『アレックス・ライダー』新スパイコンビに直撃インタビュー

今年で初版発行から20周年を迎えるアンソニー・ホロヴィッツの人気小説「アレックス・ライダー」。映画化もされた世界的ベストセラーシリーズの2作目を映像化した最新スパイ・アクションドラマがついに海外ドラマ専門チャンネルAXNで日本初放送となる。そんな本作で主演を務めるオット・ファラント(『ミセス・ウィルソン』)と、彼の親友トム・ハリス役のブレノック・オコーナー(『ゲーム・オブ・スローンズ』)に直撃インタビュー。

本作は、育ての親である叔父の死をきっかけに、特別なミッションのためMI6に採用された10代の少年の活躍を描く。

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――ドラマ出演が決まった時の気持ちは?初めてドラマ版の脚本を読んだ時の感想を教えてください。

オット・ファラント:原作シリーズでも2作目の「ポイント・ブランク」が一番好きなので、その実写ドラマの主演を務めると聞いた時は夢が叶った気持ちだった。誇り思えたし、感謝の気持ちでいっぱいだった。

クリエイターでもある脚本家のガイ・バートはキャラクターたちに息を吹きこむことに長けている人で、ドラマ版ではまた新しいエネルギーみたいなのもの見出してくれて、すごく良くできた脚本だと思った。ドラマ性は失わずにキャラクターが持っている元々の特徴だったり原作を誠実に捉えている。人間関係もエモーショナルに描きながらも、テンポを保っている。

そして、オーディションを通じてブレノックとは仲良くなれたので、彼と撮影できることは楽しくなるだろうなって思っていた。

ブレノック・オコーナー:子どもの頃からこの原作シリーズが大好きだし、たぶんイギリスで幼少期を過ごした人だったら、本を読んでなくても『アレックス・ライダー』の存在は知っていると思う。そんなシリーズのドラマ化の脚本を読むというのは、不思議な気持ちでもあったし、感謝の気持ちでいっぱいだった。

実は僕は当初アレックス役でオーディションを受けていたんだ。トムはすごく面白いキャラクターだったから興味は持っていた。最終的に演じることができて、ラッキーだなと思っているよ。

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――このドラマの魅力や注目してほしいところは?

オット:アクション満載で壮大なシリーズになっている。まずルーマニアで撮影をして、そのあとロンドンを回り、色んなところで撮影をしたんだ。各エピソードで違う世界観を描いているから、すごくフレッシュで新しい感じがするね。

――2006年にはアレックス・ペティファー主演で映画化(「Stormbreaker(原題)」)もされていますが、映画版に比べると、スタイリッシュで少しダークさを感じました。その他、映画版との違いを教えてください。

オット:ドラマ版は、よりハードでダークな作品になるかな。でも、本と映画でも描かれているポップさは失わず、そういう面があるからこそまた誰もが共感できる内容になっているから、老若男女問わず楽しめるシリーズになっていると思う。

――演じる上で意識した点は?

オット:アレックスに決まったという連絡が来てからしばらくは、ブレノックとの友情を育むために一緒にいる時間が多かった。

ブレノックが自分の家に遊びに来てくれたときに、映画版のDVDを持ってきてくれて「見る?」って聞かれたんだけど、僕たちは映画の続編を作るわけではなく、ガイ・バートの脚本に沿っての演技になるから結局映画版は見なかったんだ。映画を参考にすることなく、自分たち自身のエネルギーをそれぞれのキャラクターに注ぐことを大事にしていたんだ。

――劇中で親友同士を演じていますが、二人のシーンを撮影する上で印象的なエピソードがあれば、お聞かせください。

ブレノック:面白いエピソードと言ったら、僕の一番のお気に入りの話があるんだけど、この話をすればするほど労災になる可能性を感じているよ(笑) オットは自分でスタントをしたがるんだ。彼は献身的で演技に打ち込む役者だから、大体のことには良いことなんだけど、ただ、時々疲れてしまうと手の動きが鈍くなるんだよね。

第1話で捜査官の鼻をパンチするシーンがあるんだけど、そのパンチをした反動で肘が僕の鼻に当たったんだ。捜査官を演じていたスタントダブルに本当のパンチを入れてしまっていて、それは現場のみんなが見ていたから、テイクが終わった後にスタントの周りに人が集まって「大丈夫?」って確認して、気使っていたんだけど...。実はその時僕は鼻血を出していて「誰かティッシュくれないかな」って状態で、誰も気づいてくれなかったんだ。

オット:このテイクの直後に、アレックスとトムが走り去るシーンがあるんだけど、僕は派手にコケてしまったんだよね。ブレノックにそんなことしたから、因果応報だと思ったよ(笑)

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――最初の撮影は、人里離れた雪山で行われるなど、過酷なアクションシーンを撮影されたようですが、オット・ファラントさんはスパイという役柄のための役作りはどのようにされましたか?

