今、英国歴史ドラマが愛される理由とは?Netflix『ブリジャートン家』の魅力

これまで、英国の歴史ものは主に映画を主戦場として製作されてきたが、近年、TV界では私たちも見やすいような要素を取り入れた歴史ドラマの製作に力を入れている。昨年末よりNetflixにて配信がスタートした『ブリジャートン家』もその一つ。衣装やセットデザイン、上流階級の言葉遣いなど、視聴者が受け入れやすいようにこだわっているという。そんな『ブリジャートン家』の魅力について英Independentが伝えた。

ジュリア・クインのベストセラー小説が原作の『ブリジャートン家』は、ロンドン上流社会の権力者であるブリジャートン家の兄弟姉妹8人それぞれの恋愛模様を描く歴史ロマンスドラマ。

脚本とショーランナーを務めるのは、これまで『スキャンダル 〜託された秘密』『グレイズ・アナトミー』といった人気シリーズを手がけてきたクリス・ヴァン・デューセン。制作は『スキャンダル』『グレアナ』を生み出した人気クリエイター、ションダ・ライムズの制作会社ションダランドが担い、豪華なセット、強烈な人間関係、ドラマチックな展開など、ライムズの作品に期待される全ての要素が揃う。

ヴァン・デューセンは1995年にBBCでTV映画として実写化された『高慢と偏見』が好きな時代劇の一つだというが、『ブリジャートン家』にはこれまで手がけてきた『スキャンダル』や『グレアナ』で培った感覚を反映させたいと考えているそうだ。

「私はおもしろい時代劇が大好きですが、時代劇というものは伝統的で保守的なものだと思われているような気がします」とヴン・デューセン。「『ブリジャートン家』は活気があり、型破りな作品です。話すテンポは早く、ジョークも交えており、伝統的な時代劇では得られ難いほどにセクシーです」

また、『ブリジャートン家』では人間の物語に焦点を当てることが軸となっており、当時の人々と現代の人々の間には時代を超えて多くの共通点があることに気づけるという。時代劇では家父長制社会が当たり前のように描かれるが、現代製作される歴史ドラマには、そのシステムに反抗しようとするキャラクターも存在している。『ブリジャートン家』にも、結婚に興味のない娘や、自分らしさを探す娘、家族からの期待にプレッシャーを感じる息子などが登場する。

そんなキャラクターたちを演じるキャストも多様化しており、ヘイスティング公爵を演じるレゲ=ジャン・ペイジ(ジンバブエ出身)のようにアフリカ系の俳優が欧州の歴史ドラマで上流階級の人物を演じることは珍しいこと。しかし、ヴァン・デューセンは"カラーブラインド"でキャスティングしたわけでも、『ブリジャートン家』の世界を"ポスト人種社会"にするつもりもないのだという。

「カラーブラインドであるということは、肌の色や人種は考慮しないということ。それは『ブリジャートン家』には当てはまりません。肌の色と人種は、階級、ジェンダー、セクシュアリティと同じくらい作品の一部になっているのです」とヴァン・デューセンは説明。

史実に忠実な物語を求める人にとっては受け入れ難いかもしれないが、歴史ドラマに現代の要素を取り入れることで、凝り固まった過去と現在を分けて考えるのではなく、現代を生きる私たちにも通じるものとして考えることができるようになると、アカデミー賞10部門ノミネート映画『女王陛下のお気に入り』の脚本家トニー・マクナマラは説明しており、彼が手掛けるTVシリーズ『THE GREAT』も18世紀のロシアを舞台にした歴史ドラマとして人気を博している。

歴史ドラマで描かれる"愛、嫉妬、情熱"といったテーマは、その舞台設定から200年以上経った今でも人々の心に響くようだ。Netflixオリジナルシリーズ『ブリジャートン家』は独占配信中。(海外ドラマNAVI)

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Photo:

『ブリジャートン家』©LIAM DANIEL/NETFLIX