スキャンロン刑事役 斉藤次郎さん
――シーズンを通してどのキャラクターより振れ幅が大きく、厳しい過去を持つスキャンロンですが、特に印象に残るエピソードは?
いくつかありますが、特に印象深いのはスキャンロンが証拠を捏造したというエピソードですね。確か「無罪と有罪」というエピソードだったと思います。ある犯人が犯罪を犯したことの証拠があげられなくて、でもひょんなことからそれにたどり着いて、違う事件にくっつけて証拠を作ってでっちあげて捕まえてしまったという...。犯罪を憎むスキャンロンの心が露わになっていてね。法を守るべき人が法を犯して犯人を捕まえるという、そうまでしてしまうくらい犯罪を憎む心が前面に出ていたのが印象に残っています。
――スキャンロンは刑事という役だったので、難しい用語が多かったと思いますが、苦労した点などはありますか?
やっぱり名前が難しいんですよ。デヴァロスとかデュボアとか。今だから言える話ですが、最初は自分の役名も「スキャロン」だと思ってましたから。この番組は日本人にはなじみの薄い名前が多くて、その中で説明台詞を言ったりするんですが、「○△公園で、難しい名前の人が、難しい名前の薬品で殺された...」というセリフが台本の1ページくらいあるとものすごく大変で、皆さんにもご迷惑をおかけしましたね。特にカタカナがニガテなのが露呈しました。カタカナが4文字以上になるたびに緊張してましたよ!(笑)
デヴァロス検事役 浦山迅さん
――浦山さんのお芝居から生まれた「なんだぁー」という口癖、これは最高ですね。
彼が持っている悩みとか矛盾とかが、人との対話の中でぶわっと噴き出そうとするとき、デヴァロスは自分の理性でぐっと止めてみたり、ちょっと息つぎして話題を変えてみたり、「今これは言っちゃいかん」って思ったりするんです。その"継ぎ目"の部分で(検事は)とてもいい表情をするんですよ。だから、そのときの気持ちを表現する「なんだぁー」って言葉に巡りあえたときは「これだ!!」って思いましたね。いいセリフにめぐり合えたな、と。大事にしたい言葉ですね。ただ、やりすぎると(演出の方に)「...ちょっと、おさえてください」って言われますけど(笑)
――どんなセリフ回しでも噛まずに完璧な浦山さんですが、デヴァロスを演じる上でのポイントは?
技術的なことというよりは「どれだけデヴァロスと気持ちを共有できるか」なんですよ。トラブルに巻き込まれたときや、アリソンと対立したとき、悩んだり不安に思ったり決断できなくて困ったりしたとき、その悩みや気持ちを演じている自分が共感できるか、もっと簡単な言葉で言うなら「好きになれるか」。そこをいつも気にしています。それで「うん。この悩み、わかるわかる」って思えるとスッとのっていけるんです。
逆にとても入り組んだトリックなどが使われているときなど、「(話の進行上)どうしてもこの状況をデヴァロスが説明しないといけないんだろうな」って場面がときどきありますよね。デヴァロスが、スキャンロンが、あるいはアリソンが説明する場面って。ああいう場面は事実の組み立てでしかないから、共感しづらい。ちょっと固くなりますね。
――しかもカタカナが多いですよね。人の名前とかも。
そうですね。いろいろな民族というか、聞いたことのない名前がいっぱい出てきますから。しかもみんなで同じ言葉を言い合う場面もありますので、例えば他の演者さんが言い回しで失敗した!という場合、その言い方を聞きながら「ならばどうすればうまく言えるか?」とひそかに考えたりしています。ただ、『ミディアム』のこういったセリフが大変だったおかげで、他の現場に行っても「ああ、大丈夫大丈夫!」って自信がわきます。だって他じゃここまで難しい言葉、出てきませんからね(笑)
シリーズでお届けした『ミディアム』吹替を担当している声優さんたちへのインタビュー、いかがでしたか? いよいよ4月9日から『ミディアム7 最終章』が始まります。演じている声優さんたちの本音や思いを感じつつ、ドラマを楽しんでいただければ幸いです。
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『ミディアム7 最終章』
2012年4月9日(月)23:00よりWOWOWプライムで放送スタート!
(c)CBS Broadcasting Inc.