『アメリカン・ホラー・ストーリー』サラ・ポールソンが最恐看護師役であの"名作"の前日譚に挑む!

不朽の名作『カッコーの巣の上で』(1975)に登場する精神科病院の冷徹な看護師長ミルドレッド・ラチェッドの心の闇に迫るNetflixオリジナルシリーズ『ラチェッド』がついに配信スタート! 彼女はなぜ、周囲を震え上がらせるマッドナースへと変貌していったのか? 『アメリカン・ホラー・ストーリー』などに出演する実力派女優サラ・ポールソンが鬼気迫る演技でその過程をひも解いていく。【ドラマ・レビュー】

患者の人間性までも統制しようとする病院のやり方にたてつく主人公マクマーフィー(ジャック・ニコルソン)に対して、規律を乱され怒りを露わにする最恐看護師長ラチェッド(ルイーズ・フレッチャー)。映画『カッコーの巣の上で』での二人の攻防は、死者を出す騒ぎにまで発展するが、最終的に神経回路を遮断する"ロボトミー手術"を強制的に施されたマクマーフィーは廃人になってしまう。非人道的な病院、そして恐るべきラチェッド!

ドラマシリーズは、そのラチェッドの心の闇にスポットを当てたサスペンススリラー。1947年、看護師の仕事を得るために、彼女は田舎町ルシアにある精神科病院にやって来る。だがここは、ロボトミー手術を実験的に行い、殺人鬼を患者として積極的に受け入れるなど、危険臭が漂う先駆的な病院だった...。

血の雨、断崖絶壁、寂れたモーテル、そして極彩色豊な院内に颯爽と現れる貴婦人風の看護師ラチェッド。スリラーの王道を行く冒頭の演出にいきなり心はロックオンされ、病院になんとか採用されたラチェッドが、緻密な策略で自分の立場をどんどん強めていく姿に早くも戦慄を覚える。患者の心を自在にコントロールし、薬の知識を生かして院長や看護師長を煙に巻く。誰もが直視できないグロテスクなロボトミーの実習も、目を輝かせながらカブリつくこの異常性、初回からいやはやエンジン全開だ!

そして、回を重ねることに心の闇が徐々に暴かれていくラチェッド。複雑な家庭で育った心の歪み、恨み、復讐心、さらには裏で密かに進行する大掛かりな計画性が見え隠れする中、果たして彼女はどこへ向かおうとしているのか? 毎話ごとにラチェッドの奇行に翻弄されながら、『カッコーの巣の上で』に繋がる変貌を目に焼き付けてほしい。

ちなみに製作総指揮は、『アメリカン・ホラー・ストーリー』などでサラとタッグを組んだライアン・マーフィーと、『カッコーの巣の上で』でも製作を担当したマイケル・ダグラスが名を連ねる。また、『SEX AND THE CITY』のシンシア・ニクソン、『氷の微笑』のシャロン・ストーン、『復讐のドレスコード』のジュディ・デイヴィスら、ますます演技力に磨きをかけたベテラン女優がサラ演じるラチェッドにどう絡むのか? その辺りも注目ポイントに挙げておきたい。

『ラチェッド』(全8話)はNetflixにて配信中。

(文/坂田正樹)

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Netflixオリジナルシリーズ『ラチェッド』