれば強大であるほどドラマが盛り上がるのは言うまでもない。『十三人の刺客』しかり、『キル・ビル』しかり、『ガンバの冒険』またしかり(厳密には『ガンバ』は復讐劇ではないのだが、白イタチ「ノロイ」ほど巨大で恐ろしい敵はまぁいないので、つい)。その意味で、『リベンジ』の成功はこのマデリーンの圧倒的な存在感に負うところが大きい。

この「アマゾネス対決」に花を添えるのは、もちろんグッド・ルッキングな男たち。中でも、エミリーと婚約するマデリーンの息子を演じるジョシュア・ボウマンと、エミリーが秘かに想いを寄せる幼なじみの男性 に扮するニック・ウェクスラー(『ロズウェル -星の恋人たち』)はなかなかのイケメンで、「この二人が惚れてまうほどエミリーってかわいいか?」と、同ドラマのキャスティング・ディレクターの仕事に疑問を呈したくなる。

そんなイケメン頼りのソープドラマ的な一面が鼻につき、パイロット版を観た段階では、私はこのドラマのことを過小評価していた。冒頭でいきなり、ある主要キャラが撃たれ、物語はそこから5ヶ月前にさかのぼって進行するのだが、そんな飛び道具を見せて視聴者を釣ろうとするこのドラマを、先の展開が透け透けの「見せたガール」だと早合点してしまったのだ。

しかし、パイロット版でストリッパーのように「未来」という衣を脱ぎ捨て、丸裸同然に思えた『リベンジ』は、第2話から突如として厚着をしはじめ、中国並みの情報統制へと転じる。毎回、主要キャラたちの過去の姿を、部分的な不完全な回想シーンで見せられ、観ているこちら側は情報不足による予測不能の状態に陥る。チラリズムによって視聴者を焦らすだけ焦らし、「もっと、もっと」と次週の放送を渇望させる目論みなのだ。んもう、このイケズ。

中でも不気味なのは、主人公エミリーの回想シーンにおいて、父親は何度も出てきてその優しい笑顔を見せているのに、母親が一切出てこないこと。彼女はまだ生きているのか? だとすれば、この先どう絡んでくるのか? また、死んだとされている父親の、実際に死んだ場面のフラッシュバックが一切出てこないのはなぜか? このドラマが復讐劇であることを思えば、主人公への同情心を煽るためにも、父親のご臨終シーンなどは真っ先に出てくるべきものであるはずだ。ひょっとして、父親はまだ生きているのではないか? そして一番悪いのは実は父親で、シーズン2ではエミリーが父親にリベンジするのではないか? あるいは、エミリーのせいで全てを失ったマデリーンが、エミリーとその家族にリベンジするとか? などなど、妄想は尽きない。

最後に、上流階級のドロドロした人間関係や、嫌みオンリーで成り立つ彼らの食卓の会話も、このドラマの見所のひとつだ。あくどいことをして 儲けたひとにぎりの連中が追いつめられるところを見て、残り99%である庶民の私たちがスカッとする。水戸黄門や遠山の金さんが悪代官を懲らしめる時のような、勧善懲悪の快感がそこにある。そういう意味で、『リベンジ』は時代劇ファンにもいけるかもしれない。

そういえば、もうすぐ真田広之も『リベンジ』に出演すると当サイトのニュース記事で読んだ。一日本人として、彼の活躍に期待したい。