日本でも大ヒットしたミュージカル映画『レ・ミゼラブル』のコンビが再び組み、世界で初めて性別適合手術を受けた男性と、彼を支え続けた妻の実話を描いた『リリーのすべて』。3月9日(水)、公開に先駆けてジャバンプレミアがTOHOシネマズ日劇にて行われ、トム・フーパー監督と主演のエディ・レッドメインが登壇した。
まずはレッドカーペットに登場したエディ。過去に一度来日したことがあるものの、日本のファンと交流するのは今回が初めてとなる彼は、次々と飛んでくるファンからのサインや写真撮影、取材のリクエストに快く対応。サインのために渡されたペンを他の人のサインに使う前には「これ、借りていいかな?」と断るイギリス紳士ぶりも発揮していた。また、レッドカーペットでのフォトセッション途中に妻のハンナ・バグショーさんが合流すると、彼女の姿を見て本当に嬉しそうな顔をする愛妻家ぶり。
舞台挨拶では、ともにアカデミー賞受賞者でもあるフーパー監督とエディの付き合いの長さも明かされた。今回の役になぜエディを起用したのかを聞かれた監督は、「エディと初めて出会ったのは、2005年のTV映画『エリザベス1世 ~愛と陰謀の王宮~』で彼が22歳の時だった。その時の演技が素晴らしかったので、いつか彼を主役にした作品を作りたいと思っていたんだ」と説明。『レ・ミゼラブル』撮影中に本作の脚本を渡された時のことを聞かれたエディは、「脚本を読み終わるとすぐ監督のところへ行って、『これを撮れるの? クランクインはいつ?』って聞いたら、『まあ、落ち着け』と言われたよ(笑) この作品に起用してくれた監督に感謝している」と回想した。
エディはまた、今回の役を演じる上で難しかったこととして、「リリーの感情の起伏を表現するのが大変だった。台本通りに最初のシーンから順に撮っていけるわけではなかったから、まだ撮影していないところを飛ばしてその先の場面を撮ることもあったんだ」と舞台裏の苦労を語った。
本作でリリーの妻を演じ、アカデミー賞助演女優賞に輝いたアリシア・ヴィキャンデルの話になると、監督もエディも頬を緩めた。監督は、授賞式の時について「受賞した彼女を、これ以上ないほどしっかりと抱きしめたよ。式の後、僕らはマドンナ主催のパーティーに出ていたんだけど、その終わり頃、彼女の携帯にスウェーデン(アリシアの出身国)の首相から祝福のメールが届いたんだ」と振り返った。エディは「彼女がオーディションに来た時のことは忘れられない。僕と彼女が一緒にあるシーンの演技をしていた時、いつまで経っても監督から『カット』の声がかからないのでおかしいなと思ったら、彼は目に涙を浮かべていたんだ。それで"彼女に決まったな"って分かったんだよ」と撮影秘話を明かしている。
そして、今回の来日中に何をしたかを聞かれると、エディは「朝早く目が覚めたので、5時頃に築地に行ってみたんだ。でも、その時間帯は観光客は入れないと言われたので、明治神宮を散歩した。早朝だったから霧が立ち込めていてすごく美しかったよ。それから渋谷にも足を伸ばしたけど、すごく人が多いところだって聞いていたのに、まだ6時前だから誰もいなかったんだ(笑)」と日本体験を語った。
最後に、本作の魅力について質問されたエディは「20世紀最大のラブストーリーの一つだよ」とコメント。フーパー監督は「本作と『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』という私の過去2作のテーマは共通していて、それは"真の自分を見つける上で障害があっても、愛の力で乗り越えられる"ということだ」と解説した。
数々の才能が集結して作り上げた珠玉のラブストーリー、『リリーのすべて』は3月18日(金)より全国ロードショー。(海外ドラマNAVI)
Photo:トム・フーパー監督、エディ・レッドメイン