現在公開中の映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』より、監督・脚本・製作を務めるジョン・ファヴローに直撃インタビュー! 特撮技術へのこだわりや、本作に込めた世代を超えて共有できる映画体験の価値、そしてジョージ・ルーカスから受け継いだ希望のメッセージについて語ってもらった。
『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』ジョン・ファヴロー監督 インタビュー
予算と時間がもたらした「手作り」の魔法
――ドラマシリーズと比べると予算も大幅にアップしていますが、映画だからこそチャレンジできたことはありますか?
予算だけでなく、時間をかけられたことも大きいです。ドラマシリーズでは少ししか登場させられなかったゼブにアクションシーンを用意して活躍させたり(注:シーズン3第5話にも登場)、惑星ナル・ハッタを描いたりすることができました。また、フィル・ティペットのスタジオによるストップモーションや、ミニチュアの撮影にもじっくりと取り組むことができました。
そして何より最大のチャレンジはセットです。ドラマシリーズのようにボリューム(巨大LEDスクリーンを使ったバーチャルセット)に頼る必要がなく、実際に雪山やビーチなど、カナダを含めたさまざまなロケーションへ行って撮影することができました。これはドラマシリーズではできなかったことです。
効率化が進む現代において、時間と手間をかけて作られた「手作りの映画」には特別な価値が生まれます。私たちの情熱がこもった映像を通じて、観客の皆さんにその熱量が伝わると信じています。

――本シリーズの魅力といえば、最新テクノロジーと職人技の絶妙なバランスだと思います。先ほどお話にも出たストップモーションについて、取り入れることになった背景を教えてください。
まず第一に、私自身が大好きだからです(笑)。これまでにもストップモーションを使ってきましたが、常に使い続けたいと思っていました。パペットやミニチュア、ストップモーションを使うことで、そこに「わびさび」が生まれます。もちろん本作でも美しい最新のCGI技術を使いますが、古い技術と新しい技術を同じ世界に融合させられるのは「スター・ウォーズ」ならではです。『アイアンマン』などのマーベル作品にも携わってきましたが、それらはマーベルではできません。
本作は、ベビーヨーダを知っているくらいの新しい観客も楽しめるように、ストーリー自体はとても普遍的でわかりやすいものにしています。しかし、そのディテールや特撮技術はコアなファンのためのものです。CGIのキャラクターとパペットが同じシーンに登場することで、私たちが10歳の頃に初めて出会い、恋に落ちた当時の「スター・ウォーズ」とのつながりを実感できるのです。

――本シリーズは『子連れ狼』などから影響を受けていると公言されていますが、『マンダロリアン・アンド・グローグー』における日本文化からの影響について教えてください。
劇中に登場する賞金稼ぎのエンボは『七人の侍』の久蔵からインスピレーションを得ています。また、今作の撮影にあたって、ペドロ・パスカルには『用心棒』を観るように頼みました。ジョージ・ルーカスが日本映画から多大なインスピレーションを受けているので、彼の「スター・ウォーズ」につながるためには、日本映画を観る必要があったからです。

――劇中ではマンドーとグローグーの寿命の差についても言及されていました。今後、二人の別れまでを描く構想はあるのでしょうか?
物語がどこへ向かうかはまだ分かりません。その件についてはデイヴ・フィローニと二人でよく話し合っています。デイヴは「スター・ウォーズ」全体のより大きなビジョンを持っているので、その中で二人の物語がどうフィットしていくかを見極めていく必要があります。
家族で共有する「映画体験」の価値
――『マンダロリアン』シーズン2のドキュメンタリーで「家族みんなで一緒に見て感動を共有できる作品こそが名作だ」とおっしゃっていましたが、まさに本作は複数の世代で楽しめる作品だと思います。娯楽が個人で消費されるようになった現在において、本作を映画館で公開する意義についてお聞かせください。
私はまさに、家族でエンターテインメントを共有する環境で育ちました。当時は一家に一台しかテレビがなく、家族みんなで一緒に映画を観ていたのです。現代は誰もがスマートフォンを持ち、アルゴリズムによって自分だけのコンテンツを消費し、孤立化しています。だからこそ、今こそみんなで集まって共有できるエンターテインメントが恋しくなっているのだと思います。
世代を超えて一緒に映画を観ることで、どんな物語に価値を置くべきかを私たちは学びます。私も10歳の時に父に連れられて「スター・ウォーズ」を観に行き、そこから映画の虜になりました。そして「スター・ウォーズ」にインスピレーションを与えた日本映画など、多くの作品について学ぶようになったのです。
若い人たちは最新のテクノロジーを好みますが、一方で人と集まることも求めています。技術がどれだけ進歩しても、人間の本質はそこまで変わらないのだと思います。

ジョージ・ルーカスから受け継ぐ「希望のメッセージ」
――ジョージ・ルーカスには本作を見せましたか?
彼はロサンゼルスに美術館「ルーカス・ミュージアム・オブ・ナラティブ・アート」を開設する準備で忙しく、まだ作品は見ていません。でも絶対に気に入ってくれるはずです。
以前、彼から番組作りについてアドバイスをもらった際、「常に若い観客を意識しなさい」と言われました。神話というのは、先人たちの知恵や教訓を若い世代に伝えるためのものだからです。
ジョージ・ルーカス作品の持つ教訓はとても古くからある普遍的なものですが、その最大のメッセージは「希望」です。どんなに弱く見える小さなキャラクターでも、心を持ち、協力し合って学べば、デス・スターだって倒すことができる。とても危険な世界を描いていますが、そこには素晴らしい希望のメッセージが込められているのです。
『マンダロリアン・アンド・グローグー』公開情報
『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』は、大ヒット公開中。『マンダロリアン』シーズン1~3はDisney+(ディズニープラス)にて独占配信中。(海外ドラマNAVI)





