「液体らしく」の意味とは―『S.W.A.T.』起業家の顔を持つ俳優サニー齋藤に直撃!

『クリミナル・マインド』のシェマー・ムーアが主演するアクションドラマ『S.W.A.T.』のシーズン3がついに放送開始となり、東京が舞台の注目エピソード第13話「液体らしく」が6月21日(日)に先行放送される。ロサンゼルス市警察所属の特殊武装戦術部隊S.W.A.T.が日本・東京へ。なぜ、彼らは管轄外でも凶悪事件の収拾に果敢に挑んでいくのか―。そんな話題十分のエピソードで、事件解決に向けS.W.A.T.チームと捜査する警視庁警部ヨシダ役を『NCIS: LA 極秘潜入捜査班』や『HAWAII FIVE-0』『ウエストワールド』など大ヒットシリーズに出演するサニー齋藤が演じる。起業家という顔を持ちながら、俳優として活躍する彼の素顔に迫るべくリモートインタビューを実施した。

――演じる役どころを教えてください。

ホンドー率いるS.W.A.T.がロサンゼルスでヤクザのキムラを確保し、警視庁へ引き渡すために来日するが、移送中に犯人は逃亡してしまう。僕が演じる警視庁警部ヨシダは犯人確保のために日本での捜査をまとめる役柄ですね。日本人の役として、S.W.A.T.チームと同等の立場で協力し合うというヨシダは魅力的な役だったと思います。

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――日本でS.W.A.T.がアクションを繰り広げるというのは異色ですが、その撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

初めて今回、番組レギュラーの(ホンドー役の)シェマー・ムーアや(ディーコン役の)ジェイ・ハリントン、(タン役の)デヴィッド・リム、そして(ヒックス役の)パトリック・セント・エスプリトにお会いしたんですけど、ほんとにみなさん日本の魅力に対してすごく興味を持ってました。

僕はハワイで違う番組を撮影したあと、他の仕事で日本に帰国したのですが、帰国後すぐにこの役が決まったんです。そして、またすぐにロサンゼルスに帰った2−3日後、撮影が始まりました。

脚本はやはり全部英語で、時間がなかったのですぐに翻訳をしました。そして、第13話の脚本家であるクレイグ・ゴアは毎回現場に来ていたのでエピソードについてたくさん話をしましたね。クレイグもエピソード監督のビリー・ギアハートも本作の製作総指揮の権利を持っている方々なので、その場で判断が下り、撮影は順調に進みました。ほんとに力を入れて、みんな頑張っていました。

アクションドラマというのはバジェット(予算)が必要なんですよね。これまでのネットワークのドラマと比べてもすごくバジェットが大きい企画だったと思います。その中でも日本での撮影ということで、普通以上の予算で行ったので、みなさんほんとにエキサイティングしていました。

――都庁の上からヘリコプターでアップしていくシーンは凄かったです。

ロサンゼルスで4日間ぐらい撮影をしたあと、その夜にみんなで日本にきたんです。羽田に朝5時半着で、その日はリラックスしていたんですけど、次の日からアクションシーンのリハーサルがありました。

日本での一番初めの撮影はその都庁でした。日曜日に朝一番で行くと、都庁が全部閉まっていて、都庁広場のど真ん中にパトカーが4、5台並べてあったんです。そして、テイク1が我々ヨシダを含む警視庁の人間とS.W.A.T.チームが対面するシーンでした。上からヘリコプターがきて、ヘリコプター撮影がクレーンに変わって、クレーンからステディカムで撮影して、みんなで警視庁に入っていくというシーン。ですが、そのシーンでカメラのタイミングと当初のセリフが短すぎてうまく合わなかったんです。急遽監督のビリーから「10秒くれ」と言われて、僕とヒックス役のパトリックが話し合ってアドリブでやろうとなったんです。でも、脚本家のクレイグが来て、「アドリブじゃダメだ。何を言うんだ」と。セリフを即効で決めて演技を行ったのはテレビドラマではなかなか経験したことがない撮影でしたね。

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――日本人だからこそ製作チームからアドバイスが欲しいなど言われたことはありますか?

