『ゲーム・オブ・スローンズ』きっての悪女と言えば、ラニスター家出身の王妃サーセイ。その声を担当する本田貴子さんは大のファンタジー好きだそう。仕事抜きにしてもかなりハマるというこのドラマの魅力を大いに語ってくれました。
―― この作品ってとても見応えのあるドラマだと思うんですけど、最初に見た時の印象はいかがでした?
時代物っていう段階ですでにテンションが上がりました(笑)、時代物とかファンタジーとか大好きで。ですから、このドラマはドンピシャで好みだったんです。導入部でウィンターフェルの壁の向こうの様子が少し出てくるんですが、そこでもう「なにこれ、どんなお話になるの?」って引き込まれてましたね。
―― 吹き替えの収録も進んできて、最初の印象と変わった部分などはありましたか、逆に。
全然。登場人物も増えてきましたし、期待を裏切られることなく面白いです。先日なんか、久々に「イヤぁー!! どうなっちゃうの!? 怖くて見てられない!!」みたいな(笑)そんな気持ちになりましたよ。本当に面白いです。
―― この作品って映画のスケールをそのまま持ち込んでる印象がすごく強くて、そのスケール感というのはずっと維持されているじゃないですか。吹替えをしながら思わずテンションが上がってしまう事はありますか?
もちろんです。家で、頂いたリハVを見て新たな展開にテンションが上がり、現場で皆さんのお芝居にテンションが上がり、一緒にセリフをかけ合ってさらにテンションが上がり(笑)。この作品の"物語を読んでいるような感じ"を壊したくないですよね。何ていうんでしょうねぇ...。
―― 世界観?
そうですそうです。世界観を壊したくないんです。それは出演者の皆さんもそうだと思います。面白いのは、時代劇ですし、みんな普段のお芝居とは少し違いますよね。
―― このドラマに参加されている声優さんたちの声って、ほかのドラマでもよく耳にしていると思うんですが、このドラマでは「あれ?ちょっと他の時とはちょっと違う?」みたいな楽しみ方ができますね。
わぁー、こんなにねっとり喋ってくるんだ、とか(笑)。
―― しかしこのドラマってものすごく登場人物多いですけど、それって結構大変じゃなかったですか?
私は現在原作を読まずに臨んでいるのですが、人物相関図も頂きましたし、ネットの力もお借りして(笑)それほど混乱はせずに済みました。原作はドラマより登場人物が多くて大変みたいですね。
―― このたくさんいる登場人物の中でも本田さんが演じるサーセイって、かなり強烈なキャラクターだと思うんですけど。
そうですね。強烈なんですけど、(サーセイを演じる)レナ・へディさんは堂々と微動だにせず、眉ひとつ動かさずなんです。さぁ、ここで私がどのくらいの表現そしてサーセイの腹の底を言葉にのせるか...、ちょっと今は向こうの女優さんと戦っている感じですね(笑)。
―― あまり表情を変えないし、非常にクールなスタンスを保ち続けながら、悪行の限りを尽くしてる感じですよね。
怖いですよね。去り際の台詞とか(笑)。笑顔で喋っていても本心なのか嘘なのかサッパリわからない。そんな感じですね。
―― サーセイの言動でおいおい、そりゃあないだろって思わず言いたくなったことはあります?
それがですね、やっぱり自分の役だから彼女の側に立っちゃうんでしょうか、そんなにショッキングで、裏切られるような発言は無いんです。近親相姦とか他にもすごいことを平気でやってるなぁとは思うんですが、血筋や権力が大事なこの時代にあっていて。今、ドラマの半ばまできて彼女が心情を少しずつ吐露し始めたんです。ああいう彼女になったのには理由があり、サーセイも根っからの悪人ではないんです。
―― サーセイを演じる上で一番気を配っている点はどこでしょう?
まずはさっきも言いましたが、物語の世界観を壊さないようにしたい。それとサーセイの"王妃様"像というのを壊さない様にしたい。ただの妃ではなく王妃!!(笑)サーセイの露骨ではない淡々とした台詞の中に、彼女の傲慢さ、あきらめや葛藤を表現したいですよね。向こうの女優さんが表現していることを日本語でもちゃんと伝えたいです。
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―― ちなみに本田さん的に自分のキャラクタ-以外で気になるキャラクターっていうのはいますか?
