アラサー女子の共感呼ぶ『インセキュア』 シーズン3で元カレ・ダニエルとの関係は...?

ロサンゼルスに住むアラサーの黒人女性たちが、どん底の人生をコミカルに生き抜く姿を描く『インセキュア』。恋も仕事も谷底の彼女たちが、大都会の苦い日々をエネルギッシュに乗り越えてゆくシーズン3の放送が、米HBOでスタートした。

■土砂降りの人生、雲間から光
ロサンゼルスの学校関係のNPOで働くイッサ(イッサ・レイ)は、理想とは程遠い日々に翻弄されている29歳。職場でほかに黒人がいなかったり、降格処分を受けたりと、仕事のストレスはマックスに。さらに私生活でも、ボーイフレンドのローレンス(ジェイ・エリス)の長い失業を巡り口論に発展。昨シーズン末までに関係を終えていた。

傷心のイッサは住む場所もなく、元カレ・ダニエル(イラン・ノエル)の元に身を寄せることに。ダニエルへの想いが再び高まるのを感じつつソファで寝ていたところ、飛び込んできたのはダニエルの寝室からの女の喘ぎ声。まさに泣きっ面に蜂の展開にたまらず家を飛び出し、虚しく外で時間を潰す羽目になってしまう。

復縁は絶望的に思われたものの、徐々に変化が。二人は一緒に夜のクラブに繰り出し、急接近のチャンスを迎える。人生のつらい時期を生きているにもかかわらず、それを感じさせまいと互いに気を張るイッサとダニエル。何もかもが上手く行かないイッサの人生が、少しずつ変わろうとしている――。

■たくましく生きるイッサたち キャストが活き活きと
本作で主演を務めるイッサ・レイ。作品が特別な一本に感じられるのは、その才能あってこそだと米TIMEは指摘する。画面上の会話も関係性も、すべてが本物のように感じられる。昨シーズンは群像劇のスタイルを採り入れたものの、『SEX AND THE CITY』を上辺だけなぞったような印象に終わっていたが、今作では一転、主要キャラクター同士の実のある会話に力を入れており、イッサの強みを最大限に引き出すことに成功していると高い評価を与える。前期はローレンスの色男ぶりが大きな魅力となっていたが、彼が舞台から去った今、イッサと友人たちのストーリーが花開こうとしている。

イッサ・レイの才能は米Entertainment Weeklyも認めるところ。コミカルでぎこちない役回りでその才能を発揮し、特に親友、モリー役のイヴォンヌ・オージ とは完璧な相性を見せる。不安を抱えながらも無鉄砲に動き回るモリーとのコンビは、画面にエネルギーと笑いをもたらしてくれる。本シリーズへの出演で、主演のイッサ・レイはゴールデン・グローブ賞に2度、エミー賞に1度ノミネートされている。

■苦しみへの共感
笑いだけでなく、人生の深みを随所に織り込んだ本作。今シーズンで主要キャラクターたちは、些細なものから人生の岐路というべきものまで、それぞれに変化の時を迎える。親友モリーのアップダウンを紹介するのはEntertainment Weekly。新しく雇われた弁護士事務所は黒人ばかりの過ごしやすい環境に思われたが、独特の社内政治が存在することが判明。パワーバランスに苦しめられることになる。さらに交際中のドロ(サルナス・ジャクソン)は複数の女性を妻にすると宣言しており、彼女の人生はさらに泥沼に。

人生のハードルと闘い続けるのは、イッサの元カレ、ダニエルも同じ。ヒップホップのプロデューサーという職はクールに思えるが、上下関係の厳しい業界でトップに上り詰めるために心身をすり減らしている、とTIMEは紹介している。無名のフリー音源のプロデューサーとして一生を終えてしまう恐怖を常に抱えており、クリエイティビティにまつわる会話には熱がこもる。恋をめぐるドタバタ劇の中にも、さまざまなキャラクターが随所にメッセージ性を感じさせるシーズンになっている。

無尽蔵のエネルギーの持ち主イッサが、崖っぷちの日々を仲間たちと楽しく生き抜く『Insecure』シーズン3は、米HBOで放送中。日本ではAmazon Prime Videoでシーズン1を配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:イッサ・レイ
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