「まれに見る完成度」米メディアが絶賛するクライム・スリラー『The Sinner』シーズン2

米USA Networkで昨年放送され、予想外の大ヒットを記録したクライム・スリラー『The Sinner -記憶を埋める女-』。8月1日から全米で放送を開始したシーズン2では、カップルを毒殺したという不気味な少年の動機に、前シーズンで存在感を示した敏腕刑事のハリー(ビル・プルマン)が迫る。しかし、彼の心にも忘れ得ないトラウマが蘇り...。エミー賞とゴールデングローブ賞にノミネートされた人気シリーズの第2弾は、二転三転のストーリーが唸らせる、晩夏にぴったりのシリーズだ。

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■中学生による「両親」殺しに、孤独な刑事が腰を上げる
家族とともに平和なビーチを訪れた妻コーラ(ジェシカ・ビール)が、突然暴力的な衝動に襲われたシーズン1。見ず知らずの青年に何度も刃を突き立てた彼女の動機を、一匹狼のハリー刑事が丹念に調査し、その過去と衝撃的行動の理由を鮮やかに解き明かした。

今シーズンでハリーは、まったく異なる事件に挑む。今期の主題は、どこか不気味な雰囲気を漂わせる中学生ジュリアン(エリシャ・ヘニグ)が、ナイアガラの滝への旅行中にモーテルで「両親」を毒殺した事件。のちに被害者二人は実際の両親ではないことがわかり、ジュリアンとはどす黒い関係で繋がっていることが明らかに。真の母親を探したところ、農場で気味の悪いカルト集団を主催しているヴェラ(キャリー・クーン)が名乗り出るが、彼女にはどこか信頼を置くことができない。ジュリアンの隠す真実と犯行の理由を探るなかで、ハリーは自身が心の奥に閉ざしてきた幼少期の記憶とも対峙することになる。

■敏腕刑事が隠す心の闇
ぶっきらぼうで周囲に馴染もうとしないハリー刑事は、シリーズの核となる重要なキャラクター。現場に残された証拠を見るなり、わかりやすすぎて不自然だと見抜くなど、長年の勘が冴え渡る。ぶっきらぼうで周囲に馴染もうとしない彼の役を、前シーズンから続投のビルが非常に印象的な演技でこなしている、と米Washington Postは評価する。今シーズンでは少年時代の衝撃的な記憶が蘇るなど、その存在はますます重要になっている。

ビルについて、一匹狼の情熱的刑事として非常に優れた演技を再び見せている、と米Los Angeles Timesは賞讃している。社会に適合できない現在の性格は、幼少期のトラウマ的事件に影響を受けている模様。燃える布、煮えたつ油、不気味な影...。これらのフラッシュバックが意味する彼の過去が、ストーリーが進むにつれて明かされることになる。いかなる場面にも動じなかったハリーが隠し持つ意外な一面は、今シーズンの見どころの一つだ。

■クライム・サスペンスとしてまれに見る完成度
本作は、存在感の強いキャラクターだけでなく、ドラマ全体のバランスにも優れている。ストーリーのペース配分と脚本の妙が効いているとWashington Postは高く評価。一度見だしたら止まらない面白さの秘訣は、証言の不確かさ、残虐なシーン、そして驚きの展開など、あらゆる要素が絶妙な割合で含まれているためではないかと推測している。こうした長所を確保できているクライム・シリーズは貴重だと絶賛。晩夏にぴったりの、否応無く引き込まれるドラマになっていると述べている。

バランス感覚を評価するのはLos Angeles Timeも同様だ。シーズン1は陰謀の気配と捻りの効いたストーリー・テリングによって輝かしい成功に導かれたが、今期も期待して良いと太鼓判を押している。思わぬ展開が次から次へと現れ、ストーリーが意外な方向に急ターン。キャラクターの過去と動機は最後まで予想できないだろうと同メディアは述べている。

刻々と事件の全体像が変化するクライム・スリラー『The Sinner』シーズン2は、米USA Networkで放送中。日本ではNetflixにてシーズン1『The Sinner -記憶を埋める女-』を配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『The Sinner -記憶を埋める女-』
(C)USA Network