オット:色々トレーニングをやったよ。イスラエルで考案された接近格闘・護身術クラヴ・マガをパーソナルトレーニングつけて学んだんだ。あとは、スノーボードやクライミングもしたし、基本的には体を鍛えたね。

それから、スタントダブルのゲリン・コネリーに色々教えてもらったんだ。彼は本当に素晴らしくて、僕は自分でスタントをやりたいって気持ちがあったから、彼から色々と教えてもらったよ。すごく楽しかった。出来る限りスタントは自分でやるようにしたけど、どうしてもやらせてもらえない部分もあったけどね(笑)

雪山をアイロン台を使ってスノーボードのように降りていくシーンがあるんだけど、それはやらせてもらえなかった。なんでだろう、危険なわけじゃないのに(笑) 役作りのために色々トレーニングしたことを、自分の生活にも取り入れればいいなって思っている。

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――雪山での撮影で印象に残っていることがあれば教えてください。

オット:ルーマニアに行った日、山頂あたりをヘリコプターでグルグル回ってもらってもらったんだけど、それが素晴らしかったんだ。本当にこれは夢なんじゃないかって何度も自分をつねるほどで、幸運だなって思った。自分がスーパースパイで、こんな綺麗な景色で太陽が輝いている中、撮影できているのが信じられなかった。

――大シリーズのドラマ版に出演されて、あなたのファンやご家族、友人からの反響はいかがでしたか?

ブレノック:実は友人からプレッシャーをかけられていたんだ。『アレックス・ライダー』の大ファンの友だちがいて「惨めな演技はするなよ。うまくやれよ」って。実際作品が配信されてその当日に、彼から連絡がきて、「全話みたよ、最高だった」ってお褒めの言葉をもらったよ。

彼は20年ぐらいシリーズとともに成長してきただろうから、こんなに『アレックス・ライダー』と共に生きてきた人に、原作シリーズにふさわしいドラマを作ったと言ってもらえたのは嬉しかった。

オット:とにかく友人や家族、そしてSNSを通しての誰もがポジティブな反応をしてくれて嬉しかったね。「1日の楽しみができて、ありがとう」って言ってもらえたことは最高級の褒め言葉だった。こういう仕事をしているのもたくさんの人に喜びを与えたいという気持ちからだから、誰かにちょっとした1日の楽しみを与えることができて、嬉しかった。

――劇中ではアレックスは知らぬ間に叔父から多くのスキルを教えられ、何カ国語も話せる少年。トムは公式サイトでは次のクエンティン・タランティーノと紹介されるほどの映画が大好きな少年です。お二人のこと紹介するにあたり、役柄同様、これだけは誰にも負けないこと、逆に苦手なことなどご自身のことを教えてください。

ブレノック:誰にも負けないというのは大袈裟かもしれないけど、音楽制作は大好きなんだ。父親のフォークバンドに8歳から参加していて、2年前からは自分が作詞作曲した曲をリリースしているんだ。

この日(取材当時)も新曲「Private Show」をリリースしたばかりなんだ。McGovernという名義で活動しているんだけど、その時々の想いを曲にすることでリフレッシュできるから楽しいんだ。ライブも大好きで、大きな会場であろうとパブの片隅で一人で演奏しているだけでもすごく楽しくて、誰かの前で演奏することは素晴らしいことなんだ。早くライブをしたいね。

オット: 僕の答えはブレノックより軽いものかもしれないけど、学生の時はオタクと言っていいほど数学が大好きだったんだ。もし役者になっていなかったら数学関係の仕事に就いていたと思う。今も数独とかやるのは好きなんだ。クールじゃないと思うけど、日本のみなさんから僕たちの雑学を知ってもらえたら嬉しい。

――アレックスはある事実を知り、人生が一変しました。あなたも何かをきっかけに生き方や考え方が変わったことはありますか?

ブレノック:パンデミックを経験したことで、今まで考えたこともないことをじっくり考えるようになったんだ。何カ月も家にいて昔の体験を振り返り、その時の失敗を自己分析していたよ。分岐点に立ったとき、なぜこの道を選択したのだろうかって。この期間は今後成長するための時間だったと思う。

オット:『スター・ウォーズ』シリーズのジョン・ボイエガが過去に言っていた、「役者として差し伸べられた傘が、メイクや衣装が濡れないためのものではなく、自分のために差し伸べられていると思ったらもう終わりだね」っていう言葉が印象に残っている。演技をしていく上ではその考えを失ってはいけないなと思っているんだ。

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――この先、来日することがあったら、何をしてみたいですか?

ブレノック:実は、日本のことについては何も知らないんだ。日本へ行った友だちから「本当にクールで素晴らしかった」っていうのを聞いてから行きたいってずっと思っている。ただ、何も分からないから、誰かに案内してもらわないとね。

オット:それは本当にそうだよね。とにかく日本に行ったら、普通の日本人と出会い、日本の日常生活を体験してみたい。例えば大阪や東京とか都会を回ったり、探検して、食べ物も色々と試してみたい。日本食は大好きだからたくさん食べたいね。あと、日本のスイーツも試してみたい。おいしいって聞いたんだ!

ブレノック:世界中のどこを回っても観光スポットはあって、誰もがその国に行った時に「あそこに行った」って話になるけど、その街のことをちゃんと理解するには、そこに住む人々と接することが必要だと思うんだ。

――最後に、日本での放送を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

オット:日本の『アレックス・ライダー』のファンの皆さん、こんにちは。このシリーズを楽しんでいただけたら嬉しいです! 今は、このパンデミックで大変だけど、ステイセーフでいてね。いつか会えることを願っているよ。

ブレノック:『アレックス・ライダー』の素晴らしいファンの皆さん、こんにちは。ブレノック・オコーナーです。皆さんが番組を楽しんでもらえて、いつか僕たちが日本へ行って直接、挨拶できることを楽しみにしてるよ。

『アレックス・ライダー』は、10月8日(木)23:00より海外ドラマ専門チャンネルAXNにて日本初放送。

(海外ドラマNAVI)

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