『埋もれる殺意』第3弾、「今年一番」と英紙絶賛!ロンドンで20年前の少女の白骨が見つかり...

2015年に英ITVネットワークで放送されて大反響を呼んだ未解決事件の謎を解くクライムサスペンス『埋もれる殺意』シリーズ。第1シーズン『~39年目の真実~』、第2シーズン『~26年の沈黙~』に続く、英ITVで放送中の第3シーズンでも、引き続き刑事キャシーと巡査部長サニーが少女の死をめぐる謎に挑む。刑事ドラマといえば性格に一癖ある主人公も数多い中、被害者と家族の心情を第一に考えるキャシーは、言わば異色の人格者。脚本を担当するクリス・ラングは、サスペンスとヒューマン・ドラマを両立させている。

■ロンドンの高速道路から20年前の死体

イギリスの南北を結ぶ高速道路、M1。ロンドン近くの区間の工事現場から、死後約20年経過した白骨死体が発見される。警部キャシーは巡査部長のサニーを従え、被害者の身元の洗い出しを開始。粘り強い科学捜査の結果、若い女性であること、そして右手首に骨折の痕があり、キプロス製のチタンプレートで治療されていることが判明する。失踪者リストからキプロスへの旅行歴のある人物を丹念に洗うと、浮かび上がったのは当時16歳の少女だったヘイリー・レイド。彼女が死亡に至った経緯を明らかにするため、二人は本格的な捜査に着手する。

■人情に厚い警部キャシー

主人公キャシーは優秀な警部でありながら、被害者への情にも厚い優れた人格者。第1話では失踪者リストに載った人物の家族に順に電話をかけていくシーンがあるが、英Guardianはチームに指示を出す彼女の姿をピックアップ。捜査チームの面々が受話器に手を伸ばす直前、キャシーは厳かに次のように告げる――。行方不明者の家族は希望を持って帰りを待ち続けている。警察から電話を受けた家族は希望に色めき立ち、そして数秒後に奈落の底に突き落とされるだろう。感情を踏みにじるその瞬間は、せめて、できる限り穏やかに踏みにじりなさい、と。

キャシー役のニコラ・ウォーカーは、本作でその才能を遺憾なく発揮。英Timesは、控えめな演技の中にも、孤独、共感、慈しみといった感情を織り込んでいると評価している。若い女性の死をめぐる刑事ドラマは数多いが、凡作に陥ることなく、ニコラの存在感によって別格の出来栄えとなっている。

英Telegraphは作品全体のトーンを称賛する。真摯な空気と人間性こそが『埋もれる殺意』を特別なドラマにしていると評価。未解決事件の再調査とはすなわち、被害者とその家族の人生に向き合うことを意味している。そんなことを感じさせてくれる本作は、今年観た作品の中で一番面白いシリーズだと絶賛している。

■バラバラなストーリーが...

今シーズンの冒頭では、一見何のつながりもない4人の中年男性のストーリーが描かれる。さすらいのアーティスト(ジェームズ・フリート)は女性へのプロポーズを考えており、気難しいドクター(アレックス・ジェニングス)は職権乱用の告発を受ける。売上に悩むセールスパーソン(ニール・モリッシー)は舌先三寸で顧客を騙し、うっぷんを抱えたロンドンのTV司会者(ケヴィン・マクナリー)は素行不良の息子を追っている。

まとまりのないプロットに思えるが、これこそがシーズン1から全話を執筆してきた脚本家クリスの常套テクニック。断片的な出来事が、いつしか意外な一本の糸に集約されてゆく。多層的なストーリーが魔法のように複雑に絡み合う作品だと評価するTelegraphは、バラバラに見えるストーリーの中に事件のヒントが隠されているはずだとも予測している。

シーズン冒頭にして、すでに4人の繋がりを匂わせる予兆も。1本の電話により、彼らに何らかの関連があることが明らかになる。Guardianは、無関係に思えるシーンを示しておき、後から重厚な背景を開示して驚かせるのが脚本家クリス流のスタイルだと解説している。今シーズンも予想外の展開で驚かせてくれることだろう。

血の通った刑事が未解決事件に挑む『埋もれる殺意』シーズン3は、英ITVで放送中。日本国内ではdTV、楽天TVなどでシーズン1を配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『埋もれる殺意~39年目の真実~』(シーズン1)
(C) Mainstreet Pictures 2015