ドリュー・バリモアの祖父が盗んだトーテムポールがアラスカの部族に返還される

女優ドリュー・バリモアの祖父としても知られる名優ジョン・バリモアによって、かつてアラスカの村から持ち出されたとされるトーテムポールが、所有していた部族の元に返還されたことが分かった。米AP通信が伝えている。

ジョンがトーテムポールを持ち去ったのは、1931年にアラスカの海沿いでヨットを楽しんでいた時のことだという。アラスカ州立大学アンカレジ校のスティーヴ・ラングドン教授がAP通信に語ったところによると、ヨットの乗組員たちはジョンの指示でトーテムポールを3つに分解し、アメリカに持ち帰ったそう。

12メートルほどのトーテムポールは再び組み立てられ、カリフォルニアにあるジョンの自宅の庭に立てられた。彼が1942年に亡くなると、トーテムポールはホラー映画の名優ヴィンセント・プライスが購入。彼も自宅の庭にしばらく飾ったのちに、1981年にホノルル美術館に寄贈した。

かつてヴィンセントがトーテムポールの横に立っている写真を目にしたというラングドン教授は、「(トーテムポールは)完全に不釣合いな場所に立っていました」と写真について思い起こす。トーテムポールの横にハリウッド俳優が立ち、周りはサボテンで囲まれていたという。

それからラングドン教授はリサーチを開始。そのトーテムポールは埋葬の儀式に使われたもので、かつては遺体が入っていたことが分かった。遺体はジョンがトーテムポールを庭に立てた以前に取り除かれたようだが、どこに移されたかは不明とのこと。

トーテムポールを寄贈されたホノルル美術館の職員は、それが盗まれたものとは知らなかった。2012年、ラングドン教授はハワイにそのトーテムポールを調査しに行き、アラスカの部族に返還する手はずを整え始めた。そして今月22日、トリンギット族の7人がホノルルに出向き、何年もの間、トーテムポールを守ってくれていたことをハワイの人々に感謝したという。「祖先が私たちの土地に戻ることができて安心しています」と部族の一人は述べた。

ジョンが持ち去ったトーテムポールは、プリンスオブウェールズ島の古い村にかつてそびえていた100以上のうちの1体だと言われている。現在では、部族が移住した人口800人の村にそのうち2体しか残っていないという。(海外ドラマNAVI)

Photo:ジョン・バリモア
(C)Everett Collection/amanaimages