シリーズ終了から4年。ついに復活した『24』。新作『24-リブ・アナザー・デイ』で、ロンドンを舞台に大暴れするジャック・バウアーの良き相棒として、もはや番組には欠かせない存在となったクロエ・オブライエンを演じるメアリー=リン・ライスカブが今月緊急来日した。7年ぶりの来日となった彼女に、ドラマの魅力や撮影の舞台裏を直撃してきた。
―― ロンドンでの撮影はいかがでした?
とても寒かったわ。雨も多かったし。でもアメリカから離れて長く滞在できたのはすごく良かったと思ってるの。とても歴史のあるところだし、エキサイティングだったわ。食事? どれも美味しかったわよ。日本食には負けるかもしれないけどね(笑)
―― 何かアメリカとの違いを実感した事はありました?
歴史もそうだけど、公共交通機関ね。L.A.に住んでると車中心でしょ。でもロンドンは電車でどんなところにも行けるから。それに人々も礼儀正しいしわ。時々やりすぎかと思うくらいにね(笑)
―― ロンドンではプライベートな時間は取れたんですか?
ええ。家族でよく公園に行ってたわ。そしたら息子は手の骨を折っちゃうし。彼は小さなジャック・バウアーなのよ(笑) 1か月もしないうちにギプスも勝手に外しちゃうし。考えるより先に動いちゃうの。
―― 『リブ・アナザー・デイ』ではクロエが激変していますが、その変貌ぶりについてはご自分のアイデアもあったんですか?
ええ。衣装もメイクもあの形になるまであれこれと試したの。みんなそれぞれに思い描くクロエ像があったから、いろんな衣装を持ってきて、それを1着、1着トライしてはみんなの意見を聞いて、最終的にあの形になったのよ。アイライナーもね、最初よりどんどん盛ってっちゃって(笑) ちょっと過激かな、とも思ったけど、あれで良かったと思ってるわ。クロエに一体何があったんだ? って思ってもらうにはあれくらい必要だったのよ。彼女の怒りやフラストレーション、悲しみ、全てが表れているのがあのメイクなの。でも長い事黒い服を着てたから、撮影が終わってL.A.に戻ってきてからしばらくは、プライベートでも黒っぽい服を着てたわ(笑)
―― クロエの変貌を見たキーファーの反応は?
すごくからかわれたわ(苦笑) カメラの回ってないところでね。アリス・クーパーだのオジー・オズボーンだのとしょっちゅう言ってくるのよ。そうやってからかうのは昔とちっとも変らない。ある意味私たちはとてもスペシャルな関係なのよ(笑)
―― 撮影現場でのキーファーはどんな様子でした?
彼は『24』に戻れてとても喜んでいたわ。みんなこのドラマの事は大好きだけど、長年同じテンションを保ち続けるのは難しい事よ。シーズン8が終わって、4年ぶりに復活した事で、新しいエネルギーを抱えて帰ってきたって感じね。特にこのドラマは彼が関わっている部分も大きいし、キーファーが現場にもたらすものというのはすごく大事なの。
―― シリーズの時と変わらないハイ・スピードな展開ですが、その中でも特に印象に残ったシーンとは?
私を拷問から救い出す最初の再会シーンも良かったけど、そのあとアジトでもう一度改めて再会するシーンも良かったわ。あのシーンでは昔のクロエとは違うんだという面が強く出ていると思う。その変化が出せるあのシーンは私にとってはやっぱり思い出深いものなの。
―― 今回クロエを演じる上でこだわった部分は?
クロエはある出来事がきっかけで、以前とは全く変わってしまったの。その変化を演じるのはまさにこれが自分の役者としての力の見せどころと思ってかなり努力したわ。私自身も母親だし、母親としてのクロエの感情を演じるのも大きなチャレンジだった。だから自分の奥深くにある怒りや悲しみを探り当て、クロエが抱える怒りを体現しようと思ったの。怒り、そして諦めね。彼女はどこかで諦め、投げやりな気持ちになっている。だから昔の彼女だったら一緒にいないような人に頼ってしまうのね。今の彼女は独特のユーモア・センスもなくなっている状態なんだけど、私はこれから少しずつそういう軽さも取り戻して欲しいと思っているわ。
―― 『24』シリーズは出演者も先の展開を知らないまま演じる事が多いと思うんですが、今回の『リブ・アナザー・デイ』で驚いた事は何かありましたか?
