俳優をやっていなければ本当に消防士になっていた!?『シカゴ・ファイア』テイラー・キニー直撃インタビュー

消防隊と救命士の活躍を描く人気ドラマ『シカゴ・ファイア』で、レスキュー隊員ケリー・セブライドを演じているテイラー・キニーが初来日。タフでありながら繊細なキャラクターで多くのファンを魅了しているテイラーは、素顔も飾り気のない人柄で、多様な質問にも誠実に答えてくれた。アウトドア派を公言する彼にとって『シカゴ・ファイア』とはどんな作品なのか――。

――セイブライドというキャラクターの役作りのためにどんなトレーニングを行ったのですか?

2012年の3月にパイロット版を撮影したんだけど、その撮影が始まる2週間ほど前にシカゴの消防訓練学校に入ったんだ。そこで火災現場のシュミレーションをしたり、燃えているコンテナの中に入ったり、ギアの使い方や専門用語を学んだよ。シカゴには6つの消防署があるからそこにも協力をしてもらって、実際に出動がかかった時に帯同させてもらったりもした。僕が同行したのは第二救助隊で、彼らの会話を聞きながらニュアンスを拾ったりね。消防士だけじゃなく警察官や、事故があれば最初に駆けつける作業員たちからも多くのことを学んだし、それを演技に取り入れているんだ。学ぶことには終わりがなくて、撮影になっても続いているし、現場の人たちとも友情を育めたので、何か分からないことがあるとすぐさま彼らに連絡してるよ。

――セブライドとご自身の似ているところは?

自分の要素をセブライドの中にも投入しているから、似ているところはたくさんあるよ。キャラクターには人間的なところを見せていきたいと思ってるから。単純なところでは僕はアメリカ人だから、アメリカ訛りを意識することなく素で話しているというのも一つの要素だろうし、スタントも極力自分でやるようにしてる。炎の中を駆け回ったり、屋上から降りるような危険なところもできるだけ自分でやりたいんだ。プロデューサーに止められることもあるけどね(笑) いろんなアクションができるのが楽しいんだ。

 

――過酷な撮影も多いですが、精神的と肉体的、どちらの方が大変ですか?

むしろ精神的にも肉体的にも大変なところに惹かれてこの役に臨んだんだ。肉体的なことで言うと、僕は割と動き回るのが好きだから、俳優をやっていなければ本当に消防士になっていたかもしれない。それくらい自分が消防士であることを想像するのは容易だったし、責任感のある仕事だったからそういう役を演じられるのは自分にとっても良いことだったんだ。精神面で言えば、セブライドっていう男はそんなに単純な人間じゃないし、欠陥もある。でもそれこそ俳優としては望むところで、歯ごたえがある役なんだ。ファミリードラマで普通のお父さんを演じるより、こういういろんなところで活躍している人間を演じる方がエキサイティングだし、大変さはあるけどその分わくわくしながら役に取り組んでいるよ。

――レスキュー隊員のセブライドはダイビングシーンも多いですよね。

そうなんだ。シーズン1の時にミシガン湖に潜るシーンがあったんだけど、あまりの寒さに長く潜っていられなくて、アクションは極力自分でやりたいって言ったけど、ここはスタントの人に任せたよ(笑) シーズン2でも水中シーンがあったけど、この時はタンクの中で撮影するんで、プロデューサーから頼まれてスキューバ・ダイビングのライセンスを取ったんだ。

 

――テレビシリーズは長く続くほどキャラクターが掘り下げられていくのが魅力ですが、今回シーズン6の制作も決定して、当初の頃よりセブライドのどんなところに成長を感じますか?

無事シーズン6も決定して、すでに通算して100話以上、足かけ5年、この役と付き合っているわけだけど、セブライドの一番の変化は、これは仕事をしている人なら誰でもそうだと思うけど、経験を積んで成長を遂げ、人間として発展していくところだよね。セブライドも例外じゃない。やる気のある人なら仕事で成果を出していきたいだろうし、彼もそういう人間なんだ。仕事大好き人間だし、仲間のことも大好きなところは変わらないね。でも同僚たちとの関係性はやっぱりいろいろ発展しているよ。それに自信もつけた男になっていると思うし、消防活動でもより力量を発揮できるようになっていると思う。ただ、恋愛に関しては相変わらず不器用で、あんまり学んでないのかもしれない(笑) それでも前へ前へ進もうとしている男だと思う。

――気に入っている『シカゴ・ファイア』のキャラクターは?

やっぱり隊長のボーデンかな。知恵があって身のこなしも立派で、大人の男女を仕切るリーダー的素質もある。すごく頼りになる尊敬すべき人物だと思う。

 

――テイラーさんはアウトドア派ですが、アウトドアの魅力とは?

