『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』シーズン8におけるマイク・フランクス(ミューズ・ワトソン)の死は、脚本家にとって、決して納得のいくものではなかったという。ドラマ初期の重要な準レギュラーであり、主人公リロイ・ジェスロ・ギブス(マーク・ハーモン)のメンターでもあったフランクス。彼はシーズン8第23話「未知なる恐怖」にて、連続殺人犯ポートキラーに胸を刺され、非業の死を遂げた。この衝撃的な展開の裏には、クリエイティブ面での激しい葛藤があった。
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製作総指揮の独断に猛反対「絶対にやるべき手法ではない」
2024年に配信されたポッドキャスト番組『Off Duty: An NCIS Rewatch(原題)』に出演した脚本家のジェシー・スターンは、当時の製作総指揮であった故ゲイリー・グラスバーグからフランクスを退場させる方針を告げられた瞬間のリアクションを振り返っている。
「ゲイリーからマイク・フランクスを殺す予定だと言われたんです。でも、フランクスはそのシーズン、それまで一度もエピソードに登場していませんでした。だから私は思わず、冗談でしょう? 彼を殺すためだけにわざわざ登場させるんですか?と言い返してしまいました。さらに“そんなことをしたら、視聴者全員に展開が読まれてしまいます。それは絶対にやるべき手法ではない”と主張したんです。なんとかその決定を思いとどまらせようと説得を試みましたが、彼の意志は固く、方針が変わることはありませんでした」
フランクスは、当時患っていた末期の肺がんによって静かに最期を迎えるのではなく、多くの視聴者を驚かせるような凄惨な暴力的死を迎えることになった。この退場のさせ方についてはファンの間でも賛否両論が巻き起こったが、それから年月が経った今でも、彼は番組のファンから深く愛され続けるキャラクターであり続けている。
「幽霊」としての復活、脚本家が仕掛けた執念の布石
幸いだったのは、彼の死後もシリーズに何度も姿を現したことだ。フランクスを排除するという決定に納得がいかなかったスターンは、彼が何らかの形で再び物語に戻ってこられるよう、しっかりと道筋を残しておいたのだ。ポッドキャストの中で、スターンはこう説明している。
「あれが私にとって本作での最後の脚本でした。だからどうせやるなら、文字通り“スワンソング(最後の晴れ舞台)”にしてやろうと思ったんです。視聴者の裏をかくような方法で、そして演じる役者がいつでも戻ってこられるような形で彼を退場させようと決めました」
実際、シーズン9からシーズン15にかけて、マイク・フランクスは回想シーンや、時にはギブスの前に現れる幽霊(幻影)という形で同役を再演し続けた。たとえ命を落としても、フランクスはそのスピリチュアルな存在感を通じて、ギブスが複雑な事件を解決し、困難な決断を下すのを助け続けたのである。
最新スピンオフ『NCIS: オリジンズ』へも奇跡のカムバック
さらに彼の執念は、2025年に放送されたスピンオフの前日譚ドラマ『NCIS: オリジンズ』でのゲスト出演という形で結実する。シーズン2第5話の劇中、カイル・シュミット演じる若き日のフランクスが、あるシークエンスの中で一時的に「年老いた未来の自分」へと姿を変えるという、ファン胸熱の演出がなされたのだ。
キャラクターとしては早期に殺害されてしまったマイク・フランクス。しかし、番組側は彼の持つ影響力がその後も『NCIS』フランチャイズ全体に脈々と息づき、感じられ続けるように計らったと言える。
『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』シーズン1~21はHuluで配信中。『NCIS:オリジンズ』シーズン1~2はWOWOWオンデマンド、JCOM:Streamにて配信中。(海外ドラマNAVI)







