あの伝説が蘇る!ドラマ 新『ROOTS/ルーツ』チキン・ジョージ役 浪川大輔&トム・リー役 内田直哉に突撃インタビュー!

ピューリッツァー賞を受賞したアレックス・ヘイリーの自伝的長編小説が1977年にドラマ化され、日本でも圧倒的な視聴者数を獲得した伝説のドラマ『ROOTS/ルーツ』。本作がおよそ40年の時を経て現代に蘇ります。先月発表された第68回エミー賞・リミテッドシリーズ/テレビムービー部門にもノミネートされ、世界から今再び注目を集めている新『ROOTS/ルーツ』。クンタ・キンテの孫にあたるチキン・ジョージ役の声をつとめる浪川大輔さんと、チキン・ジョージの父親であるトム・リー役をつとめる内田直哉さんに、本作についての魅力について語ってもらいました。普段から仕事で一緒になることも多く、仲の良い二人の「親子役」トークをお楽しみください!

『ROOTS/ルーツ』

――収録を終えて、まずはお二人の感想をお聞かせいただけますか?

浪川:とにもかくにも、凄く体力の要る作品でした。僕自身、なかなかこれほどまでに屈強な役をやらせて頂く機会がなかったですし、葛藤するシーン、追い込まれるシーンがとても多くて...。鳥を戦わせる闘鶏のシーンも多く、叫びまくって、感情を前面に出して演じるシーンが非常に多かったです。トム・リー(父親)役の直さんと二人で、叫びすぎて頭が痛いって...。だけどそのあと飲みに行っても、直さんはずっとお元気だったので、本当にパワフルな方だな~、と思いました(笑)。どうやったらこうなれるんだろうかと(笑)。

内田:はい。この仕事を長くやってきて、人を追い込む役は得意です(笑)。今作の時代背景には、色々な葛藤が随所にありました。トム・リーの生き方を見て、僕も子どもを持つ親の一人として、自分の夢、理想を追い求める男として、今も昔も、人間のサガというのは変わらないのかな、と、ちらっと感じたりもしました。

――77年のオリジナル作品についてはご存じでしたか?

内田:はい。記憶にあります。大々的に番組の宣伝がされていました。当時は声優さんというよりも、色々な俳優さんが吹替をしていたのも覚えています。はっきりと言えることは、今回新たに制作された新『ROOTS/ルーツ』は全く違うということです。映像クオリティが何倍も上になっているし、人種差別がテーマではありますが、視点がそれだけではないんです。オリジナル版では、黒人人種差別が全面に出ていましたが、今回は極端に人種差別ということでなくて、愛が随所に表現されています。色々なものが織り込まれています。映像技術が高度になっているので、観ていて吸い込まれていくような、素晴らしい作品になっていると思いますよ。エミー賞にノミネートされるのも納得です。

『ROOTS/ルーツ』

浪川:僕はタイトルは知っていましたが、リアルタイムでは観られていないので、あまり詳しくはなかったです。テーマとなっている問題は、身近にあったことではないけれど、学校で学ぶ歴史のひとつ。そして、40年を経ているというのが大事なのかな、と思っています。40年間で新たにわかることっていうのが、先ほど直さんがおっしゃっていたように、今回盛り込まれているんだと思います。表現の仕方もだいぶ変わってきていますし、新『ROOTS/ルーツ』も、今の時代に合わせて最高の作品になっていると感じます。

『ROOTS/ルーツ』

――それぞれの役柄について教えていただけますか?