日本のアドバイザーは日系人の方なんですが、面白いことに彼の名前がヨシダなんです。

――役名のヨシダはそこからきたんですね?

そうなんです。彼が何をやっているのかというと、警察側の目線でのアドバイスが主でした。ロサンゼルスのシェリフ(ロサンゼルス郡保安局)でDEA(麻薬取締局)をやっていた人なんですが、メジャーリーグのオールスターチームの試合の時に、セキュリティとして何度か日本に来たことがあるので日本を知っているし、また警察がどういう動きをするのかも知っている。S.W.A.T.チームっていうのは軍隊ではなくて警察の一部なので、そういう意味で彼がアドバイザーで入ったんですね。スゴく素敵な方で、今でも連絡を取り合ったりしています。

なので、僕は脚本を日本語に直したときこれはこういう言い方の方がいいよとかって言いました。

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とにかく今回は時間が凄く短かったので、キャスティングが決まってから撮影まで4日ぐらいしかなかったのかな。13から15シーンあったので、全部飛行機の中で読み直して、「ヒックスとヨシダっていうのは、過去に関係があって、そこから、友情があって...」とまず彼の役どころから整理しました。

また文化の違いもあるんですね。例えば初日の第一撮影は脚本上最後のシーンでした。デヴィッドが演じるタンに僕が名刺を渡して彼が受け取るシーンなんですけど。彼の受け取り方が人差し指と中指でチョキの形でポーンととってOKのような感じだったんです。僕的には、やっと仲直りしたところなのに「ちょっと待てよ!」ですよね。それを監督ビリーに言ったら、「そうなんだ」ということで取り直しをしてくれて。ちゃんと両手で受け取って、お辞儀したんですね。そういう細かいところなど撮影していて面白かったです。

――今回のエピソードで気になったのは撮影場所です。「良い時ラブクライド」と書かれたホテルの一室でも撮影されていました。

あとは田中の串カツですね。居酒屋の前で撮影して、アメリカでは人気なのかなと思いました。

面白いのはやはり都庁などで撮影しても、中はロサンゼルスですよね。例えば(情報提供者サトウ役の)小澤さんが登場する居酒屋は日本で撮影しました。ですが、ヤクザの家のシーンとかはロサンゼルスですね。視聴者の方がどこで撮影しているのかと推理するところもみどころだと思います(笑)

――起業家という顔を持ちながら、『NCIS: LA 極秘潜入捜査班』や『HAWAII FIVE-0』『ウエストワールド』などの人気シリーズにも出演されています。その経験が俳優業に活かされているエピソードなどありますでしょうか。

それは両方ありますね。俳優としてビジネスに生かされていることもありますし、ビジネス業が俳優業に生かされていることもあります。

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俳優の勉強をしていると、役作りとか色んなアクティングスタイルがあると思うんですが、やはり自分の過去の経歴とか経験を使って引き出しが多ければ多いほど自分の役作りに生かしたり、新スタイルに使ったり、アクションに使ったり、色んなメソッドに役立ちます。

『HAWAII FIVE-0』の撮影の時に、電話でビジネス交渉をしているときに秘書が入ってきて、自分の娘を誘拐されたっていうニュースを聞くシーンがありました。「じゃあ、その電話は誰とどういう交渉をしているのかな」と、自分のための引き出しですが設定を考えるんです。その時は3,4日前に本当に交渉していた人をイメージしました。誰と何を話すかによって、リアクションが変わってくるんですね。そういうときに、色々生かされています。

それから、ビジネスの交渉しているときに相手側から「『ウエストワールド』に出ているでしょ? サインしてくれ」など何度か言われたりして、結果的に商談が成立することもありました(笑) まあ、そのためにやっているわけじゃないですけどね(笑)

――アメリカ作品に出演する上で大切にしていることはなんですか?

