『TRUE DETECTIVE』シーズン3、35年前の失踪事件と再び向き合う敏腕刑事

米HBOの人気刑事ドラマ『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』に、シーズン3が登場。アンソロジーシリーズである本作は、シーズンごとにまったく違った登場人物が登場する。派手な演出が目立った昨シーズンから大きく路線を変え、主人公の秘められた過去にじっくりと迫るスタイルで好評を得ている。

♦無念の事件から35年

1980年、米アーカンソー州。刑事ウェイン(マハーシャラ・アリ)は、相棒の白人警官・ローランド(スティーヴン・ドーフ)とともに、子ども二人の失踪事件の報を受ける。警察車両で現地の町に乗り込むや否や、ウェインはベトナム派兵時代の追跡スキルを存分に発揮し、解決まであと一歩のところまで漕ぎ着ける。

時は経って2015年。敏腕刑事だった二人は、別人のように変わり果てている。ウェインは記憶障害に悩まされ、相棒のローランドは独り身でビール缶を次々と空ける怠惰な生活。そんな二人の意識を再び35年前の失踪事件へと向けたのは、熱心なジャーナリスト(サラ・ガドン)からの取材依頼だ。解決を目前にしながら子どもたちを救うことができなかった、とインタビュー中に悔恨するウェイン。しかし取材班の女性はそんな彼に、事件を紐解く決定的な新情報を見つけたと告げる。ウェインの記憶が混沌とするなかで明かされる、失踪事件の真相とは...?

♦錯綜する時間軸がスパイスに

もはや刑事ドラマには定番となった、アクション・シーンやレッド・ヘリング(偽の手がかり)も、もちろん登場。そのほか興味深い特徴としてChicago Sun Times紙は、ときにエピソード単位、ときにシーン単位と、時間が頻繁に前後する点を挙げている。複雑な構成がミステリアスなストーリーをさらに加速し、心地よい混乱の渦へと視聴者を導いてゆく作品だ。

1980年、1990年、2015年と、3つの時代をせわしなく行き来する本作。過去のシーズンにも同様の特徴があった、とVariety誌は振り返る。前作との違いを挙げるとすれば、非常に無駄がなく、タイトに作られたシーズンだと言うことができるだろう。時代を前後させる以外には、余分な装飾を一切取り払っている。過剰演出気味だった前作と比べると、例えばウェインが自身の過去と対峙するシーンなどは非常に注意深く描かれている、と同誌。出演陣の至高の演技が際立つシーズンになっている。

♦トップ・クラスの出演陣

二人の主役の関係性の変化にも要注目だ。職場での気の置けないパートナーだったウェインとローランドだが、次第に対立が目立つようになる。ローランドが昇進すると、果たして実力によるものか、それとも彼が白人だからなのか、とウェインは冷めた感情を抱くように。白人警官たちが主人公だったこれまでの2シーズンとは違い、人種問題が一つのテーマになっているとVariety誌は見ている。

そんな二人をはじめ、リミテッドシリーズでは豪華な俳優陣も魅力の一つ。シーズン1に登場のマシュー・マコノヒーとウディ・ハレルソンをはじめ、『KIZU-傷-』のエイミー・アダムス、『ナイト・マネジャー』のトム・ヒドルストン、『Homecoming(原題)』のジュリア・ロバーツなど、一流のキャストが揃っている。そして、本作で主役刑事を演じるマハーシャラの実力も忘れてはいけない。感情のくすぶりを滲ませるそのパフォーマンスは観るものを惹きつけ、時間軸を行き来するストーリーが複雑になるにつれキャラクターの印象に磨きがかかっている、とChicago Sun Times紙は褒め称えている。

『TRUE DETECTIVE』シーズン3は、1月13日から米HBOで放送中。日本では現在Amazon Prime Videoにて、シーズン2までが配信されている。(海外ドラマNAVI)

Photo Credit: DFree / Shutterstock.com