NYの法律事務所を舞台に、クールな弁護士たちが活躍するスタイリッシュ・サクセスストーリー『SUITS/スーツ』。ファイナル・シーズンとなるシーズン9がついにWOWOWプライムにて4月28日(火)より日本初放送となる。
NAVI編集部では、マイクがシーズン7以来の登場となるシーズン9第5話の吹替収録現場にお邪魔して、ハーヴィー・スペクター役の桐本拓哉さん、マイク・ロス役の西健亮さん、ドナ・ポールセン役の行成とあさん、ルイス・リット役の横島亘さんを直撃取材! 毎週1度、本放送が始まるまでの4週にわたって紹介する企画の第3回目となる今回は、9シーズン続いた人気作のアフレコ現場の雰囲気を赤裸々に語っていただきました!
――皆さんで、それぞれ一人ずつに対して吹き替えをされてきた姿の印象や、収録現場での様子はどんな感じだったかを教えてください。まずは桐本さんに対してからお願いします。
桐本:忌憚のない意見をください(笑)
行成:私はドナとしてハーヴィーと話すことが多いんですけど、シリアスな展開じゃない時のドナとハーヴィーのじゃれあいの桐さんがね、すごくカワイイの(笑)。「ズルい!」というような、セクシーなんだけどチャーミングなこととかを返してくれて、それに自分も乗っかれるから、自分ももっとドナになれるし、掛け合いを2人でやれるのがもうめちゃくちゃうれしくて。普通にマイク前でキュンキュンしています(笑)
西:なんか分かる。桐本さんからハーヴィーの声で「ドナ~」と言われるとね。
行成:そう。「ドナ~」って言われるのがもうたまらない(笑)
西:あれはすごく母性をくすぐりますよね。ジェシカにもそうなんですよね。ハーヴィーから「ジェシカ」と呼ばれることによってジェシカの母性がすごく出ている気がするんですよ。
行成:いいよね。
西:あのやり取りは吹替版ならではのものかなと思っていました。
行成:それと桐さんご自身はすごく気さくな方ですね。メインをやっていらっしゃって、セリフ量も多いのに、収録でサラッと面白いことを言ってくれたり、やってくれたりとかするので、それで現場の空気がニコニコになるんですよ。ピリピリした感じにはなってなかったですよね。
西:全然、そんな感じではなかったですね。
桐本:制作・キャストのみんながすごくいい人だったからね。
西:桐本さんとは、僕が吹き替えのお仕事を始めて間もない頃にお会いしたんですけど、すごい先輩と同じ土俵でバディとして仕事しなければいけないという状況で。どうやったらあんな風にできるんだろうという気持ちを常に抱いていました。そういう意味で、マイクとシンクロしていたところはあるかもしれません。「ハーヴィーのようにいつかはなりたい」という気持ちを持った新人弁護士という部分は、すごく心情的には理解できると思いながら、ずっと背中を追いつつ、でも僕も張り合わなければと。毎回いい意味で緊張していました。今日、久しぶりに収録で桐本さんの隣に立ってセリフを交わした時に、「いや~、やっぱり楽しいな。会話の楽しさってこういうことだよな」と改めて思いました。
行成:だよね。
西:吹き替えの収録では複数のキャラクターのセリフが被る時は、全員で一緒に収録せずに、一人ずつ別録りする現場も多いんですが、『SUITS』は極端に別録りが少ないんです。オリジナルと同じように、お互いのセリフに最大限の反応を返すことを、ディレクターさんが意識してやってくださっています。僕らもそれに乗っかって「会話をきちんと届けよう」と。すごく難しい試みをやっているんだなと改めて今日思いましたね。
横島:僕も二枚目キャラはやらなくはないんだけど、桐ちゃんはこれだけの分量のセリフをこれだけの速さでかっこよさを保ちながらも茶目っ気や軽さを出していて、それがうらやましくて。時々、桐ちゃんをまねてみたりするんですよ(笑)
全員:(笑)
横島:でも、うまくいかないのよ(笑)
西:分かります(笑)
横島:どうやったらそういう風にしゃべれるのかなみたいな感じで、収録の時に桐ちゃんを見ているんだけどね。それで、シーズン9のあるエピソードでルイスがハーヴィーになるというシーンがあるんだけど、まだハーヴィーを習得していないのにそれを俺がやらなきゃいけない(笑)
桐本:(笑)
横島:今日も、その時にはハーヴィーっぽくしゃべってくださいとディレクターさんから言われたので、「えー!?俺がハーヴィーをやるの?」みたいになってた。制作担当の方からも「頑張ってくださいね」と言われて、「そんなに大変なの?」と思っています(笑)
行成:横島さんがハーヴィーっぽく演じるのを早く聞きたいです。
西:それ聞きたい! すごい楽しみです。
――次は西さんに対して、吹き替えをされてきた姿の印象や、収録現場での様子はどんな感じでしたか?
