7月8日(月)からWOWOWプライムで日本初放送となる海外ドラマ『スキャンダル 託された秘密』。この第1話のキーパーソンとなるサリー・セント・ジェームズという人物の声をドラマに映画にと活躍中の俳優・斎藤工さんが演じることとなりました!
今回、声優初挑戦となる斎藤さん。アフレコ終了後、NAVI編集部がお話を伺ってきました!
このアフレコの直前、とあるお昼の長寿番組(笑)に出演していた斎藤さん。「これ、さっきいただいたばかりなんですよ!」と、某グラサンが日本一似合う司会者の携帯ストラップ(笑)を嬉しそうに見せてくれました! 幸先いいインタビューになりそうです。ではどうぞお楽しみください!
――今回、声優初挑戦ということですが、まずは『スキャンダル』をご覧になったときの感想をお聞かせください。
まずテンポがすごく良くて、内容がすごく詰まっていますよね。1話は一時間弱だと思うんですけど、そこに内容が凝縮されてる。展開もすごいテンポがいいんですよ。中だるみの時間がない作品でした。これってやっぱり映画とは違う、ドラマ的にすごい大事な要素なんだなって思いましたね。
ドラマを観ている視聴者としては、ちょっと"渇いている"状態のまま、ストーリーが次に次に進んでいく感じ...自分もこの間『カラマーゾフの兄弟』(フジテレビ系)というドラマに出演していたんですけど、あれも視聴者が「もうちょっと先を観たい」という状態で各話が作られていて...。観ている人に「次を(続きを)観たい」って気持ちにさせることは、ドラマにとって大切な要素なのかなって思うんです。それがこの作品に詰まっているのはさすがだなと思いましたね。
――斎藤さんがアフレコをした第1話、さきほど拝見しましたが、実際のキャストの方の雰囲気や声とあっていて素敵でしたよ!
これは、キャスティングの妙だと思うんですよね。僕はまだ声の仕事としての技術がないですし、僕自身がこの仕事に対する向き不向きを判断できる訳じゃないですし。僕の声色を冷静に分析して判断してくれた制作の方たちの判断が良かったのかなって。スタッフの方々に本当に助けられました。あんまり無理がなく挑戦できましたね。
――この吹替の仕事のオファーが来た時、どのようなお気持ちでしたか?
もともと声の仕事は興味があって、声の仕事ならどんなコンディションでもできるしいいなって。とはいえ、今の声優さん、かっこいい方もいっぱいいますよね。
この俳優の仕事を長くしていると感じるんですが、俳優は"全身表現"なんですよね。舞台とかやってるとそう思います。でも声の仕事のように限られた情報の中で演じる方がよりシビアだと思います。例えば『ハウルの動く城』ができた時、木村拓哉さんが声優をやるんだ!って思って見ていたんですけど、映画の途中からもう"ハウル"そのものに見えていたんですよ。木村さんはジブリ作品がお好きなので、たぶんいつも以上に徹底して臨まれたんだと思うんですけど。
役者が声の仕事する時の「肝」ってこういうことなのかなって、その時ふと思ったんですよ。
僕のことを知ってる人はそう多くないと思います。「あの人が声を担当したんだ」っていう入口から観ていただいても、最後はこの"サリー"という役として観ていただけるところまでやりきりたいなっていう希望はあります。実際は難しいですけどね。
――そもそも声の仕事をやりたいと思ったきっかけは何でしょう?
僕、よく映画館に行っていたんです。映画館って暗闇の中で、スクリーンもデカイんですけど、音も強調されてますよね。映画館で響く音...声だけじゃなくいろいろな効果音とか音楽とかもそうなんですけど、そこにすごい興味があったんですよ。普段、しゃべっているトーンであればあるほど、それを暗闇で、大音量で、吐息とかもちゃんと伝わって...なんていうんですかね。僕の中で昔はもっと「お芝居は分かり易いもの」だったんですが、でももっとその「音」に特化してみると、ものすごい厳選された「音」がつけられているんだなって思ったんです。
やっぱり入口はジブリの作品とかですかね。昔から吹替版で映画を観ることはなかなかなく、意味が分からなくても字幕で観るようにはしていたんです。だからそんなに声優を意識したことはなくて。
声優さんのお仕事っていうのは、勉強した方がいいとは思うんですけど、勉強の仕方がいまいち分からなくて(笑)。でも、すごい「職人」なイメージを持っています。
さっきも言ったんですけど、自分がこの役に呼ばれたということは、まず"自分"であればいいのかなぁっていう風には思ってますね。僕自身からは技術とかでなく、本当に自分自身の31年間をお渡しすることしか出来ないので。それが唯一、僕みたいな立場の人間がチャレンジさせて頂く時の武器なんですよね。声優さんぽくなく、背伸びしないで、っていう気持ちでいました。そもそも、プロの方が声を入れることを求めてるんだったら、僕はそもそも呼ばれないんじゃないかなって強気に思ってます(笑)
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――今回演じたサリーという男性ですが、国の英雄と呼ばれた男が殺人容疑をかけられ、無実をオリヴィアたちに訴える...という役どころですが、もしサリーと同じ立場になったとしたら、オリヴィアのあの弾丸トークを浴び続けて、「秘密」を黙ったままでいられますか?
