『GOTHAM/ゴッサム』ベン・マッケンジーインタビュー!「自由にゴードンと彼の世界を再創造できた」

世界的な人気、知名度を誇るダークヒーロー・バットマン。その活躍に必要不可欠な存在であるゴッサム市警本部長ジェームズ・ゴードンの若き日を描いたドラマ『GOTHAM/ゴッサム』。今回は、主人公ゴードンを演じているベン・マッケンジーのインタビューを公開! ゴードンというすでに確立されたキャラクターを演じることや、後にバットマンとなるブルースと若きゴードンの関係などについて語ってくれました。

――このドラマに出演することになったきっかけは?

去年、(製作総指揮の)ブルーノ・ヘラーと一緒にあるドラマのパイロット版の仕事をしました。それはドラマシリーズにはならなかったのですが、ブルーノと一緒に仕事するのはとっても楽しかった。そして、今年の初めに彼から「君を思い浮かべてジム(ジェームズ・ゴードン)のパートを書いたんだけど、脚本に目を通して欲しい」と言われ、脚本が送られてきました。このようにして、自分のところに役が来ました。

――多くの人に演じられてきたこの象徴的なキャラクターを演じるにあたり、どのような準備をしましたか?

まず、バットマンの世界に慣れ親しむためにDCコミックを運営しているジェフ・ジョンソンに僕が読めるコミックを送って欲しいと頼みました。アニメ映画『Batman: Year One』(2011年)でバットマンの声優をやったことがあるので、同名の作品は知っていましたが僕自身、熱狂的なコミックファンではありません。ジェフはたくさんのコミックを送ってくれ、僕らはランチを一緒にして、彼に多くの質問をしました。

その日の終わりにジェフは「ゴードンの人生のこの時期の情報はあまりないよな? シカゴで汚名を負わされてゴッサムに来たようだが、コミックではそこに触れていない。だから、君にはしたいようにする自由がある。そういう理由で、君をキャスティングしたんだ。君は、この役にぴったりなんだ。だからやってくれ」と言いました。それは、僕にとって最高のアドバイスでした。他の人のモノマネをする必要がないからです。僕は、ゲイリー・オールドマンの妙なモノマネ(笑)やパット・ヒングルのモノマネをすることができません。

おかしいのは、皆が「オールドマンみたいに演じることを考えた?」と聞いてくることです。彼のは、これまで演じられてきた多くのゴードンの一人に過ぎません。彼は素晴らしい俳優ですが、要するに、一人の俳優としてモノマネはできないということです。それは正しいプロセスではありません。正しいプロセスとは、僕の中では、脚本を読んで与えられた状況を見て、目的を意識してそれらを実行することです。他のドラマシリーズで役をやるのと同じように。もし何か違うことをしようとすると、とてもおかしく見えることになります。それがスクリーンに映し出されて、間抜けな奴に見えてしまうんです。そんなことはしない。自分の仕事をするまでです。

 

――このドラマは、バットマンシリーズのファンがすでに多くいるということで、今まで関わった他のドラマ作品と比べて違いを感じましたか?

バットマンや他のキャラクターたちが、世界的な共通言語になっているという意味で、全く違う経験です。それにすべてのことが、映画に合わせて(通常のドラマよりも)レベルアップしています。セットや衣装などすべてが、少しハイレベルなものになっています。

これまで出演した他の2つのドラマで経験を積めたことがよかったです。だから、このドラマが広く浸透しているという特性から取り残されずに済んでいます。少し非現実的な経験ですね。というのも、通常のドラマを始めるよりも、もっと夢中になっているような気がします。本当に強烈な経験です。でも、もう準備はできています。もし、今までに準備ができていなかったら、いつまで経ってもできないでしょう。

――ジム・ゴードンを演じるにあたり、どのくらい自由に演技されているのでしょうか?

