現在アメリカでは、まだ放映すら始まっていない新ドラマが大変な騒動を巻き起こして話題になっている。渦中の新番組は名付けて『Lucifer(ルシファー)』。ルシファーというのは古代から伝わる悪魔の名前で、ドラマの内容もタイトルどおり、悪魔が主人公のダークファンタジー系犯罪ドラマだ。
【関連記事】ブラザーズ&シスターズに見るアメリカ市民の政治観
と聞くとなんだか仰々しいのだが、実は番組の原作はDCコミックのヒーローなのだ。そのストーリーはというと、地獄の統治に飽き飽きした悪魔ルシファーが、場所替えのために欲だらけのロサンゼルスに参上。ピアノバーを経営して商売繁盛、そのかたわら、悪人を見つけては仲良くなった女刑事と共に犯人逮捕、その後もれなく犯人を地獄に直送するというかなりコミカルなストーリーだ。
アメリカ人は一般的にジョーク好きで知られているが、実は悪魔や神さまといった宗教関連のジョークが全く通じない人たちがいる。そういった人たちが新番組『Lucifer』の話を聞きつけ、のけぞったわけだ。徒党を組み、「悪魔を主人公にするなどもってのほか!」「神への冒涜だ!」と、放映局相手に番組をキャンセルせよとの署名運動を始めたのである。
AFA(American Family Associations)という超保守派クリスチャン団体は、番組のボイコット運動サイトで「FOXネットワークの『Lucifer』は悪魔を美化している!」とし米国6月10日現在で、なんと約13万票という驚くべき数の署名を集めておりその署名運動は現在も続行中。
アメリカでは、"たとえ家族同士でも宗教と政治の話題は避けるが無難"と言われているほどで、特に敬虔なクリスチャンはかなり根強い信仰概念の持ち主が多い。業界内では、「話題というものは良からぬものでもPRに結びつくものである」とよく言われるが、果たして今回の"PR"は、新番組『Lucifer』にとって吉と出るか凶と出るか?
Photo:
World Religion News(世界宗教ニュース)による報道記事
取材・画像提供:明美・トスト / Akemi Tosto