【ネタばれ】『13の理由』シーズン2、「少女の自殺」を生徒たちの視点で 驚きの新事実が明らかに

(※本記事は、同シリーズのネタばれを含みますのでご注意ください)

昨年、若者の間で空前の大ヒットとなった、Netflixのミステリードラマ『13の理由』。自殺した少女を追い詰めた13の原因が、少女自らの遺したカセットテープによって暴かれる。スリリングな傑作であると同時に、自殺やレイプの生々しい描写が議論を呼ぶ問題作でもあった。人気を受けてこの度公開されたシーズン2は、前作ほどの突出した評判は聞かれないものの、昨年の批判を真摯に受け止めて対応した良作になっている。若き実力派、ディラン・ミネットの演技力にも注目だ。

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◆校内に蔓延するイジメと性暴力
昨年公開のシーズン1では、カセットテープに吹き込まれた独白を中心に物語が展開。13話構成の各話ごとに、少女ハンナ・ベイカーを自殺に追いやった原因が一つずつ明かされるという筋書きだった。

対するシーズン2のメインプロットは、彼女の両親が起こした法廷闘争。学校に蔓延するイジメと性的虐待を看過したとして、学校側を相手取り両親が訴訟に踏み切ったのだ。前シーズンでは触れられていなかった事実が次々と飛び出す中、13人の目撃者のどの証言を信じるかは、視聴者一人ひとりの判断に委ねられている。いわば被害者本人の視点のみで語られていた前作と異なる、新しい試みだ。

シーズンを通じた物語の推進役となるのは、前作にも登場した青年クレイ・ジェンセン。ハンナに密かな恋心を抱いていたクレイは失意に沈むが、何らかの方法で彼女の仇を取ることを決意し立ち上がる。自らのロッカーに投げ入れられていたポラロイド写真を元に、ハンナをレイプしたフットボールチームの花形選手のブライスが、他の女子たちをも毒牙にかけていたことを突き止める。意外な形で画面に登場するハンナとともに、クレイは真相を追いかける。

◆不安定だがそこが良いクレイ役ディランとそれを引き出す脚本の妙
穏やかな外見とは裏腹に、加害者への激情を秘めたディラン・ミネットの芝居は必見。21歳とは思えないほど練達した演技で、青年期特有の不安定な情緒をクレイというキャラクターに宿らせる。米Varietyでは、普段のディランの表情は何も書いていない石板のようだとしながらも、ひとたび感情を表に出した瞬間、その演技が輝き出すと賞賛。話数を重ねるにつれ、些細なことにも怒りをほとばしらせるようになる彼だが、その危うさゆえに惹きつけられるという視聴者も多いことだろう。

ディランの演技力に加え、クレイの人物像を支えているのが優れた脚本。米Entertainment Weeklyは本作の脚本について、10代特有の不安や苦悩をうまく表現していると評価している。終盤に視聴者を待ち受ける大きなツイストも相まって、脚本への評価は高い。観ている最中よりも、むしろ観終わってから振り返った時に良さを噛みしめる作品だと表現。

◆前シーズンで受けた批判に真摯に対応前シーズンで爆発的な人気を誇った『13の理由』だが、自殺やレイプを生々しく描写するそのスタイルは批判の的ともなった。自殺した少女ハンナの独白をもとに一方的に進められるストーリーは、自殺を神聖化し、復讐の手段として正当化してしまうと、精神科医や自殺予防団体などが警告を発している。

こうした批判を製作陣は真摯に受け止めたようだ。シーズン2の内容は前述の批判への対策がなされていると米Atlanticは述べている。自殺の連鎖を恐れる校長はハンナの死について語ることを生徒たちに禁じるが、これを嫌悪したクレイは彼に反論する。二人が激論を交わすシーンでは、自ら命を絶ったハンナへの視線について、両者の立場が視聴者に示されるよう配慮されている。

依然として自殺やドラッグなど扱いの難しいトピックが多く含まれるため、その描き方を問題視する声もある。ただしドラマ全体としての評価は決して悪くない。シーズン1を気に入った視聴者であれば、今シーズンもイッキ見してしまうことだろう。(海外ドラマNAVI)

Photo:『13の理由』シーズン1より