サリーのように国を背負ったことがないし、背負う予定もないので、わかりませんが(笑)でも「誰かのため」っていう思いがある方が腹が据わる気はしますね。何かを公にした時、その影響の矛先が自分一人に向くのではなく、例えば自分の家族とか身近な人にいってしまうと、そこは守ろうと思いますし、自分で自分を守る以上のエネルギーが出る気はするんですよ。だからサリーが「真実」を語らず耐えていた部分は、なんとなくですけど、気持ちは分かったんです。
でも物語の後半、「時代が変わった、今はそんな時代じゃない」っていう一言があったんですが、そこでサリーはオリヴィアたちを信用しようっていう気持ちになったんじゃないかな。彼の牙城が崩れたのはその一言だったんだと思います。たぶんサリーが守っていたものは、「国民は自分のことをこういうふうに受け止めている」と決め込んでいた「自分」な気がするんですよ。
――ある角度から一瞬見えただけの「自分の姿」にこだわっていた、と。
そういうことって日常生活でもありますよね。たとえばtwitterとかネット上で、見えない相手の正体をあれこれどんどん頭の中で想像していくんですが、プラスにはなかなか考えられない。人の思考っていうのは結構ネガティブなので。でも実際のところ、相手はそんなに僕に興味なかったりするんですよ(笑)。
「僕は今までこういう役が多かったですけど、今度こういう役に挑戦します」とかたまに舞台挨拶などの場で言う人がいますけど、その人の今までをみんながずっと見ないですよ!って思いますね(笑)。そもそも僕らの仕事はその時見た断片で勝負していく仕事だと思うので、過去を引っ張りながら仕事をするのは何か違うなって強く思うんですよ。
人間っていろいろな情報を編集して、自分なりのいいところを"情報"として取るじゃないですか。それがネガティブな情報かポジティブな情報かは置いといて。みんな自分勝手なんですよ、僕自身も含めて。だからサリーのようにそんなに深く思い込む必要はないかも、って思います。もし人生が一本のドラマだったら、他人のドラマの中では僕はただの登場人物でしかないので。違う角度から考えたら、すごい気持ちが楽になったことがあって、それを思い出したんです。
人に話したくないこと...自分をさらすことが可能な相手ってすごい限られますよね。それができる相手ってのは、年配だとか若いとか性別でなく...オーラじゃないですけど、それに近いものだと思うんです。オリヴィアにはそういうもの確かにあったし、事実、それがないと出来ない役どころだなぁって思いましたね。
――今回声優に挑戦してみて、難しかった点は?
台本のページをめくるタイミングです(笑)。ペーパーノイズっていうんですか!めくる音ですね。たぶんプロの人は次のページにセリフがまたがっている時に、手前のページに全部セリフや説明を書き出したりしていると思うんですよ。僕はそれが今回間に合わなくて。そこで、セリフが次のページに続いててどうしよう!っていう時に、僕があみだしたのは<中途半端に折る!>です。(写真参照)セリフがページの途中までいったら、こう、折れて浮いた次のページを覗くんですよ(笑)そうすると、だいぶめくる音がなくなるんです。
ただそうはしても、さっき録り直しとなったセリフがあって。やっぱりめくった頭のセリフが間に合ってないから、焦ってセリフが走っちゃうっていう...いやもう本当に素人だなと思いましたね。
――ちなみにご自身では台本をどういう風に使われるんですか?
めちゃくちゃ書き込みますよ!
――結構ボロボロにしちゃうタイプ?
うん、結構ね。その方が役者ぽいじゃないですか(笑)雨の日とか湿ったりするといい感じにシナシナになるんですよ。裏技は「風呂場で読む」そうするといい感じになるんですよね。「なんかあいつ、台本すごい読み込んでんじゃね?」みたいな(笑)でもそういうことをしたことが逆にプレッシャーになって、実はまだそんな読みこんでないのに、周囲がそういう目で見るようになって...だから自分で自分の首を絞めてるんですけどね、逆に(笑)でも結構メモはしますよ。
――吹替の仕事って、他の役者さんが演じている姿に自分の演技を合わせていくことになりますが、その点やってみていかがでしたか?
それ、この仕事をする前にすごい言われたんですよ! 事前に声の仕事をしてる方に相談したら「ブレスのタイミングを合わせることを心掛けた方がいい」って言われたんです。でも今日はそれが出来なかったですね。出来なかったっていうか、ブレスを軸にしなかったっていうか...ドラマがもともとテンポ感がいいのもあったので、波乗りじゃないですけど、流れのタイミングみて、よし!っていうその瞬間の感情の方を大事にしていました。やっぱ出だしの声が合った方がいいとは思うんですけど、でもそのあたりは職人さんにお任せするというか、ある程度ゆだねるほうがいいと思いました。たぶんそういう日本の技術ってきっと世界一と思うので。
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-――ご自身も役者だからこそ、吹替をしているうちに「自分ならこう演技したい」というような気持ちになったりしませんか?