桐本:彼がまだ新人で、吹き替えを始めたばかりの頃にこの番組が始まって、本当に最初は大変だったよね。ハーヴィーとマイクの原音の声が似ていて、最初の収録の時に聞き分けられなくて、どっちの声なのかとゴチャゴチャになったことがあって。
西:ありましたね。今はお互いの役の声がちゃんと分かっている状態なので、悩むことはなくなりましたけど。
桐本:それと、あっぷあっぷするようなテンポとセリフ量があって、僕自身も必死でしたけど、回を重ねるごとに西くんにものすごく力が付いてきているのを感じていました。
西:いやいや。
桐本:本当だよ、絡んでいて分かる。シーズン4ぐらいから、圧をかけることができるような芝居で途中からグッと押されるような、「ヤバいよ、俺」と思うことが本当にあったんですよ。伸びる人って、伸びる時にギューンと来るんだなというのを実感させてもらえた相手でした。それで、今や成り上がっちゃってね(笑)
全員:(笑)
西:いや本当に成り上がってないですから(笑)
桐本:今は余裕でマイクを演じていますから。
行成:今日は余裕だった。
西:今日の朝一に、LINEで「今日、めちゃ緊張してます」って連絡したじゃないですか(笑)
桐本:それはわざと言っているのかと思ってた(笑)でも本当に人ってこうやって一つ山を越えていくんだなとすごく感じさせてもらいました。これから彼みたいな世代の人たちが第一線でやっていくと思うと、僕らはますますついていくだけになっていきますね(笑)
――西さんのその姿は劇中のマイクとシンクロしていますね。
桐本:本当にそれは感じます。
行成:マイクとレイチェルにも言えることなんですけど、もし他の人が吹き替えていたら、マイクとレイチェルってめちゃくちゃムカつくキャラクターになっていたと思うんです(笑)マイクは言っていることも偉そうで、生意気だったりするところがあって、ハーヴィーにもそういうことを言ったりするじゃないですか。ともすれば違う人が吹き替えたらムカつくかもしれないところを、西くんと世戸ちゃんの持つ人としての温かさや心根の真っ直ぐな部分によって決して嫌みになってなくて、かわいいなと思えるんですよ。マイクがそうなっているのは、西くんのそういう人となりがあるからこそだと思うんですよね。
西:そうですか?
行成:自分では分からないのかも。だから、西くんがマイクを吹き替えている意味はすごくあるなと。だからこそ、この吹替版のマイクはあのマイクになっていて、みんなに愛されているんだなと思います。
西:いや、それはもう全員そうだと思いますよ。
横島:マイク役はオーディションだったの?
西:いえ、違います。
横島:じゃあ、ディレクターさんがそれを見抜いていたんだろうね。西くんで印象に残っているのは、長いセリフがあともうちょっとで終わるという時に間違えると、マイクの前で「あー、もう!」とか悔しがっていた姿だね(笑)
全員:(笑)
西:今日も1回だけ、桐本さんのセリフに食い込んでしまって、「あぁ......」と膝から崩れ落ちました(笑)
横島:あれを見てすごくほっとしたよ(笑)
行成:逆にあれが懐かしかった。
横島:そうだよね。なんか、昔のマイクだって思えた。
『SUITS/スーツ7』
――行成さんに対して、吹き替えをされてきた姿の印象や、収録現場での様子はどんな感じでしたか?
行成:聞くのが怖いです(笑)
桐本:ドナはとあで本当に良かったと、このひと言に尽きると思います。
行成:ありがとうございます。
桐本:最初はここまで大きな役じゃなかったですよね、ドナって。
行成:そうです。シーズン1なんて、私は兼ね役で出ていたことのほうが多かったです。ドナはハーヴィーのただの秘書みたいな感じで、本当に出番がなかった。
桐本:ちょこんといて、ハーヴィーとの掛け合いでちょっとウィットなことを言う感じだったよね。でもオリジナルの役者に実力もあって、役としても気に入られたんだろうね。どんどん存在感が大きくなって、とあにもセリフが多くなった。ハーヴィーとして掛け合いしていると、こう投げたらこう返してくれると収録のリハーサルをしていても分かるし、とあのセンスと絡むことができて、とても心地良かったですね。
横島:シーズン1の頃は、とあちゃんも新人だったもんね。ドナ自身もあんまり登場しないから最初は役作りも探り探りだったけど、だんだん向こうの役者も魅力的になってきて、それとともにとあちゃんもそうなってきて、色っぽくて大好きだった(笑)。だから、ルイスとくっつかないかなとずっと思ってた(笑)
桐本:シーラがいるじゃん(笑)
横島:シーラがまだ出てこなかった時の話ね(笑)
――横島さんに対して、吹き替えをされてきた姿の印象や、収録現場での様子はどんな感じでしたか?