すごく自由です。ブルーノと、そのことについてよく話し合いました。撮影が始まる前から、そして今でもずっと話し合っています。

要は、すべての人がジム・ゴードンは市警察本部長になることを知っているんですよね。コミック版のハードコアなファンは、ジムがどこ出身でどんなバックグラウンドを持つのか、私生活はどんななのかを何度も読んでいます。でも、ほとんどの作品は、ジム・ゴードンが中心のキャラクターではなく、明らかにバットマンについて、もっと言えばジムのまわりにいるヴィランたちについてでした。ほとんどの時間、ジムにはフォーカスがあてられていません。そのおかげで、シリーズのテーマに忠実でありながら、自由にゴードンと彼をとりまく世界を再創造することができました。そして良識ある誠実な男が、不誠実な完全に腐敗した世界で、いかにその重責と向き合うのかに焦点をあてているんです。まだバットマンはいないし、彼を救うスーパーヒーローもいないので、仲間の闘士たちと一緒に自分でやるしかないんです。そういう意味で、とても自由だと思います。

 

――善良な男を演じるのはときに疲れたりしませんか? それとも、悪人をつかまえるのが楽しいですか?

ええ、楽しいですよ。このシーズンの後半に差し掛かり、そう感じるようになりました。必要だと感じたことを自由にやろうと。それは素晴らしいです。

――実生活では、どちらかというとグッドガイですか? それとも、悪い奴(バッドアス)タイプですか?

僕の実生活は、それほど愉快なものではありません。もっと静かなタイプです。たぶんナイスガイ、だと思いたいですがストリートで闘うような男ではないです。

――コミックブックのキャラクターを演じることは、俳優にとって何が魅力なのでしょう?

コミックのキャラクターを演じるすべての俳優について話すことは自分にとって難しいです。僕が言えるのは、自分にとって何が魅力なのかということだけだと思います。正直に言うと、このキャラクターを演じる魅力は、彼はマントを着けてないし、特別なパワーを持たない、ただの男だということです。そして、それはコミックブックのスーパーヒーローの世界では、比較的ユニークだと思います。バットマンは超能力を持たないので、スーパーヒーローか否かの議論はもちろんありますが...。

僕は、この世界の「誰ひとりとして超能力を持たない、空を飛ばない、透視できない、超人的な力がない」という観念がとっても気に入っています。みんなリアルな人々で、ヴィランたちは狂っている。ヒーローたちは、トラブルを抱え、重荷を背負っている。でも、彼らは立ち上がる。ヒーローもヴィランも、悪の巣窟に落ちます。僕にとっては、それがリアルで、演じることを興味深いものにしています。そんなところが魅力ですね。個人的に、飛べる人をうまく理解することができないんです。

 

――ブルーノ・ヘラーが、あなたを念頭において役を書いたということですが、脚本を読んで、それには気づきましたか?

時々、気づきました。ブルーノは、僕の中になにかをみて、自分のしたいことに繋げたのだと思います。おそらく、彼は僕よりもちょっと善人な男を想像しているのかと、少し褒めすぎなぐらいに。僕をそのように考えてくれているのはすごく嬉しいことですが、彼がなにを見たのかは正確にはわかりません。

僕は、テキサスで育ちました。ハリウッドやニューヨークとはとても違うところです。そして、もっと伝統的な価値観の中で育てられ、テキサスの高校でフットボールをやったりして牧歌的な生活を送っていました。彼はそんなところになにかをみて、ジムのキャラに活かしたのかもしれません。

――ニューヨークタイムズが最近、あなたについての記事「Sometimes, Old-Fashioned Pays Off (時に、オールドファッションであることは効果をもたらす)を掲載しましたが、自分自身をオールドファッションだと思いますか?

はい。政治的にコンサバティブという意味でないですよ。もっと個人的な意味です。勤勉であること、誠実さや礼儀正しさを良しとするというような意味ですね。あの記事は、とても光栄でした。たぶん、僕はあれよりももう少し複雑ですが...。

 

――ファンの反応をどのように認識していますか?

どのような反応になるのか、僕にはわかりませんでしたし、みんなもかなりナーバスになっていました。なぜなら、もちろん多くのバットマンシリーズのファンがいるし、キャラクターもよく知られているし、当然ですが、ファンはキャラクターをとても大切にしているからです。

そういうわけで、僕らはポジティブな受け止められ方にかなり驚いています。ネット上でごく少数の否定的な意見はあるようですが、実際にこのドラマのエピソードを何話か観た人の誰もが、とても好意的です。そして、コミコンに来る熱狂的なファンもいます。

僕らは、サンディエゴのコミコンに行きましたが、その時はまだドラマはオンエアされていませんでした。ドラマが始まる前にいくのはちょっと変なことなんですが。そして、最近ニューヨークのコミコンに出席したんですが、すごくよかったです。会場には数千人の人が集まり、みんなでエピソードを観て、彼らはとても具体的な質問をしてきました。僕らは、彼らがいかに興奮しているかを肌で感じました。

――このドラマは、ジェームズ・ゴードンとブルース・ウェイン(デヴィッド・マズーズ)の交流があり、ブルースがいかにして将来的にバットマンになるのかを描いているということで合っていますか? そして、ブルースがバットマンになるのに、ジェームズ・ゴードンの影響があると思いますか?