そういう気持ち以上に、もっと職人的に間とかを意識することの方が強かったですね。でも不思議と声を当てていると、全然不自然じゃなく、むしろ感情が乗ってたりするのがすごく気持ちがよかったです。サリー役の人が気持ちを込めているところに、もう一回僕が声でなぞる...だからといって、物まねでもないのがおもしろいなと思いました。
一つ一つのセリフが嘘じゃなく本当の言葉になっていく...その作業。自分の声を当ててる役者さんのアップの表情を見ながらアフレコができたので、そこに化学反応みたいなものが確実にあった気はします。
――お忙しい日々ですが、普段海外ドラマを観る機会って作れています?
僕、海外ドラマめちゃくちゃ好きで!(身を乗り出す)ただ一度観始めると今度は(仕事の都合で見なければならない)映画を観れなくなるんです。だから、僕の中で一番犠牲になってるジャンルでもあるんですよ、本当に。
すごいベタですけど、僕は『プリズン・ブレイク』がすごい好きで、あと『HEROES/ヒーローズ』とかがめちゃめちゃ好きなんですよ。あと『アリー・my Love』とかも観てました。でもシーズンの途中までしか観てないものも多くて...。
時間割を作るんですよ、僕。映画を1日2本くらいのペースで観ないといけないので。しかも自分が出演したものの完パケとか、日本のドラマの第一話だけは一応観るんですけど、そういうふうに時間を切り分けていくと、どうしても観なきゃとは思うんですけど、他のことに時間を取られるんですよ。海外ドラマはよく出来てるんですよ!脚本の書き方とかスタイルの違いとかもあると思うんですけど、一度観始めると余計にはまり込んでしまうっていうのが分かるので、あえて観てないんですよ。
"おのンティーノ"(WOWOWの社員さん。斎藤さんリクエストであえて名前を出します!)という方が、色んな資料をくださるんですよ。普通では絶対見れないような資料とか映画とか!今、WOWOWで『発掘良品』という企画をやらせていただいているんですが、さっき、おのンティーノからこの番組用の課題DVDをいただきまして(笑)。今のところ映画が好きっていうところでこの企画が始まったんで、年内は映画をプッシュしていきたいんですが...来年は分らないですね!(笑)だって、連続ドラマは連続ドラマの良さがめちゃくちゃあるから!
ドラマがやっぱり面白いのは、オチが分からないからなんですよ。役者が、タイムリーな反応を受けながら作っていくから、ドラマを観てる方もそうですけど、一緒に影響されるんです。誰々がこれを観たとか、こういう意見があったんだけどとか、それを現場で話すとそれが反映されたりしますから。映画ははもちろん終わりが分かっていて、じゃあこの作品は制作スケジュールの日数で割って、順々に作っていきましょうっていう意識でいるんですけど、ドラマに関しては、特にサスペンスものとかだと、誰が犯人なんだろ?って思いながら撮影を進めていると、気がついたら自分が犯人だった!ということもあったし。そこが映画と一番違うところですよね。
――最終話の台本を渡されるまで分からないですしね。
そうなんですよ、なのにどんどん撮影は進んでくっていう、あの感じはちょっと面白いですね。
――『スキャンダル』がもし、日本で実写ドラマ化された場合、出演してみたいと思いますか?
そうですねー。セリフの量が多くない役がいいですね(笑)。影で何かを操作しているフィクサー的な...一話の後半で窓辺でふっと振り返って、ボソッと一言...みたいな役がいいですね(笑)。おもしろいことに、実年齢と役っていうのはどんどん変化していくんですよ。僕も年齢的に最近スーツの刑事とか多くて。たぶん彼らも年齢はそんなに離れてないと思うんですよ。僕もサリーと同じ年だったし。同世代でみんなフォーマルな格好をしている、そういう役はやってみたいと思います。
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『スキャンダル 託された秘密』WOWOWプライム
7月8日(月)スタート(全6話)【第1話無料放送】
【二か国語版】毎週月曜 23:00~
【字幕版】毎週火曜 深夜0:10~
※「11時間無料放送SP WOWOWで、忘れられない瞬間を。」にて第1話を先行無料放送!
6月1日(土)20:40【二か国語版】
出演:ケリー・ワシントン(オリヴィア・ポープ役/声:皆川純子)
ヘンリー・イアン・キュージック (スティーヴン・フィンチ役/声:宮本充)
コロンバス・ショート (ハリソン・ライト役/声:板倉光隆)
ケイティ・ロウズ (クイン・パーキンス役/声:山根舞)
ダービー・スタンチフィールド (アビー・ウェラン役/声:恒松あゆみ)
ギレルモ・ディアス (ハック役/声:加藤拓二)
ジェフ・ペリー (サイラス役/声:外谷勝由)
トニー・ゴールドウィン (フィッツジェラルド・グラント大統領役/声:加藤亮夫)
ウェズ・ブラウン(サリー・セント・ジェームズ役/斎藤工)※ゲスト出演
(c)ABC Studios