このドラマの場合、だいたい一話撮るのに8、9日間かかるんだけど、そのうち半分はロケで外で撮影しているんだ。そのおかげでシカゴという街をよく知るようになったし、いろんな知り合いもできた。そもそも動くのが好きだし、バイクも好きでフィラデルフィアからLAまでバイクで何度も往復しているくらいなんだ。だからもしこのドラマが室内劇だったらちょっと飽きてたかもしれないね。外にいるのが肌に合うんだ。外にいると四季を肌で感じられるし、やっぱり大自然はいいなって思う。

 

――日本で楽しみにしていることは?

今回初めて日本に来たけど、まずびっくりしたのは東京って意外と広いんだなってこと(笑) 1週間ではとても吸収しきれないほど、たくさん魅力があるんだろうなって思う。楽しみにしていたのは、いろんな地方を見てみたり、食事したり、友達と楽しいひと時を過ごすことかな。イベントに招いてくれて光栄だったし、ファンのみんなに会えて本当に嬉しかったよ。また次に来る機会があれば、もっとたくさんの町を巡ってみたいね。僕は趣味がカメラなんだけど、中判フィルムカメラでモノクロ写真を撮るのが好きなんだ。だから帰ったら写真の現像が楽しみで仕方ないんだけど、気に入った写真はフレームに入れて飾りたいと思ってる。僕はもともと田舎育ちだから、そういう自然の風景とか、日本の伝統的な寺院や歴史的な建造物を見てみたいね。これぞ日本という景色が見たいんだ。

――今や一大フランチャイズを築いている『シカゴ』シリーズですが、その魅力とは?

このシリーズにとってシカゴという街は本当に重要な場所なんだ。登場人物の一つと言っても過言ではないよ。『シカゴ・ファイア』だけじゃなく、『シカゴ P.D.』でも多くのロケ撮影をしているし、『シカゴ・メッド』も『Chicago Justice(シカゴ・ジャスティス)』も、僕たちほどではないにしても、やっぱりロケをしている。だから街の細部までちゃんと拾えているのがこのシリーズの魅力だね。LAのスタジオで撮影していたらとても描けないような具体的なシカゴが描けているんだ。

――それらのスピンオフに出演する時はどういう撮影配分になっているんですか?

『シカゴ P.D.』は夜の撮影が多いので、冬場だと16時半には暗くなってるから15時半頃からメイクを始めてリハーサルして、撮影が始まる頃には暗くなってる感じかな。その前には『シカゴ・ファイア』の撮影があるから、朝の2時から4時まで撮影していることもあるし、大変と言えば大変なんだけど、夜の撮影ではシカゴの意外な一面が見られて面白い。シカゴの夜景って本当に美しいんだよ。それに街の中で照明をたいて、ずらっとトレーラーが並ぶ中に大勢の人たちがいる光景はなんだかサーカスみたいで、わくわくしてくるよ。

 

――スピンオフがどんどん増えてますが、クロスオーバーは楽しいですか?

クロスオーバーをやるのは楽しいし、他のシリーズのキャストと一緒に仕事をする機会でもあるから僕は歓迎だよ。それにいろんなシリーズに関わっていると、スタッフの成長を見られるんだ。パーソナル・アシスタントだった人が第二監督補になってたり、音声さんが他のシリーズの現場に行ったことで一皮むけたり、そういうのを見届けるのが嬉しいんだ。大変ではあるんだけどね。その分、宿題が増えるから。例えば、シーズン5でセブライドは交通事故に遭うんだけど、これを警察に説明しなくてはならない。そうなると『シカゴ P.D.』の世界に行く。今度は弁護士に会わなきゃいけない、そこで『シカゴ・ジャスティス』のストーリーラインが入ってくる。こんな風に複数のストーリーラインを追っていって、それぞれに矛盾がないようにしなければいけないから、それが大変だよね。脚本も1エピソードでだいたい55ページくらいなんだけど、それが3作となると165ページ分を覚えなきゃいけない。でもやるだけの甲斐はあると思っているよ。アメリカではクロスオーバーの評判が良くて、好きなシリーズのキャラクターが他のシリーズに出ればそちらも観たくなるだろうし、それだけ客層が広がるわけだからね。3作品でのクロスオーバーは実験だったけど、とても成功したと思うよ。

――スピンオフはまだ増えそうですか?

どうだろう?(笑) パロディはいろいろあるみたいだけどね。シカゴ清掃局とか。キャラクター同士がケンカしてゴミをぶつけ合ってたりしてて面白いよ(笑)

 

テイラーが引き続き出演する『シカゴ・ファイア』は、シーズン3がAXNにて毎週木曜22:00より放送中。シーズン2のDVDが6月7日(水)よりリリースとなる。

 

Photo:
テイラー・キニー
『シカゴ・ファイア』
© 2014 OPEN 4 BUSINESS PRODUCTIONS LLC. All Rights Reserved.
© 2013 Universal Studios. All Rights Reserved.