『ブラック・ミラー』クリエイター、エミー賞受賞スピーチで今年の世相を揶揄

米ロサンゼルスで9月17日(日)に開催された第69回エミー賞授賞式で、『ブラック・ミラー』シーズン3第4話「サン・ジュニペロ」が、テレビムービー作品賞と、脚本賞(リミテッドシリーズ/テレビムービー部門)を受賞した。本作の企画・製作総指揮と同エピソードの脚本を手掛けたチャーリー・ブルッカーは、受賞スピーチの中で今年の世相を皮肉った。

脚本賞(リミテッドシリーズ/テレビムービー部門)に続き、テレビムービー作品賞で当日2度目の受賞を果たしたブルッカーは、「2017年という年は、まるで『ブラック・ミラー』の終わりのないエピソードみたいだという話を耳にしました。でも、私が書くとしたら、ナチスや憎しみといった類がひしめくような、これほどあからさまなものにはならなかったと思います」と、人種・民族差別が表面化している状況をあげつらった。

そして「『サン・ジュニペロ』は愛の物語。愛は憎しみに打ち勝つものですが、ちょっと手助けが必要かもしれません」と続けたのち、「会場にいる容姿端麗な皆さんが互いに、あるいは自分相手に肉体的に愛を交わすことができたら、世界はもっと良くなるでしょう。三つ数えますから始めてください。3、2、1、どうぞ」と、いきなり号令。戸惑いながらも笑いに包まれた会場に「まあいいでしょう。お好きなように。とにかくありがとう」と言い放ち、際どい風刺を持ち味にする本人ならではのスピーチを締めくくった。

『ブラック・ミラー』は、インターネットやスマートフォン、リアリティショーなど、テクノロジーやメディアの潮流が私たちの生活に及ぼす影響をテーマに据えて、近未来のストーリーを描くオムニバス形式のドラマ。エミー賞を受賞した「サン・ジュニペロ」は、ググ・ンバータ=ロー(『美女と野獣』)とマッケンジー・デイヴィス(『オデッセイ』)が演じる、二人の女性が育む友情を軸にしたエピソードで、とりわけ高い評価を浴びている。

『ブラック・ミラー』新シーズンとなるシーズン4は、年内にNetflixにて配信予定。(海外ドラマNAVI)

Photo:チャーリー・ブルッカー
(C)Johnny Armstead/FAMOUS