【日本未上陸】『Abby's』ユニークな撮影方法のシットコム 秘密の裏庭バーに集う愉快な人々

小さな裏庭を賢く利用し、オープンエアのお洒落なバーがオープン。しかし雰囲気ある空間に集う人々は、バーテンダーからゲストまで、パンチの効いた性格の持ち主ばかり。『Abby"s(原題)』は、米NBCで3月下旬から放送中のコメディだ。

秘密の裏庭バーへようこそ

アルコールをこよなく愛する女性・アビー(ナタリー・モラレス)は、自宅裏庭のスペースに屋外のバースタンドを開業する。夜になると電飾がきらめき、夜空をバックにオトナな空間が出現。しかし、実はアビーの家は借家で、バーは大家のビル(ネルソン・フランクリン)に内緒で作られたもの。無許可で違法なバーにビルは激怒するが、アビーにはジェームス(レナード・ウーツ)という巨体の用心棒がいるので安心...と思いきや、体に似合わず気弱な彼はトラブルが苦手。ビルを追い返すことができない。

アビーは元海軍の軍医という経歴の持ち主で、肝の据わりようはお墨付き。しぶとく営業を続ける彼女を囲むのは、両手を怪我してなおモヒート作りに挑むバーテンダー、突如燃え上がるスラックスに慌てふためくゲスト、162項目に及ぶ店内の決まりごと、そして提供される最悪なフレーバーのドリンクなどなど。今宵もアビーのバーでは、カウンター越しに絶好調なジョークが飛び交う。

気の置けない友達と過ごすひと時

元海軍軍医のアビー、バーの出現で孤独な夜から解放されて喜ぶフレッド(ニール・フリン)、人間関係に悩むご近所のベス(ジェシカ・チャフィン)など、にぎやかな面々がトークを繰り広げる本シリーズ。きちんとした設定の上で素晴らしいキャストが贈る作品、と米Los Angeles Times紙は述べ、作品の品質に評価が高い。第1話の時点では底抜けに愉快とまではいかないものの、同じ脚本家ジョシュ・マルムースが手掛けたアメリカ・フェレーラ主演のコメディ『Superstore(原題)』も、やはりスロースタートからグイグイと勢いを伸ばしており、本作も今後の躍進に期待がかかる。

こうしたキャストあってこそ視聴の価値がある、と米Hollywood Reporterは断言。SFアクションドラマ『The Middleman(原題)』で無表情な報道官を演じたナタリーは、本作では一転、自由すぎる店主のアビーを演じる。彼女の個性とキャリアが十分に活かされた台本になっている、と同メディアは称賛している。

本物の野外で撮影敢行

本作ではセットを屋外に構築し、実際の夜空の下で、現実の観客の前で撮影を敢行している。ライブ感たっぷりのシチュエーション・コメディは、近年のNBCにはなかったスタイル。観客ありのマルチカメラ方式とは同局にしては珍しい、とLos Angeles Times紙は述べ、撮影手法の新鮮さを評価。マルチカメラとは、カット単位で撮影を止めずに通しで演じ、同時収録する複数のカメラからの映像を切り替えることでカット割りを表現する方式。従来NBCは、通常のドラマや映画のように、カット単位で入念に計画して撮影するシングルカメラの手法を多用してきた。

登場するキャラクターのなかにはほかの名作コメディを彷彿とさせる人物もいるものの、こうしたユニークな撮影手法によってオリジナリティが生まれたとHollywood Reporterは捉えている。観覧ゲストを屋外へと連れ出し、夜の屋外という珍しい環境で撮影するギミックが功を奏したようだ。

愉快なキャストとともにバーでの一夜を楽しむ『Abby"s』は、米NBCで放送中。(海外ドラマNAVI)

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ナタリー・モラレス ©Kathy Hutchins / Shutterstock.com