【無料で視聴できる】1話完結だから途中からでもまだ間に合う 名作2大ミステリーまとめ

ミステリーファンなら知らない人はいないであろう二人の推理の名手、刑事コロンボと名探偵ポワロ。前者はアメリカのテレビ番組から生まれ、後者は英推理作家のアガサ・クリスティによって生命を吹き込まれた。アメリカとイギリスが誇る推理界の二大作品がいま、ともにNHK BSプレミアムで放送されている。両作とも基本的に一話完結だが、これまでの人間模様をおさらいしておけば作品の世界をよりじっくりと味わうことができるはずだ。

♦︎アメリカ vs イギリス 欧米推理対決

アメリカが誇る刑事コロンボといえば、帰りそうで帰らない粘着質な聞き込みが持ち味。行動の矛盾を突いて犯人をじわじわと精神的に追い詰めるユニークな捜査術は、観れば観るほどクセになってしまう。作品は毎話の冒頭で犯人の行動を視聴者に明かす、いわゆる倒叙型と呼ばれるスタイル。視聴者は誰が真犯人なのかを知ったうえで、コロンボとのスリリングな駆け引きを楽しむことができる。日本では映画監督の三谷幸喜氏もコロンボファンを自認しており、1999年ごろから一世を風靡したフジ系列『古畑任三郎』の制作では大いに参考にしたと言われている。『刑事コロンボ』には新旧のシリーズがあるが、現在NHKで放送されているのは歴史ある旧作の方。米NBCにおいて、1968年から1978年までに全45話が放送された。

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対してイギリスを代表するのは、卓越した思考力を備え、「灰色の脳細胞」をもって次々に事件を解決する名探偵、エルキュール・ポワロ。だらしなく羽織ったコートがいい味を出しているコロンボに対し、ポワロのトレードマークはパリッとしたスーツに山高帽。英国紳士の気品を感じさせる。クリスティ原作のシリーズだが、ドラマ版も原典にきわめて忠実なつくりがミステリーファンに好評で、13シーズンが製作される長寿番組に。初回から足掛け24年目となる2013年をもって、原作のほぼすべての短長編のドラマ化を果たした。推理好きなら観て損はない安定のシリーズだ。

♦︎じわり犯人追い詰める、孤独な刑事コロンボ

今後放送予定のエピソードから、シーズン1第6話『二枚のドガの絵』を振り返ってみよう。NHKが実施したファンアンケートにおいて、膨大なエピソードのなかから第2位に選出された注目の放送回だ。犯人となるのは、美術評論家のデイル(ロス・マーティン)。絵画を愛する叔父を殺害し、彼が擁していたコレクションのなかからドガによる2枚の絵を盗み出す。絵はデイルの愛人であり犯行を手助けした美術学生の手に。その後パーティーに出席して完璧なアリバイを確保したデイルだったが、捜査にコロンボ(ピーター・フォーク)が登場。絵がヒントとなり、とある不自然なことがらに気づいたコロンボは、持ち前のしぶとさでデイルを追い詰める。ひねりの効いたストーリーに虚をつかれる、ミステリーファン必見のエピソードだ。当該回は5月6日(水)午後9時から、NHK BSプレミアムおよびNHK BS4Kで放送予定。

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ちなみに、ごくまれに殺人課の刑事とペアで行動することもあるコロンボだが、それ以外でこれといった主要キャラクターは愛犬のみ。いい加減なコロンボを象徴するように愛犬には名前を付けておらず「DOG」と呼ぶしまつ、しかし、いい加減ながらもなんだかんだ面倒を見ているコロンボの優しい一面を垣間見ることができる。主要キャラクターといえるほど登場回数は多くないが、通な見方としては注目してみてはいかがだろうか。また、捜査の随所で「かみさんが...」を言い訳に犯人の居所にしぶとく舞い戻るが、肝心の「かみさん」自身はこれまで一切登場せず。終盤までにその姿を見ることはできるのか、まだ見たことのない方は今後の放送に注目してみよう。

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♦︎チームワークで勝利へつなぐ、私立探偵ポワロ

『名探偵ポワロ』シリーズは現在、NHKでシーズン6までを一挙放送中(全45回)。そのなかから、かの有名な『ABC殺人事件』をご紹介したい。テーマとなるのはイギリスでの連続殺人事件。奇妙なことに犯人は、アルファベットへの異様な執着を見せる。最初の事件ではAが頭文字のアンドーヴァーの町で起こり、イニシャルAAのアリス・アッシャーという女性が犠牲に。以降、B、C...と同じパターンで犯行が続き、その度に犠牲者のそばにABC鉄道案内の本が残されている。警察は愉快犯と見るものの、ポワロ(デヴィッド・スーシェ)の脳裏には別のシナリオが。やがて自首してきた男が警察に逮捕されるが、名探偵は一見ランダムな事件の背後に周到に隠された真相を暴き出す。

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こちらは国内のミステリー専門チャンネル、AXNミステリーが実施したファンアンケートにおいて第2位を獲得した人気のエピソードだ。シーズン4の第1話として製作された。NHKでの放送日は現時点では案内されていないが、今後の登場を待ちたい。『名探偵ポワロ』シリーズもコロンボと同じく、BSプレミアムおよびBS4Kで放送中。孤独に推理を重ねる姿が魅力のコロンボに対し、ポワロでは信頼のおける盟友たちとの掛け合いも必見だ。助手であるヘイスティングズ大尉(ヒュー・フレイザー)は、シャーロック・ホームズで言うところのワトスン役。ポワロに最も近い相棒であり、彼が解決に導いた難事件の数々を克明に記録する。このほか秘書のミス・レモン(ポーリン・モラン)やジャップ警部(フィリップ・ジャクソン)など、レギュラー陣との絶妙なやり取りがユーモラスだ。

両作とも放送はまだまだ続くので、いまからでも名作の世界をぜひ堪能しよう。(海外ドラマNAVI)

Photo:『刑事コロンボ』 © 1971 Universal City Studios LLLP. All Rights Reserved. © 1988 Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved. /『名探偵ポワロ』 © ITV PLC