これは日本もアメリカも同じですけど、やはりプロフェッショナルとして、自分の役の準備と自分の立ち位置を大切にしています。監督が誰で脚本家が誰でこれまでどういう撮影して、どういう演技が好きなのか。みんな監督、番組によって違うので、そういうのを勉強します。

今回の『S.W.A.T.』の場合は、ホンドーがメインキャラクターで、彼をサポートするための役。自分の立ち位置としてはどういう演技、またどういうストーリーラインで、どういう役目を果たさないといけないのか、っていうのを把握しました。

ただ、日本とアメリカで違うのは、日本人の警部を演じるのではなくて、警部がたまたま日本人だという感覚です。日本では当たり前のことのように思える「警部がこういう行動して話し方をする」という考えは全然違うんです。アメリカの場合、ニューヨークの警察といえばニューヨークの警察なんですよね。黒人の警察でもなしに、アジア人の警察でもなく、ニューヨークの警察ですから。たまたま日本人で日本の警察の人間なんです。

――同エピソードには、小澤征悦さんや福島リラさん世界で活躍する日本人キャストも出演されています。ご一緒されてお話したことなどあれば教えてください。

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現場で初めてお会いして、ご一緒したのは1日だけだったんです。短い時間の中でご挨拶させていただきました。日本では彼らの方が先輩なので、今後また色々と教えていただきたいですね。小澤さんとは連絡先も交換したりしましたので、プライベートでも今後どこかでお会いできればと思います。また他にも僕と同じアメリカで頑張っている日本人の役者が所々で出ています。ほんと彼らも頑張っているので、みなさん応援していただきたいなと思います。

――本作をはじめ、『フラーハウス』などでは日本での撮影はありましたが、アメリカドラマが来日して撮影するということは数少ないです。サニー斎藤さんが思うアメリカ作品がセットではなく来日して撮る理由はなんだと思いますか?

今回コロナでこういう状況になってしまいましたが、オリンピックがくるということでまた日本が注目されているところが一つにあると思います。その中で視聴者の方々が日本に対して興味を持っているということから、色んなプロダクションが日本で撮影したい、日本のストーリーラインを使っていくことに興味があったんだと思いますね。

またそれをどうして日本にわざわざ来てやるのかっていうのは、やっぱりセットではなくて、その現場でやることによって真実を伝えること。これまでのハリウッド作品では見たことがないカタカナの看板とか、漢字が下と上が反対になっているとかあるじゃないですか(笑) 今はどんどんよくなってきていますけど、"本当の日本"で撮影をしてそれがハリウッドのレンズで写されて、それをアメリカだけでなくて、全世界に発信することによって、番組にも興味をもってもらう。

そしてまた、役者としてもやはり日本の現場で撮影するのと、セットで撮影するのとでは全然モチベーションも違いますし、匂いも違うし、演技も変わってくるんですよね。ですからそういう意味で本当にオーセンティックな演技と撮影ができるんだと思います。

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――同エピソードの邦題となる「液体らしく」はエピソードのキーワードとなりますが、原題は「Ekirtai Rashku」でローマ字だと「i」が足らないと思うのですが、その理由をご存知であれば教えてください。

ただ単に、アメリカ人がしゃべりやすいようにしたんだと思います。「エキタイ ラシュク」。「i」がないんですよね。なので、柔軟に対応しているということですね(笑)

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サニー齋藤が演じるヨシダがどのようにS.W.A.T.チームと連携して、事件解決へと導くのか―。注目の日本エピソード、『S.W.A.T. シーズン3』第13話「液体らしく」は6月21日(日)21:00よりスーパー!ドラマTVにて先行プレミア放送。そして、シーズン3レギュラー放送は6月26日(金)22:00より独占日本初放送スタートとなる。

そして、最後に動画でメッセージをいただきました。

(海外ドラマNAVI)

Photo:

サニー齋藤
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