【日本未上陸】NYの新婚夫婦が夢のカントリーライフに!コメディ『Bless This Mess』

結婚したての夫婦が大都市ニューヨークを離れ、ネブラスカ州の田舎町へ。しかし、トウモロコシ畑のほかには何もないネブラスカは、二人の夢描いた田舎暮らしとは程遠い場所だった。コメディ『Bless This Mess』は、米ABCで4月中旬から放送中。

心機一転のカントリーライフ

華やかなニューヨークで働きながらも、自然のなかでの生活を夢見ていたセラピストのリオ(レイク・ベル『ウェット・ホット・アメリカン・サマー』)。夫でジャーナリストのマイク(ダックス・シェパード『HIT&RUN』)の大叔母が死去し、ネブラスカ州にある邸宅を相続したことから、二人は思い切ってそこへ移住しようと決意する。

小さなトレーラーに一切の家財とありったけの希望を詰め込み、意気揚々と穀倉地帯を駆け抜ける二人。しかし現地に着いて目にしたのは、出発前に見たイメージ写真とは程遠いボロボロの廃屋。歩けば床が抜け、屋根の隙間からは青空が覗くあばら家にはおまけに嵐が接近している。

修繕を急ぐ二人は、いつしか近所の住人たちと知り合いになり、力を借りることに。親切だが勝手に家に上がり込むなど、地方特有の距離感で二人を困惑させる老人のルーディー(エド・ベグリー・ジュニア『リゾーリ&アイルズ』)に、死んだ大叔母のお悔やみにさり気なく苦情を混ぜてくるコンスタンス(パム・グリア『Lの世界』)など神経図太い住民ばかり。ネブラスカ州のマイペースな人々が新参カップルを振り回してゆく。

未知の世界に迷い込む、安定のシチュエーション

期待を胸に都会を飛び出したものの、予想外の地方での生活にタジタジになってしまう妻リオと夫マイク。食料を栽培するのも、家を直すのも、何もかもが初めての経験となる。場違いな場所に迷い込んだ「陸に上がった魚」ともいうべきこの状態は、シットコムとしては実績のある設定だ。手堅い設定が評価できるとVariety誌は述べている。

往年のシットコム『農園天国』(1965年~1971年)を引き合いに出すのはLos Angeles Times紙。マンハッタンの敏腕弁護士が相続をきっかけに妻と田舎町に移るという作品で、本作とは共通項が多い。ほかにも似た設定の名作は数多く存在しており、本作の設定は先例に裏打ちされていると言えるだろう。勢いよくニューヨークを飛び出したものの、ほとんど何の準備もしていないリオとマイク。それでもリオは「心はいつでも地方出身者」「農業の血が流れてる」と自信だけは一人前。その余裕は果たしてどこまで続くだろうか...?

押しの強い住民にタジタジ

さて、町で二人を迎えるのは、親切なようで気が抜けない住人たち。なかでも強烈な印象を持つキャラクターをLos Angeles Times紙は紹介している。老人ルーディーは何かとアドバイスをしてくれるが、勝手に納屋に住み込み、ときどきシャワーを使いに上がり込んでくる。工具店の店主のコンスタンスは演劇に夢中で、この前は娼婦の役を演じたとご満悦。近所に住むボー(デヴィッド・ケックナー『フルサークル・シカゴ』)とカイ(レノン・パルハム『ママと恋に落ちるまで』)は、さり気なくしかし明らかに、リオたちの自宅を乗っ取って肉の貯蔵庫に改装しようと狙っている。濃いメンバーを相手にたじろぐ新参者の夫婦が気の毒ながら愉快だ。

マイクは住人との揉め事に気を遣い、リオは牛を目にしては恐れおののく、とVariety誌は紹介。我の強い町の人々に囲まれることで、都会っ子二人の無力感がいっそう際立っている。新婚カップルを演じるレイクとダックスの息もぴったりだ。

都会っ子のカントリーライフ挑戦記『Bless This Mess』は、米ABCで4月中旬から放送中。(海外ドラマNAVI)

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ダックス・シェパード&レイク・ベル
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