スーパー!ドラマTVにて12月11日(月)より独占日本初放送となる、アクション・サスペンス超大作『ブラックリスト』のスピンオフ『ブラックリスト リデンプション』。本家の人気キャラクターであるトム・キーンを主役に迎え、レディントンのブラックリストに載っているスーザン・"スコティー"・ハーグレイヴが自分の母親だと知った彼が、母親の経営する会社の秘密傭兵組織に入り、かつての敵ソロモンらとともに政府が関与できない裏の仕事に挑む一方で、スコティーの陰謀を探るという最強スパイアクションだ。
そんな本作より、キャストのインタビューを4回にわたってお届け。2回目の今回登場するのは、この度主役に"昇進"したトム・キーンを演じるライアン・エッゴールド。タイトルに秘められた意味や、2作掛け持ちの苦労、今後のキャリア展望などについて語ってくれた。
――すでに演じてきたキャラクターをより発展させていけるスピンオフに出演するというのはどんな気分ですか?
心躍るような気持ちだよ。僕たちは『ブラックリスト』で4シーズンかけて最高なキャラクターを創り上げてきたわけだけど、今回、トムの素性や生い立ちまで掘り下げて、新たな環境に置くことによって彼の新しい面を見せるということにすごくワクワクしている。
――タイトルにある「リデンプション(贖罪)」とはどういう意味なのでしょう?
「贖罪」という考えは確かに大きな役割を果たしているだろうね。というのも、トムはある意味、親に捨てられた孤児のような過去を持っているから。そういう素性が、埋めなければならない穴みたいなものを生み、それを直す術を考え出さなければいけないように仕向けているのだと思う。そうした生い立ちがトムのその後の人生につながっているんだよね。そういう意味で、トムの目から見ると、両親と彼自身にとって贖罪の余地があるということになるんだろう。
――トム・キーンは当初、第1話のみの登場のはずだったのに、その後もずっと登場して、今やスピンオフの主役になったわけですよね。そこに至るまでにはどのような経緯があったのですか?
この話は(製作総指揮を担当する)ジョン・ボーケンキャンプとジョン・アイゼンドレイスからも聞けるんだろうけど、彼らは第1話の最後でトムを殺すつもりだったんだ。でも、誰かが彼を生かしておくよう勧めて、じゃあ、シーズン1の最後で殺そうということになった。ところが、トムについて興味深いアングルが次々に出てきて、『ブラックリスト』に彩りを添えられるのではということに変化していったんだ。スピンオフについての話は、けっこう早い時期に出たことを憶えている。シーズン2の最後の方だったかな。とにかくそれぐらいの時に初めて話が出て、それから実現するまでに1年ぐらいかかったんだよ。
――その話が出た時は、ワクワクされたのでしょうね。
そりゃあね! もちろんだよ。トムはいろいろな面を持つキャラクターだから、演じていてすごく楽しい。とにかくタフで暴力的なところがある一方、すごく傷つきやすくて脆いところもあるんだよね。だから、演じていてとにかく楽しいんだ。
――『ブラックリスト』でのトムは善玉なのか悪玉なのか簡単には判断できない二面性のある人物として登場しましたが、『ブラックリスト リデンプション』では自分の両親のどちらが善でどちらが悪なのか分からないという逆の立場に置かれています。あなた自身は、どれぐらい先の展開まで知らされているのですか?
時と場合によるけど、だいたい2話ぐらい先の展開が分かっていることが多いかな。それ以上知らされる時もあるけど。でも面白いことに、先を知らない方がいいことが分かったんだよね。現段階のストーリーだけしか知らない方が演技しやすいんだ。その後に明かされる秘密や新たな事実を事前に知ってしまうことで、現時点での演技に影響が出てしまうのは嫌だから。将来起きることを前提にして演技したくはないんだ。
――長い間、同じキャラクターを演じるということについて、どう思われますか?
同じキャラクターを演じ続けることには、良い点と悪い点があるよね。良い点は、演じるキャラクターを本当によく理解できるようになって、どう演じるかということがキャラクターに反映されるようになること。僕自身、4年間もトム・キーンの身になっていたことで他の誰よりも彼の本質を見抜くことができるようになったのは、大きなプラス要素だ。
悪い点は、居心地が良くなりすぎたり、のんきに構えてしまって、努力したり頑張ったりすることを忘れたり、キャラクターを成長させて新しい状況や人間関係へと発展させることを怠ってしまうことだね。でも、長い間にわたり同じキャラクターを演じることによって様々な変化を経験できて楽しいから、利点の方が大きい。トムを例に言うと、最初に登場した時から完全に違う人物になっているというのは、演じていてすごくワクワクするし、願わくば視聴者にも僕のようにワクワクしてもらいたいね。
――本作ではトムが身体能力を発揮するシーンがより多くなるとボーケンキャンプが話していましたが、実際のところいかがですか?
