10分以下の番組を集めた"短編専門"配信サービスQuibi、6カ月でサービス終了

今年の4月よりアメリカでの提供が開始された動画配信サービスのQuibi。"quick bites(早く食べられるもの)"の省略であるQuibiは、10分以下という短時間のオリジナル番組を製作し、その斬新なアイデアが話題となっていたが、残念ながらわずか6カ月ほどでサービスを終了することになった。米Hollywood Reporterやその他複数のメディアが報じている。

Quibiは、アニメ映画『シュレック』シリーズのプロデューサーとして知られるジェフリー・カッツェンバーグが設立した動画配信サービス。あまりTVを見る時間がない人に特化したプラットフォームで、どの番組も1話が7~10分という短さで、20億ドル近い資金調達のうえ、今年4月にローンチしていた。

10月21日(水)、カッツェンバーグとCEOのメグ・ホイットマンは今回の決断について、「本日、残念ながら我々はこの事業を終了し、そのコンテンツと技術資産の売却を検討していることを発表します」と、公式文書にて述べた。幹部は、株主に現金を返す準備をしており、事業終了の一環として従業員を解雇し、残った資産の買い手を探すことを発表している。

また、「Quibiは偉大なアイデアで、本当にこのサービスを成功させたいと思っておりました。この失敗の原因は、我々の努力が足りなかったからではありません。あらゆる手段を考え、何とか継続できるようにする方法を模索しました。この結果は誰も望んでいたものではありませんでしたが、多くのことを成し遂げ、才能あるチームが過去2年間このビジネスに注ぎ込んだ血と汗と涙で築き上げたものを誇りに思っています」と従業員らを讃えた。

Quibiはここ数週間、売却の可能性も含めて、今後の方向性を考えてきたという。数億ドルの銀行預金があるにも関わらず、同社が閉鎖の道を選んだということは、カッツェンバーグとホイットマンが事業の長期的な解決策を見いだせていなかったゆえの結果だと言える。

数年前からQuibiのアイデアを温めてきたカッツェンバーグは、2016年にドリームワークス・アニメーションをNBCユニバーサルに売却した後、短時間の動画ビジネスを立ち上げるための準備を始めた。ホイットマンをCEOに迎え、二人はハリウッドの大手スタジオを含む投資家から10億ドルの資金を調達。カッツェンバーグはプロジェクトを立ち上げた後すぐに、サム・ライミ(『死霊のはらわた』シリーズ)、ギレルモ・デル・トロ(『シェイプ・オブ・ウォーター』)などの映画監督と契約しており、当サイトでも注目の新作としてリドリー・スコットの『CURS_R(原題)』やザック・エフロンの『Killing Zac Efron(原題)』といったシリーズを紹介してきた。

90日間の無料トライアルがローンチの時点で発表されたが、その後の月額会費は4.99ドル(広告あり)と7.99ドル(広告なし)。だが、新型コロナウイルスの影響で、通勤もせず家にこもるようになった人々が増えたこともあり、家でゆっくり普通の長さの番組を見るようになった。よって、当初想定していた"外出中の隙間時間などにモバイルで番組を見る"という時間が減ってしまったことが失敗の原因の一つとなったのだろう。Quibiは最終的に、ChromecastやApple TVを介して自宅のテレビでもコンテンツを視聴できるようになっていた。

100以上もあるというQuibiのオリジナルシリーズが今後どうなるかについては、現在のところ何もわかっていない。リアム・ヘムズワースのアクションスリラードラマ『Most Dangerous Game(原題)』などいくつかのプロジェクトがすでに更新されているが、今後に関しては未定のようだ。(海外ドラマNAVI)

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