【お先見】本年度のオスカーを仕切る司会、セス・マクファーレンとは何者!?

20130203_05.jpg今回のお先見!の話題は、本番まであと1か月を切ったアカデミー賞授賞式。

今年、米国映画界の頂点の祭典にホストとして大抜擢されたのは、セス・マクファーレン。この名前、日本ではあまり知られていないので、「え? 誰なの!? 全然知らない人じゃん...」という反応もあったのではないでしょうか?

おそらく日本では、公開10日間で10億円の興収を上げて いる、現在大ヒット上映中のラブコメディ映画『テッド(TED)』(マーク・ウォルバーグ、ミラ・クニス主演)の原案・製作・監督・脚本・出演でその存在が大きく知られるきっかけとなっているはず。この映画で、"事実上の主役"として無茶苦茶に暴れまくるテディベアの声を演じているのが、セス本人です。

本国アメリカでも、この『テッド』の好評価&ヒットによって、セスの一般的な注目度がアップしたことは当然なのですが、彼の原点と言えるのは、米FOXテレビで人気の『ファミリー・ガイ』というアニメ番組。PTC(PTAのテレビ版的保守団体!?) が「今週の絶対子供に見せたくない過激番組」として何度も糾弾している、カルトファン絶賛の"名物"アニメのクリエーターが彼なのです。

この『ファミリー・ガイ』は、オープニングの歌から「古き良きテレビにはバイオレンスとセックスがあった♪」と放言し、その物語は、政治、宗教、映画、TVドラマ、音楽、スポーツ等、あらゆる題材をギャグのネタにして次々と繰り出します。15人前後の脚本家たちは、アニメ畑ではなく、主にシットコム出身。毎回、放送コードギリギリの笑いを展開しているのが大人気の所以です。

なんとセス本人がグリフィン一家の父ピーターや犬のブライアン(『テッド』のようにシニカルに喋るペット)など、いくつもの役の声を演じ分け、声のパフォーマンスや歌詞などのアニメ部門で、実に4度もエミー賞を受賞を果たしている優良(!?)番組です。

そして映画ファンには嬉しい、ミラ・クニス嬢がグリフィン一家の娘メグの声でレギュラー出演中。楽しそうでしょ?
このシリーズは業界人にも人気なことで有名で、ロバート・ダウニー・Jr. は親子でこのアニメの大ファン。番組の製作陣に逆オファーまでして、シーズン4の第17話に"パトリック"という役で出演まで果たしてしまったという入れ込み様です。

このアニメが、どれほど「不届き千万!」な番組なのかは、
やはりセス本人が演じている、幼い息子ステューウィー(実はこの家族の一番の"悪役"なのですが)が、母親ロイスを生まれながらに憎んでいて、弓矢や手榴弾といった武器で彼女の命を常に狙っている(ヒドい!でもいつもこの策略は失敗するので笑えます)、というとんでもない設定に表れています。
シーズン1の第1話を見てみたのですが、父ピーターが職を失い、福祉手当を不正受給して大贅沢をするという、まったく道徳に反した物語(あれ、どこかで聞いたな、こんな話...)が展開します。もちろん、オチがあるわけですが。
もう、やりたい放題のアニメ版シットコムなのです。

さあ、ここまでくれば、アカデミー賞授賞式の司会ぶりがいったいどんなものになるのか、楽しみになるのも当然!! 昨年、残念ながら企画が流れてしまったエディ・マーフィの司会よりも、もっと時勢にリンクした、もっと粋で、もっと毒の利いたトークが炸裂するはず。先日のアカデミー賞ノミネーション発表で、彼がエマ・ストーンと共に登場し、会場の記者たちを爆笑させていたように、おそらく、近年のアカデミー賞では最もジョークと笑いの多い、楽しさいっぱいのショウになるでしょう。

彼の清々しい笑顔は、その毒を打ち消します。まるでテディベアが波乱を巻き起こしても何でも許せてしまうように...。そういう意味でも、明るさと鋭さの"バランス感覚"を求められる授賞式ホストの大役にはもってこいの逸材なのです。
ひょっとしたら、将来、「Mr. アカデミー賞」の異名を持つビリー・クリスタルを越えていく存在になるかも(?)しれません。

アカデミー賞の放送が『R指定』ならないことだけを祈りましょう(笑)。
過激に笑える本番を、どうかお楽しみに♪