『チェルノブイリ』が今こそ"観るべき衝撃作"である理由 識者が語るドラマの魅力

1986年4月26日に旧ソビエト社会主義共和国連邦のチェルノブイリ原子力発電所で起きた爆発事故の真実に迫る実録ドラマ『チェルノブイリ』。その衝撃的なテーマと、作品としての完成度の高さにより本年度エミー賞でも作品賞、監督賞、主演・助演の主要各賞をはじめ19ノミネートを果たしている本作が、BS10スターチャンネルにて9月25日(水)より独占日本初放送、9月26日(木)より配信スタートとなる。それに先駆けて、9月19日(木)に都内でトークイベント付き第1話試写会が開催された。3人の有識者がプロの視点から、『チェルノブイリ』が今こそ"観るべき衝撃作"である理由を現地取材の経験などを交えながら語ったイベントの様子を紹介しよう。

1986年4月26日に旧ソ連・現ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で発生した人類未曾有の原発事故を描く全5話のミニ・シリーズ。前代未聞の事態に直面し、さらなる事故と被害拡大の阻止に向けて一刻を争う対応に追われる科学者たちの緊迫感から、冷戦下で面子を優先する旧ソ連政府の隠ぺい工作、そして火災対応で大量の放射線を浴びた消防士らの被害の深刻な状況まで、張りつめた緊張感とともに、地上波では避けられがちな衝撃的な描写も含め、赤裸々に描き切っている今年1番の注目作だ。

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本編上映前に、開沼博(立命館大学准教授・社会学者)、西山里緒(ビジネスインサイダージャパン編集者)、今祥枝(映画・海外ドラマライター)の3人が登壇。各ジャンルで活躍しているそれぞれが、作品の魅力を現地取材の経験などを交えながら披露した。

まず、チェルノブイリを4回訪れたことのある社会学者の開沼が、「このドラマには2つ良いところがある。事故の大変さを伝えるものは数多くあるが、動物の殺処分を描いたり、多様な側面から描いているところが良かった。同時に作業にあたった方が亡くなっていく姿などリアリティある映像の凄さも感じた。映画という枠にとらわれないドラマで表現することの新しさも感じることができた。不気味な日常が描かれる第1話目以降も是非見て欲しい」と述べた。

続いて、8月にチェルノブイリを訪れたばかりのジャーナリスト西山里緒は、ドラマを見てチェルノブイリを訪れる人が増え、観光地化している現地の様子を伝えた。ドラマで描かれる被曝を受けた後のビジュアルと最終話で描かれる事実に衝撃を受けたことを熱く語った。

最後に、海外ドラマライターの今が、数々の話題作を世に送り続ける米ケーブル局HBO作品のクオリティの高さと、『チェルノブイリ』のドラマとしての魅力を解説。衝撃的なシーンももちろんあるが、エモーショナルな描写を少なくして淡々と静かに描く脚本と構成の素晴らしさ、俳優たちの繊細な演技を称賛。

会場に訪れた観客は、ドラマの見どころや、33年の時を経てドラマが作られた意味、識者3人がそれぞれに感じた本作のテーマなどのトークに熱心に耳を傾け、その後上映された、決して風化させてはならない人類史上最悪の原発事故を描く第1話に、言葉を失うほど深い衝撃を受けていた。

本作監督は『ウォーキング・デッド』や『ブレイキング・バッド』のヨハン・レンク。綿密な取材に基づいて緊迫の一部始終を描き上げ、廃炉となったリトアニアの原子力発電所でロケを敢行した本作は、米IMDbでの採点が過去最高の9.7点(10点満点)と、『ゲーム・オブ・スローンズ』を超えて海外ドラマ史上最高評価を獲得している。

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『チェルノブイリ』は、BS10スターチャンネルにて字幕版が9月25日(水)23:00より独占日本初放送、吹替版は9月30日(月)22:00よりスタート。さらに「スターチャンネルEX」にて、9月26日(木)よりオンデマンド配信となる。(海外ドラマNAVI)

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