リモートワークが増えている昨今、自由になった時間を海外ドラマにたっぷり費やしているという人も多いのではないのだろうか。今回はNetflixで観られる人気作品の中から、とりわけ若者におすすめの5作品をお伝えしたい。人気の新作から何度もシーズン更新を重ねている間違いのないシリーズまで幅広くご紹介しよう。
5位:『YOU ー君がすべてー』
まず紹介したいのは話題のサイコスリラー『YOU ー君がすべてー』。ロマンティックな甘い出会いがひょう変し、身も凍るストーカーの物語へと誘われる。
恐怖の世界に陥れられるのは、ニューヨークに住む作家志望の若き女性・ベック。何気なく訪れた書店で、店を取り仕切る美青年のジョーと互いに好感を抱き、運命の人だと強く確信する。ところがこのジョーが曲者で、愛情を抱いた人をとことん追跡するストーカー気質の持ち主。ネット上での情報収集はまだ可愛いもので、次第にベックの日常生活を監視することに喜びを見出し、挙げ句の果てに殺人にまで手を染めてゆく。
スリラーではあるものの、適度にユーモラスなシーンが挿入されているため、あまり怖い作品は苦手という方も一見の価値アリ。ロムコムらしさあふれるポップな会話劇と恐怖感の絶妙なバランスを楽しみたい。現在シーズン2までが配信中で、今年1月に製作決定が報じられたシーズン3にも大いに期待できそうだ。
4位:『アンブレラ・アカデミー』
アメコミを原作とし、登場人物の人間関係に焦点をあてた、異彩を放つヒーロードラマが『アンブレラ・アカデミー』だ。育ての親の死をきっかけに、久しぶりに集まった特殊能力を持つ7人の養子たちが、特殊能力を駆使して地球滅亡から世界を救おうと立ち上がるのだが...。
億万長者ハーグリーブズ卿に引き取られ、番号で呼ばれ、厳しい訓練を受けて育てられた7人の異能力者たち。世界を救うスーパーヒーローとして様々な事件を解決してきたが、成長とともに、ひとり、またひとりと屋敷を去り、残ったのは「ナンバー1」だけ。ハーグリーブズ卿が亡くなった今、30代に成長したかつてのヒーローたちはそれぞれに悩みや孤独を抱えており、せっかく授かった能力を上手く使えない不甲斐なさを感じている。子ども時代の栄光や亡き養父との過去、かつて家族として暮らしていた7人の間に残るわだかまりなど、様々な問題を抱えたまま大人になった現実に悩みながら、彼らは世界の破滅を阻止することができるのか。そして待ち受ける衝撃の事実とは――。
世界を破滅から救うという目的があるものの、それぞれに抱える悩みや過去が交差しながら話が進むところは、人間ドラマの要素が強い。そして本作はマイ・ケミカル・ロマンスのボーカルを務めていたジェラルド・ウェイが原作を手掛けているということもあり、細部にまでこだわったビジュアルとドラマを盛り上げる音楽の相乗効果が素晴らしい。シーズン2は7月31日(金)に配信予定だ。
3位:『ノット・オーケー』
3位の『ノット・オーケー』は、2月26日(水)から配信が始まったばかりの新作。グラフィックノベルを原作とし、『このサイテーな世界の終わり』の監督ジョナサン・エントウィッスルと『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のショーン・レヴィら製作陣が贈る、"ブッ飛びまくり"の青春エンターテイメントだ。
17才の女子高生シドニーは、父親の死によって変わってしまった家族関係、居心地の悪い高校生活、親友への報われない思い、恋愛や性への目覚めなど...青春時代に誰しもが経験するような問題に悩みながら、退屈でモヤモヤする毎日を送っている。そんなある日、目立つのが苦手なシドニーにスーパーパワーが突然覚醒する。想像を超えたありえない状況に戸惑う彼女に、友人、クラスメイトたちを巻き込みながら、事態は思いもよらない方向へ展開していく――。
本作のメインとなる登場人物は、主人公シドニーの家族、友人、学校の先生。複雑過ぎない人間関係と1話20分前後で全7話構成というところが気軽に見られるので、イッキ見にもおススメだ。シドニーの思春期特有のちょっと反抗的で不安定な内面に、扱いきれないスーパーパワーが出現し、「何かが起こりそう」な危うげな様子についつい見進めてしまう。シーズン1のエンディングはかなり度肝を抜かれるだろう。何かが始まりそうなシーズン2への更新を期待して待ちたい。
2位:『ペーパー・ハウス』
『ペーパー・ハウス』では、強盗・立てこもり犯と警察との息詰まる攻防を描く。スペイン製作のドラマで、犯行グループのときに緻密、ときに大胆な行動が見ものだ。
世紀の大犯罪をリードするのは、「教授」を名乗る髭面の男。若き女泥棒をはじめ、裏社会で名の知れた各分野の精通者たち8人を集め、スペイン王立造幣局に狙いを定める。チームの心を掴み完璧な強盗計画を引っ提げて現場に臨む教授だったが、いざ計画を実践に移すと、やはり各所で想定外のほころびが。クセのあるメンバーを統率しつつ、イレギュラーな事態を収集する教授の機転が唸ることだろう。メンバー間の人間模様に加え、警察とのスリルある騙し合いをスタイリッシュに描くシリーズだ。
現在、シーズン4にあたるパート4までが公開されている。また、製作・出演陣へのインタビュー映像で成功の軌跡を振り返る、『ペーパー・ハウス:人気の秘密に迫る』も配信中。本編と併せて楽しみたい。
1位:『13の理由』
1位は衝撃的な内容で賛否両論を巻き起こした『13の理由』。自殺したある高校生少女の心情を振り返りながら、学校生活の何気ない行き違いがいかにして女子生徒を死へと追いやったのかを解明する。
主人公となるのは女子生徒のハンナだが、作品冒頭ですでにこの世を去っている。ハンナはクラスメイトたちの心ない所業によって精神をボロボロにされており、13人の生徒たちから受けた仕打ちを告発するテープを遺していた。一連のテープは告発を受けた生徒の間で順に回されたうえで、ハンナの生前にバイト先で親しかった男子生徒・クレイの元へと届く。クレイは13話分のテープを聴きながら彼女との思い出の場所を自転車で巡り、自分を含む生徒たちの行動がいかに彼女を苦しめていたかを知ることになる。一見さわやかな青春ライフに潜む残酷な人間模様を、ストレートに描く話題作だ。
ファイナルシーズンが6月公開予定の本作。公開中のシーズン3には完成度に賛否があるようで、未見の方にはやはりシーズン1からの視聴をおすすめしたい。作品の意図をより深く理解したい人は、キャストと製作陣が精神医療のスペシャリストを交えて語り合う全3話の補遺編『13の理由: 現代が抱える社会の闇を考える』もお見逃しなく。
今回は人気作品ばかりをご紹介したが、意外と観ていなかった作品もあるのでは。この機会にぜひお試しを!(海外ドラマNAVI)
Photo:『YOU ー君がすべてー』(C)Netflix/『アンブレラ・アカデミー』©Netflix/『ノット・オーケー』©Netflix/『ペーパー・ハウス』©Roberto Garver/『13の理由』©Beth Dubber/Netflix