僕もそう思うよ。これからもっと撮影する機会があったら、さらにそうなるんじゃないかな。第4話だったと思うけど、すごくいい格闘シーンがあったんだ。そんなシーンをもっとできたらいいね。普通よりも長くて複雑な格闘シーンで、『ジェイソン・ボーン』シリーズにインスパイアされた感じだったけど、ああいうのは演じていてすごく楽しい。複雑な格闘シーンをきっちり撮影するのは難しいけど、うまくいくと素晴らしい場面になるんだ。現場には優れた格闘シーンの振付師、ジョニーとクリスがいて、素晴らしい仕事をしてくれているから、今後もああいうシーンがあると嬉しいね。ちなみに、僕はスタントの多くも自分でこなしているんだ。得意でないことや、あまりに危険なことは他の人がやるけど、なるべく自分でやるようにしている。
――そうしたアクションシーンを演じるため、どんなトレーニングで身体を鍛えているのですか?
まいったな...。『ブラックリスト リデンプション』の撮影が始まる前にはジムに行ってトレーニングをする時間が取れたから、少しばかりウォームアップ代わりにボクシングをやってみたりウエイトトレーニングをしていたんだ。ところが、いったん撮影が始まったら、そんなことをする時間は完全になくなってしまった。なにしろ毎日15時間も撮影していたからね。月曜日の夜明け前から始まって、土曜日の午前中に撮影がなければ金曜日に終わるまで、1週間ずっと疲れ果てていた。そんな調子で全く時間がなかったから、悲しいことに、いかなる形でのエクササイズも一切できなくなってしまったんだ。でも、週に2回ぐらいは、例えばトレーナーに撮影現場まで来てもらったりして、なんとか収録中でもエクササイズができるような方法を考え出したいね。
――とはいえ、アクションシーンなどを見る限りでは、申し分のないコンディションのように見えます。そういうラッキーな体質ということなんでしょうね。
嬉しいことを言ってくれてどうもありがとう。撮影が始まる前にまずまず鍛えられたら、数ヵ月はそれが保ってくれるよう願うしかないんだ。でもシーズン後半になったら、シャツを脱ぐようなシーンはやるべきじゃないね。何もかもがボロボロの状態になっちゃうから。そういうわけで、なんらかの策を講じないといけない。こういうドラマに出演していると、エクササイズをする時間を見つけることはおろか、健康状態を良好に保って充分なエネルギーを維持するための時間を確保することさえ、すごく難しくなってしまうんだ。
――『ブラックリスト』と『ブラックリスト リデンプション』にはどのような繋がりがあるのでしょう?
『ブラックリスト リデンプション』では何よりもまず、『ブラックリスト』のクリエイターであるジョン・ボーケンキャンプ、ジョン・アイゼンドレイスが同職を務めている。トム・キーンというキャラクターは、『ブラックリスト リデンプション』の誘発要因のようなもので、ストーリーの点からも全体のトーンの点からも『ブラックリスト』とは異なる方向性を持たせている。『ブラックリスト リデンプション』ではスパイとか諜報機関、政府とか政治家の裏世界といった領域の話になっているんだ。それと、本家よりももう少し楽しくて、軽く洗練されたトーンになっていて、ユーモアも多めだね。『ブラックリスト』の要素を残しつつも、真新しい部分もあるから、演じていてとても楽しいよ。
――『ブラックリスト』と『ブラックリスト リデンプション』の仕事を並行してこなすのは難しくはありませんか? 特にあなたは後者で主役を演じているわけですが。
主役を演じるのは確かに多大な時間を必要とされるね。脚本の段階から編集の段階という全体を通して関与が深くなるのは楽しいけど、より多くの時間を取られてしまう。二つのドラマの間を行ったり来たりして出演するのは、間違いなく時間的に大変なんだけど、最終的にはトムは主として『ブラックリスト リデンプション』の方に登場するという形になると思う。じゃないと、僕は眠る暇さえなくて演技するのが困難になっちゃうからね。
――具体的にどんな撮影スケジュールになっているのですか?
この二つのドラマは同時進行しながら撮影されていて、一つのドラマの収録中に時間を見つけてもう一つの方の現場に行く形になっている。でも僕の場合、最近は『ブラックリスト』には少しだけ顔を出す程度で、『ブラックリスト リデンプション』に集中している状態なんだ。とはいえ、たしかに大変だよ。ほとんど毎日、一日中『ブラックリスト リデンプション』にかかりきりだから、『ブラックリスト』に出演する時間を見つけるのは難しくなっている。
――撮影現場はどんな雰囲気ですか?
(マティアス・ソロモン役の)エディ(・ガテギ)と僕はいつも互いを大笑いさせ合っているし、(デュモント役の)アドリアン(・マルティネス)も仲間に加わったりして、みんなですごく撮影を楽しんでいるよ。トムとソロモンが互いに「殺してやるからな」とジョークでしょっちゅう言い合ったり、デュモントがコンピューターで女性をいやらしい目つきで見つめたりと、この作品の方が『ブラックリスト』より軽いトーンでユーモアが多いと思うんだけど、僕らもドラマのそういうところを採り入れて、楽しい現場にしようとしているんだ。すごくドラマチックなシーンにちょっとしたユーモアを加えると、ドラマチックさがいっそう増すものだしね。
――撮影中に笑いが止まらなくなって、NGになってしまったこともありますか?