もちろんです。間違いないです。それは、このドラマで最も重要なテーマのひとつです。僕らは、ブルースよりジム(ジェームズ)をメインキャラとして注目していますが、時がもっと経てば、最終的にブルースがメインの存在になると知っています。最終的には、街はバットマンが必要なほどひどい状態になるんです。

どんなことが、そして誰がブルースに「自分はどんな存在になるべきか」ということを伝えるのか? このドラマでは、それは最初アルフレッドであり、ジムです。彼らはブルースにいろいろな影響を与え、ブルースが男としていかなる働きをするべきかを伝えます。アルフレッドは、このドラマの中ではとても確信的で厳しく、ストイックで、両親の死にブルースが直面したときでさえ、「あごを上げろ(元気出せ)!」という軍人です。

ジムは、もう少し優しいですが、両親の殺人について探ろうとするブルースに、忍耐の感覚と、自分が入り込もうとしている複雑な領域について理解するよう教えこもうとします。多くの影響がそこにあり、それらはこの少年がどんな人になりたいと思うのかを描くシーンにおいて、間違いなく核心の部分です。

 

――俳優として以上にこのドラマに関わっているそうですが、それはどのようにですか?

製作総指揮のブルーノ・ヘラーとダニー・キャノンはロサンゼルスを拠点にしています。ロスに執筆部屋があり、脚本家たちが皆そこで書いているからです。そして編集、サウンド処理、ビジュアルエフェクトといったポストプロダクションや幅広いことがそこで行われています。

彼らがロスにいるため、ニューヨークには現場のプロデューサーがいますが、製作総指揮の穴埋めとして、誰かがリーダーシップをとらなければならないと感じています。僕は間違いなくこのドラマの中心にいて、コールシートの一番上に名前がある、このことを真剣に受け止めているんです。

しばらくの間、リーダーシップをとっています。パイロットの撮影後、このドラマシリーズが始まる前にブルーノとダニーと話しましたが、どんなショーもファーストシーズンはあわただしいから、僕にその役目をして欲しい、と彼らから頼まれました。

脚本家たちは何を書くのか考え、監督は演出を考え、俳優たちは自分のキャラを考えます。とてもあわただしい環境ですよ。みんなが自分の仕事をきとんとこなすために、協力体制を整え、一貫性を保ち、安全な環境を作らなければなりません。

僕らには素晴らしいキャストがいて、いい仕事をしています。素晴らしいクルーもいます。でも、ネットワーク・テレビのスケジュールに合わせて、素早くこのドラマを撮影するのは、とっても野心的なことなんです。

――監督をしてみたいですか?

してみたいですね、できればと思います。

 

『GOTHAM/ゴッサム』放送&DVD情報
■放送情報
AXNにて、
・HD二カ国語版:5月11日(月)22:00放送スタート
・HD字幕版:5月14日(木)23:55放送スタート
・「遂に上陸!『GOTHAM/ゴッサム』スタート直前スペシャル」HD日本語版(1時間):5月1日(金)21:00、5月4日(月・祝)22:00他

■DVD情報
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントより、
7月22日(水)レンタルDVD Vol.1~4(各巻2話収録)/デジタルレンタル順次配信開始
8月12日(水)レンタルDVD Vol.5~8(各巻2話収録)
9月9日 (水)レンタルDVD Vol.9~11(各巻2話収録)
9月9日(水)ブルーレイ&DVD発売
「『GOTHAM/ゴッサム』 <ファースト・シーズン> コンプリート・ボックス」
・ブルーレイ(4枚組)¥16,200+税
・DVD(11枚組)¥14,300+税
発売・販売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

Photo:『GOTHAM/ゴッサム』
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