最近は、ある特定の大人の女性に対しても「女子」という言葉を使うことが一般的になってきていますね。何才までが女子の定義なのかは謎ですが、流行のガールズドラマをチェックする女性は「女子」という呼称が当てはまるはず! 今回紹介する『The Lying Game』もそんな「女子」たちが好きなテイスト満載のガールズドラマです。
主人公は、優しくて真面目だけど、非情な里親の家で育った幸薄げな女子高生エマ・ベッカー。ある日、エマは生き別れた双子の片割れのサットンと出会います。裕福なマーサー家の養子となり何の不自由もなく暮らすサットンは、実の母親を捜すためにエマに数日間だけ身代わりを頼むのです。これまでの暮らしとは全く違うきらびやかな世界でサットンとして生活することになったエマ。そして、ふたりは出生の秘密を探るうちに様々なトラブルに巻き込まれ...というのが大体のあらすじ。
サッソンの消息がわからなくなったり、実の母親を見つけたと思いきや別人だったり、とドラマはハプニングの連続。サッソンが母親探しを続ければ続けるほど、新たな謎が現れてエマの人生も翻弄されます。双子の出生を隠そうとする大人たちとのだまし合いや駆け引きで、次第にもう誰が仲間で敵なのかわからなくなり、ハラハラさせられっぱなし。
ジェットコースター並のスピードで展開されるミステリー仕立ての物語ですが、恋のバトルや、女の子同士の友情やライバル関係、学校のイベント、家族間のごたごた、といった日常生活あるある要素がちりばめられています。普通の女の子たちが登場人物に感情移入しやすいドラマに仕上がっています。
『The Lying Game』というタイトルは、巧妙なウソをついて、大人や友だちをだましてその反応を楽しむという思春期の少女特有の悪趣味な遊びのことも指します。ドラマ内でのこの嘘つきゲームの主犯はサットンですが、彼女だけでなく『The Lying Game』に出てくるガールズはみんなウソIQが高い! 真面目で正直者なエマだって、罪悪感を抱えつつもサットンの身代わりをバレずにうまく演じています。
誰かを守るための優しいウソや、他人をうまく操るためのウソなど、このドラマでは次から次へとたくさんのウソが出てきます。よく考えてみれば、化粧やきれいな服で身を飾って素の自分を隠しているという意味で、現実世界の女子も常にウソをついていますよね。そんなかわいいウソが身についた女子たちは、登場人物たちが上手にウソをつくことも「なんだかわかるー」と素直に共感できたり、「その手があったか!」と納得したりできるのかも。ガールズたちのウソ能力の高さに感心しつつ、ナイーブな男子諸君こそこのドラマを見て女子の生態を学ばなきゃなのでは? ホント女子ってあなどれませんから!
さて、心優しいエマとは対照的に、わがままで自己チューなお嬢様気質のサットン。全く性格の違う双子をアレクサンドラ・チャンドが一人二役で演じています。回が増すにつれてアレクサンドラの演技に磨きがかかり、サットンのどや顔とエマの控えめな笑みは、まさに別人のように見えるからあっぱれです。
そのほかの見所としては、双子が共に恋に落ちるイーサン役のブレア・レッドフォードの胸筋!こんな鍛えられあげた体の高校生いないよーと思いつつ、ついつい見とれてしまいます。そんな私は女子ではなくただのガールズドラマ好きなオバハンかも...。また、マーサー家の次女ローレル(アリー・ゴーニノ)のポップなバイオリン演奏と伸びのある歌声もこのドラマの魅力のひとつです。
『The Lying Game』は、ABCファミリー・チャンネルで2011年夏にシリーズ1が始まり、今年の1月からシリーズ2が始まったばかり。原作は日本でも放映されている『プリティ・リトル・ライアーズ』同様にサラ・シェパードの小説です。そして『The Lying Game』シーズン2の放映時間は同局の『プリティ・リトル・ライアーズ』シリーズ3のすぐ後。視聴者層が同じで、すでにシーズン4の続行が決定している『プリティ・リトル・ライアーズ』の人気に乗っかろうとする『The Lying Game』制作側の意図が見え見えですね。
『プリティ・リトル・ライアーズ』と人気を二分することができるのか? そういう意味でも『The Lying Game 』の今後の行方が気になります。