浪川:黒人奴隷制度という当時のアメリカの暗い時代背景のもと、ストーリーは進んで行きます。チキン・ジョージは、奴隷なのですが、明るい人物です。彼は、闘鶏で、鳥をうまく操ることができる能力を持っていて、さらにトークが上手! この時代は奴隷が何か事件など起こしてしまうと、すぐに殺されてしまってもおかしくない時代だったと思いますが、ジョージはピンチに陥ると、持ち前の演説を始める。それが彼の面白いところだと思いますし、見どころです。愛情のあるシーン、残酷なシーン、たくさんありますが、その時々で、ジョージがどう立ち向かっていくか、というのをぜひ注目して観ていただきたいです。また、彼の青年時代から40歳後半位までをずっと演じることができたのも面白かったです。

内田:僕も、トム・リーがおじいちゃんになるまで演じましたよ(笑)。

浪川:もう妖怪みたいになっていましたよね...(笑)。

内田:あれは特殊メイクで、(現場の制作)スタッフも楽しんでやっていたんじゃないかな。最後は100歳位になっているような感じ(笑)。トム・リーとう人物は、視野が狭くて、賭け事でしか生きていけない情けない男。全てギャンブルにつぎ込んで、それで葛藤している男です。人生の長い期間、よく賭け事にだけ費やしてきたなと思ってしまいますね。僕も子供の頃から役者になりたいと思って、舞台やテレビ、歌があったりと、芸能界という場所で色々なことをやって泳いできたつもりではありますが、トムみたいに賭け事だけに執着しているストレートな人生って、つらかったんじゃないのかなと思ったりね...。賭けに負けたら、自分の子(チキン・ジョージ)も手放さなきゃならないっていう...。あそこまで老け込ませたのは、そういうのを出したかったのかな、と思いますね。とにかく必死に彼の人生を演じました。楽しいというよりも大変...。怒鳴って、泣いて、ストレートだった。

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――先ほど、叫びすぎて頭が痛かった、という話も出ましたが、収録で苦労した点、意識した点はありますか?

浪川:普段、「声優をやっていて何が楽しいですか?」と聞かれると、「その人(キャラクター)の人生を歩むことができる」というのが、答えの一つとしてよく挙げられるのですが、今回の役は、とても苦しい人生だったので...。精一杯できることを120%やっている人たちのストーリーだったので、気が抜けるところが一個も無かったです。スキをみせたらすぐに殺されてしまう、売り飛ばされてしまう、ということを背負っている。それを感じながら演じるのはとても大変でした。そう簡単に「人の人生を歩めることです」なんて言えないような作品だったと思います。チキン・ジョージに関しては、最初は陽気なお兄ちゃん、でもそこから、最後には一族を率いる大人になって、黒人のなかでもお金を持って「買い直してやる!」というところまでいくんですよ。ジョージが成長している部分、その変化をぜひ楽しんでいただきたいです。

『ROOTS/ルーツ』

内田:トム・リーは、とにかく生きるのに必死。ずーっと何十年も賭け事をやってるし、笑顔もないし、とにかく重たい...。家庭の団欒や笑いのシーンは出て来ない。いつも怒鳴っているんですよ。「なんとか生きるんだ」っていう必死さばかり演じました。
ちょっと思うのが、白人と黒人の極端な差別が、そんなにはひどく出てないような感じがしました。そこが昔とはだいぶ違う気がしますね。今回は「愛」が強くて、そういうところに救いを持っていったんじゃないかなとも思いますね。今の時代は、「愛」のルーツなのかも...。これからまた何十年後にリメイク版ができるかもしれないし、やっぱり時代にそってドラマが作られているんだな、と思いましたね。

『ROOTS/ルーツ』

――なかなか大変な時代背景のドラマですが、収録現場の雰囲気はいかがでしたか?

浪川:直さんがムードメーカーでした! なので、現場の雰囲気は非常にいい感じです!

内田:僕は、演じれば演じるほど、終わった瞬間に違うものを求めたりするんで。重い内容の作品だからこそ、よけいオフになると違うものを求めるんだろうね。でも本番になったら、もちろんみんなちゃんとやりますよ!