最後の最後まで何が起こるか分からないのが『24』だというのは、長年の経験からよく分かってるし、私もいつ殺されるか分からないと思うんだけど、実は実際にクロエが殺されるという話もあったのよ。だから本当に撮影が終わるまで、自分が演じる役の生死も分からないの(笑) でもやっぱり一番驚いたのはこのドラマの復活よね。最初に『24』が復活すると聞いてビックリして、次に24時間じゃなくて12時間だと聞いてビックリして、クロエがハッカーになったと聞いて3度目のビックリよ(笑)
―― 『24』と言えば内部にスパイが潜入しているのがもはやお約束のようになってますが、キャストたちの間で誰がスパイか、予測したりはしました?
そうね。内部スパイはもはや『24』の定番よね(笑) それを楽しみにしながら撮影していたけど、とにかく展開が早くてキャラクターもめまぐるしく変わるから、予測も追いつかないのよ。誰がスパイかも分からないし、誰が死ぬのかも分からないし、その死に方も想像を超えていたりして、自分が出演しているドラマながら、すごいと思うわ。今回もあるキャラクターがビックリするような死に方をするんだけど、あれには本当に驚いたわ。
―― ところでジャックは幸せになれるんでしょうか? あたな自身はどう思います?
無理でしょうね。私もクロエも視聴者も、みーんなジャックには幸せになってもらいたいと思ってるけど、彼はきっと幸せになれないでしょうね。毎回祈ってるのよ、ジャックが幸せになるようにって。でもちょっといい事があっても、すぐに何かに邪魔されてしまう。もし続編が出来るとなっても、前途多難よね。
―― ジャックとクロエの関係は今後どうなっていくと思いますか?
そこが脚本家のチャレンジよね。そもそも彼らは今回私の事を殺そうとしたわけだし(笑) その方が簡単だったと思うけど、今の2人は逃亡者のジャックと反政府活動をしているクロエだから。2人ともアウトローな存在になってしまったから、ここから2人の関係がどうなるのか、納得のいくものを作るのは簡単じゃないわよね。私は脚本家じゃなくて良かったわ(笑)
―― クロエを演じてきて、あなた自身にはどんな影響があった?
クロエからはすごくいい影響を受けてきたわ。これだけ長く演じてきたのに、まだまだ出来ると思える役に出会えた事はとても大きいし、同じ役でも常にエキサイティングで飽きる事なく演じられる。創造的な意味ですごくいい影響をもたらしてくれるのよ。歳を重ねても、いつだって新しい驚きがあって、もっと演じたくなるの。それにこうやって日本に来られるんだから、すごくいい仕事よね(笑) もちろん続編の話があれば、喜んで出演するわ。今度は4年も空けずに戻ってきて欲しいわね(笑) 脚本家たちはいつも謎を残したまま終わるから、次はそれをパズルのように組み合わせなきゃならないでしょ。だから時間がかかるのよ。1日描くのに4年もかかったんだから(笑)
―― 日本に来て少しは遊べましたか?
ちょっとだけ。昨日はパチンコをやったわ。10分だけだけど。
―― 楽しかった?
全然(笑) あれはひどいゲームだわ。あっという間に玉がなくなって、私はオロオロ見てただけ(苦笑)
【DVD/ブルーレイ/配信情報】
<レンタル> 2015年3月4日(水)VOL.1~6(全12話)レンタル開始
<セル> 2015年3月4日(水)発売開始
・ブルーレイ コレクターズBOX 12,000+税(3枚組)
・DVDコレクターズBOX 9,600+税(7枚組)※本編ディスク6枚+特典ディスク1枚
<デジタル> 2015年3月4日(水)デジタル配信開始
Photo:メアリー=リン・ライスカブ/『24:リブ・アナザー・デイ』
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