ジュード・ロウが孤島の恐怖に追い詰められる!『サード・デイ ~祝祭の孤島~』のかつてない戦慄

オープニングから主演のジュード・ロウが尋常じゃない。電話をしながら相手に意味不明なことを訴えている。何かとんでもないことが起きる予感...。一気に引き込まれた視聴者は、もうこのドラマから逃れられない。早くも話題沸騰のミステリードラマ『サード・デイ ~祝祭の孤島~』。ブラッド・ピット率いるプランBと米HBOの最強タッグが、ドラマ界に新たな挑戦状を突きつける。【ドラマ・レビュー】

『サード・デイ』は、前半3話がジュード・ロウ主演の「夏」、後半3話は映画『007』シリーズのマネーペニー役で知られるナオミ・ハリス主演の「冬」という全6話構成。不気味な孤島オシー島で3日間を過ごすことになった主人公たちの恐怖体験が描かれる。脇を固めるのは、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズのキャサリン・ウォーターストン、『チェルノブイリ』のエミリー・ワトソン、『アウトサイダー』のパディ・コンスタイン、『ザ・クラウン』のマーク・ルイス・ジョーンズら海外ドラマファンにもおなじみの面々。

舞台となるオシー島は、ロンドンから約80キロ離れた人口100人弱の孤島。1日2回の干潮時に海面からワインディングロード(俯瞰からのショットがミステリアスで美しい!)が現れ、本土から車で渡ることができる。ただし車以外の交通手段なし、携帯電話もほぼ不通、干潮のタイミングを逃すと足止め必至。チャリントン神父という先祖が"奇妙"なしきたりのいしずえを作り、島民が不気味な祝祭を崇めている。もはや、完全なる恐怖の舞台設定!

そしてこの孤島に、あれよあれよと"収監"されてしまうのが、ジュード演じる主人公サム。オシー島の少女エポナをある危機から救出したサムは、彼女を島まで送り届けるが、アクシデント(いや、島民の妨害か?)によって干潮を逃し、やむなく島にとどまることに。ここからジワジワと恐怖がサムを精神的に追い詰める。

白黒区別がつかないグレーな島民の態度、腹を切り裂かれた生き物の死骸、虐殺を嗜好する島のおぞましい歴史...。次第に明らかになっていくオシー島の本性に怯えるサムを横目に、島民たちは奇妙な祝祭の準備に笑顔を浮かべながら精を出す。カルトな祝祭が恐怖を生んだ映画『ミッドサマー』さながらの光景だが、帰りたくても帰れない、携帯電話もつながらない、この八方塞がりの状態が視聴者にもリアルに伝わり、擬似体験を強いられる。

もう一つの謎は、被害者であるはずのサムの中にある闇だ。森の中で狂ったように号泣し、時折ボーダー柄Tシャツの謎の少年が現れる。何より、初めて来たはずなのに、なぜかオシー島の風景に見覚えが...。閉鎖的かつ排他的状況に加えて、トラウマらしきサムの心の叫びが、このあとどう絡んでいくのか。まずは「夏」の恐怖の結末を心して見届けたい。

『サード・デイ ~祝祭の孤島~』はAmazon Prime Videoチャンネル 「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」にて、毎週金曜日に新エピソードを配信。また、12月18日(金)まで第1話が無料配信中だ。

(文/坂田正樹)

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