デナーリスですね(即答)。もう完全にデナーリスです。まず見た目にやられちゃいました。なんだこの可愛い子は!って(笑)
―― 彼女は本当に可愛いですよね。しかも彼女が一番ファンタジー感を表してるじゃないですか。
そうですね。ドラゴンの血ですからね~!! ファンタジ―本当に好きなんで大興奮です(笑)彼女って純真無垢を体現してますよね。そして一本芯が通っている。どんどん成長してますし、この先が楽しみです。
―― ファンタジー好きからするとやっぱりデナーリスはかなりツボなキャラクターですよね。お兄さんのヴィセーリスもキャラとしては結構面白いですが(笑)
しかもヴィセーリス役を川中子雅人さんがまた拍車をかけてすごいお芝居をされていますから!!乞うご期待な感じです。もう本当に最高ですよ。
―― ドラマのストーリー的には血で血を洗うような部分もあったりするシリアスな作品ですが、そんな中、収録現場のムードメーカーになっているのはどなたなんでしょう?
そうですねぇ、結構和気あいあいな現場ですが...、ジョラー・モーモントを演じてらっしゃる咲野俊介さんでしょうか。毎回、楽しくて面白い、でも鋭いツッコミ入りますし(笑)。今回ティリオン役の森川さんが抜き録りだったのですが、テストの時ティリオンの台詞を読んで下さっていました。ありがたいです。そんなこともあり家でリハする時しばらくはティリオンから咲野さんの声が聞こえてましたね(笑)。楽しい兄貴的な存在です。で、スタジオの中ほどにエダ―ド役の手塚秀彰さんがドシンと構えていらっしゃる。こんな感じです。
―― このドラマってデナーリスのパート、エダードのパート、サーセイのパートというように、それぞれ視点が分かれていて、その上で人間関係が絡み合っていくので見どころも本当に多いと思うんですけど...
多分4倍ぐらいおいしいんじゃないですか?他のドラマに比べたら(笑)。好きなキャラクターを見つけて追いかけるのも楽しそうですね。
―― その中で本田さん的に一番注目してほしいポイントっていうのはどこなんでしょう?
えー。シーズン1であれば、やっぱりエダードを追いかけてほしいです。あとはこのシーズンで諸名家と家系を理解できれば(笑)。これから権力がどう動いていくのかも気になりますし...本当にどこにポイントを絞ればいいんだろうって悩んでしまう作品ですよね。そこがなんかゲームっぽいんですかね。
―― その辺ホントになんかタイトル通りゲームな感じですよねぇ。
ストーリーはどんどん枝分かれしていくし、これから冬がきたらどうなっちゃうのか全然想像がつかないですね。
―― 先が読めない上、アメリカでも人気ですし、当分続きそうですが、今後サーセイにはどんな展開を期待します?
どうしたいかなぁ。サーセイは、まぁとりあえず息子に権力を握らせたいでしょうねぇ。サーセイの愛って歪んだところがあるので、利害関係なく彼女を一番に愛してくれる人に巡り会って欲しいような、でも難しいだろうなぁとも思ったり。そうですねぇ...行くところまで行って欲しいですかね。地位も権力も。ただ、サーセイって実はあまり器用でもなさそうなんですよね、やっぱりお姫様育ちというか。うーん...まぁ、最後まで生き残れ!!シーズン全部出てやれ!!と(笑)
―― このドラマには各家に銘言という、標語というか家訓のようなものがそれぞれにあるので、それにちなんで本田さんの銘言、座右の銘を最後にお聞きしたいのですが...。
えー、本当に?ないですねぇ(笑)
―― みなさんこの質問が一番苦しむんですが(笑)
あー、そうですねぇ。 座右の銘は、「嘘はつかない」でしょうか。でも、毎年"有言実行"を掲げて実行できてないので、あぁ嘘ついちゃってますね。
―― 何か今年成し遂げたいと思ってることってありますか?
とりあえずは仕事と子育ての両立ですか。
―― 大変ですよねぇ、そこはやっぱり。
いえ。先輩方も通ってきた道ですから。サーセイを演じつつ、家庭をちゃんと平穏に。頑張ります(笑)。
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