桐本:ルイスは横島さんでドンピシャですね。
行成:もう横島さん以外は考えられない。
桐本:最初にルイスを吹き替えた声を聞いた時から、キャラクターに合っているなと思っていました。
横島:最初はもっとワルっぽかったよね。
行成:意地悪だった。
西:シーズン1はめちゃめちゃシュッとしていますからね。
横島:すげー嫌な感じだったから、悪党っぽい感じのセリフが多かったんだけど、それがだんだん茶目っ気が出てきちゃった。
桐本:横島さんの芝居や声の感じも真っ先にこの人は正解にたどり着けているなと。俺たちはまだ探りながらやっていたところがあったので、ルイスのインパクトはすごくありましたね。ルイスはセリフもわちゃわちゃ言っていて大変でしたよね。
横島:あっぷあっぷだったね。
桐本:ルイスはいろんな変化球を投げないといけないから、一番大変だったんじゃないの?
西:エピソードごとに変化球でしたものね。
横島:変なことばかりやっていた(笑)
行成:妄想もいっぱいあるし。
横島:「コメディが苦手なのに、どうすんだよ!」と思ってた(笑)。だから、この番組ですごく成長したかもしれない。
桐本:いや、横島さんは見事でしたよ。すごかったです。
行成:マイクの前でセリフを噛んでも、どこから噛んだか分からないぐらいずっとルイスでしたよね。
西:横島さんのブレなさは失敗した時に現れるなと思っていました。セリフを噛んだら普通は素に戻ってしまったりするんですけど、横島さんはルイスのままでとちるんですよ(笑)。失敗をしているとご本人は言うんですけど、口パクは合っているんですよね。
桐本:尺と口パクが合っているのにね。
西:これはすごいものを見せていただいているなという感覚でずっといまして、それでドナにしてもルイスにしても、どんどん回を重ねるごとに役割が大きくなっていって、特にルイスは嫌な人からムードメーカーへと大きく変わっていったじゃないですか。ジェシカが主役のスピンオフドラマ『SUITS:ジェシカ・ピアソン』が正式に決まるまでは、シーズン4ぐらいの頃から、もしスピンオフがあるんだったらきっとルイスが主人公だろうなとみんなで話していたんですよね。
行成:『SUITS:ルイス・リット』だろうなと思っていたんだよね。
西:そう。ルイスがそういうキャラクターになっていく過程で見せる横島さんの変化球の投げっぷりはもう見事で素敵でした。
行成:長く演じてきたというのもあるんですけど、ルイスも、ハーヴィーも、マイクも他の人が吹き替えるのは考えられないかな。ルイスは事務所のマスコットキャラみたいな感じだし。「今日のこのエピソードで真面目なことしか言っていない。なんか面白いこと言って!」と期待もあるみたいな(笑)横島さんのズルいところは爆発させる時と真面目な時の温度差がすごくて、その真面目な時はすごくかっこいいんですよね。本当にルイスだなと思って見ちゃうんですよ。
横島:みんなも本当にそうしか見えないよね。
西:そうですね。メインキャストはもちろんですけど、シーズンごとに登場するゲストのキャスティングもその人しか考えられないなというものばかりでした。例えば、キャメロン地方検事を吹き替えていた内田直哉さんとか。
行成:私たちの中では"奇遇おじさん"と呼ばれていたよね(笑)
西:必ず登場する時に「奇遇だな」って言うんですよね(笑)
横島:名ゼリフだった(笑)
行成:全然奇遇じゃなくて、絶対に待っているのにね(笑)
西:それに事務所の元代表のハードマンの巻島康一さんもすごかったですよね。
横島:嫌なヤツとか、怖い人とかがいっぱい出てくる。
西:それと、佐藤しのぶさんが演じていたギブス検事補ですね。
横島:怖かったね。
行成:一番怖かったです。
西:ギブスが本当にえぐくマイクを追いつめてくるんですよ。
行成:しのぶさんが最高だった。
西:本当にジワジワと追いつめてくるお芝居をされていて、真綿で首を絞められるみたいな感じですごかったです。本当にどのシーズンもいいキャスティングでしたね。
連載最終回となる次回は、9シーズンものヒット作の声優を務めてきた思いと、このファイナル・シーズンの見どころをたっぷりと語っていただきます。お楽しみに!
(取材・文/豹坂@櫻井宏充)
◆『SUITS/スーツ』声優インタビュー①はこちら「マイクおかえり!」
◆『SUITS/スーツ』声優インタビュー②はこちら「日本版とオリジナル版の違いも楽しんで」
◆『SUITS/スーツ』声優インタビュー④はこちら こんな『SUITS/スーツ』今までなかった!
『SUITS/スーツ ファイナル・シーズン』はWOWOWプライムにて4月28日(火)スタート(全10話)【第1話無料放送】。
毎週火曜 23:00 【二】【字】
毎週水曜 22:00 【字】
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