浪川:はい。だから現場は楽しかったです。あと、今回の吹替えに関しては台詞量がすごく多かった。台本が200ページもあったんです。これを一日で録り切るんですよ。そんな作品は、ほとんどないと思います。ページめくっても、めくっても終わらないという...。でも何とか終えましたけど(笑)。

『ROOTS/ルーツ』

内田:そしてまた、面白いシーンが多いんです。闘鶏シーンは特に面白いですよ。撮影のアングル、カメラワーク、映像技術的に、非常に面白い! 話はそれるんだけど、この間、勝新太郎さんの『悪名』っていう映画を見ていて、そこでも闘鶏シーンがあったんだよね。やっぱりどこでもみんな賭け事やっていたんだなあ!と思いましたね。そういう時代だったんだね。

――今回はヒストリーチャンネルでの放送ドラマ、ということで、お二人は歴史には興味ありますか?

浪川:もちろんです。大好きです。
内田:男はだいたい歴史は好きだよね。

浪川:僕は「三国志」が好きでした。日本の歴史ももちろん興味あります。安土桃山時代とか、今ではたくさんゲームやアニメになっていますけど、いいなって思います。歴史ってワクワクしますよね。心が動くと思います。

内田:争い事や戦争自体は好きではないけれど、歴史っていうのは、やっぱり人間の争いの中から生まれてくるのだなあと感じます。だから、そういうものを題材にした作品、映像、情報などには、目がいってしまいますね。その時代、その時々の人間像っていうのが出てくるわけじゃないですか。当時もきっと、織田信長や徳川家康に憧れたりとか、そしてその後の人たちも、そういう人たちに憧れてきたと思うので。歴史は繰り返しなんだよね。

――お二人の思う、外画吹替の良さ、面白さについて、ぜひ教えてください。

内田:それはもう、ブルース・ウィリス、ハリソン・フォードはじめ、たくさんのスターを演じられるわけだから。スクリーンの中で観ていた人の役を演じられるなんて最高! と思っています。面白さはこれにつきますね。

浪川:僕も演じる側としてそう思います! 金髪で目の青い人が日本語しゃべるのを、違和感なく演じ、お伝えできるっていうのが面白い。また、観る側での視点だと、確実に吹替えの方が情報量が多く、映像に集中できるから、内容の理解の深まりが絶対に違います。これから先も、そうだと思います!

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――ありがとうございました。最後に、これから新『ROOTS/ルーツ』をご覧になる方へメッセージをお願いします。

浪川:この作品のテーマは、結構ギリギリなもので、今の言葉でいうと、"炎上"してしまう可能性もあるものだと思うんです。ただ、歴史の事実として、知らないよりは知った方がいい。当時テレビ視聴率70%を超える作品を作ったその関係者さん達が、40年経って、今の時代に合わせて新たに創り直したものなので、すごく良い作品になっていると思います。
どう思うかは皆さんそれぞれですが、絶対何か感じていただけるものがあるし、こういった史実を知ってもらうことが大事だと思うので、ぜひ観ていただきたいです。直さんがおっしゃっていたみたいに、観方によっては愛に溢れた作品ですし、何かを感じてもらえればと思います。

内田:とにかくたくさんの方に観てもらいたいと思います。今の時代に沿って非常にわかりやすく作品が作られていて、今自分が置かれている立場や環境などとも重ねてみることも出来ると思うので、それぞれがどんな風に思うのか、人間同士の距離感などもね。それぞれの見方で、本当にいろんな方に観てもらいたいです。

『ROOTS/ルーツ』

新たなキャストで甦る、新『ROOTS/ルーツ』は、ヒストリーチャンネルにて8月22日(月)23:00より4夜連続放送!お見逃しなく!
また、今作の放送を記念し、ヒストリーチャンネルでは、制作チームによるチャレンジを追った番組「徹底攻略!ドラマ『ROOTS/ルーツ』の世界」や、奴隷制の史実を紹介する「ドラマ『ROOTS/ルーツ』が語る奴隷制の歴史」、そして77年のオリジナル版『ROOTS/ルーツ』を放送!
詳しくはヒストリーチャンネル公式番組紹介ページでチェック!


Photo:『ROOTS/ルーツ』チキン・ジョージ役 浪川大輔さん&トム・リー役 内田直哉さん
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