ああ、そういうこともあるよ。そうならないよう努力するんだけどね。すごくプロにふさわしくない行為だという気がするから。でも、ある種のシーン、どんなシーンなのかは敢えて言わないけど、ある種のセットである種のシーンを演じる時に、長いセリフを言うのにとちったりして、誰かが笑い出すと、もう全員が道連れになってしまうんだ。で、いったん、そのセリフに笑ってしまうと毎回それを言うたびに笑わずにはいられなくなる。セリフじゃなくて何か他のことでもあることだけど、いったんそういう状態になると、もう後戻りできなくなってしまうんだよね。すごく楽しいけど、時間の無駄になっていることは確かだから、あまり何度も繰り返したり、頻繁に繰り返してはダメだけど、実際にそういうことになっている時にはかなりおかしいものだよ。
――トムの両親を演じたファムケ・ヤンセン、テリー・オクィンとの共演はいかがでした?
素晴らしかったよ! 二人とも素晴らしい人であり俳優だけど、演じ方は全く違うんだよね。トムとハワードとの関係、トムとスコティーとの関係も、まるで違う。その両方の関係を演じられることがとても楽しいんだ。スコティーとは、母と息子という関係を持つことができないだろう? スコティーはトムが自分の息子だと知らないからね。トムはレディントンから、息子であることをスコティーに明かさないよう指示されたから、トムは沈黙を保っているんだ。つまり、二人の間には秘密がたくさんあって、そこに親密さはない。一方、テリー演じるハワードについては、どういう理由だかは分からないけど、トムは相手が自分の父親であるということを真実としてすぐに受け入れるんだ。そういうトムの態度にはちょっと無邪気なところがあって、初めて父さんと会って父さんのことを知るようになっていくといった関係を演じるのは楽しいよ。
――ドラマ界でのこれまでのキャリアを振り返ってみていかがですか?
満足しているよ。ドラマでの仕事は、何がうまくいって何がうまくいかないか、というのは全く分からないものだから、僕らはできる限りベストを尽くして、あとは時の運に任せて見守るしかないんだよ。でも主役を演じるのはすごく楽しいし、ワクワクすることだ。これを機に、僕自身も脚本を書き、編集を担当し、製作現場全体に関与してみたんだけど、創造性の点でとても充実感があって刺激的な経験だった。ぜひ今後もそういうことを続けていきたいね。
――監督としてのスキルについてウディ・アレンから影響を受けたと話されていましたが、どのような点で影響を受けたのですか? それは演技にも影響していますか?
そうだね。ウディ・アレンが影響を受けた監督たちの一人であることは確かだ。特に彼の脚本は、人間のありように対する思慮に富んだ洞察と、滑稽で不条理なユーモアという組み合わせが素晴らしい。撮影の仕方も、シンプルなロングショットやツーショット、それに登場人物たちが長い間歩くところをワンテイクで撮ったショットなど、特筆すべきものだと思う。
俳優としても、影響を受けた人たちはたくさんいるけど、特に1970年代に活躍していたアル・パチーノやダスティン・ホフマン、ロバート・デ・ニーロなどから強く影響を受けた。マーロン・ブランドやジェームズ・ディーンといった往年の名優も素晴らしいと思うし、もう少し下の年代ではエドワード・ノートン、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jrなどが好きだ。優れた俳優はまだまだ大勢いて、挙げきれないけどね。
――今後、犯罪もの以外のジャンルに挑戦する気はありますか?
もちろん。多様なジャンルの作品に出演していきたい。ずっと一つのことしかやらないなんてことはしたくない。『Literally, Right Before Aaron(原題)』という映画の脚本を書いて監督したばかりで、この映画はトライベッカ映画祭で上映されたんだけど、本当に素晴らしい経験だった。そういうことをもっとやっていきたいね。この映画はロマンチック・コメディなので、『ブラックリスト リデンプション』とは全然違う作品だよ。俳優としては、今後、何が待ち受けているかまったく分からないけど、いろんなことに挑戦していきたい。個性的な役とか、型にはまらない脇役を演じることにも興味があるんだ。
――あなたはミュージシャンでもありますよね。『ラ・ラ・ランド』の大ヒットなどでミュージカル復活の可能性も言われていますが、そういうジャンルはいかがですか?
もちろん興味はあるけれど、僕に合う類のミュージカルじゃないとダメだろうね。すごく好きな種類のミュージカルもあれば、それほど好きではない種類のものもあるから。好みに合ったミュージカルならぜひやってみたい。『ラ・ラ・ランド』は素晴らしい作品だったから、ああいう映画に出られたらとても楽しいだろうな。『ONCE ダブリンの街角で』も好きなミュージカルだよ。
■『ブラックリスト リデンプション』放送情報
スーパー!ドラマTVにて12月11日(月)より独占日本初放送!
[二]毎週月曜 22:00~ ほか
[字]毎週月曜 24:00~ ほか
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