『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティ・マクフライ役で世界的な人気を博したマイケル・J・フォックスが、新著「Future Boy」の中で、当時のテレビドラマ『ファミリータイズ』との同時撮影という超人的なスケジュールと、それに伴う知られざるエピソードを明かした。
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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』マイケル・J・フォックス、Apple TV+ドラマで俳優復帰
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共演者が抱いていた複雑な感情:「偽物だと思っていた」
製作陣は、当初マーティ・マクフライ役を演じていたエリック・ストルツが適任ではないと判断し、撮影開始から数週間後に降板させるという異例の事態が起こった。リーは、降板させられたストルツと映画『ワイルド・ライフ』で共演した友人同士であったため、マイケルへの複雑な感情を抱いていたという。
さらに、当時のハリウッドには「映画俳優がテレビ俳優より格上」という厳格な序列が存在した。テレビドラマ『ファミリータイズ』で人気を博していたマイケルについて、リーは「テレビ俳優と仕事をする心構えができていなかった」とマイケルはPEOPLE誌の新しいインタビューで語っている。現在も友人関係にあるリーについて、「彼女はそのことにとても正直で、本当に優しかった」と語り、当時の心境を「僕のことを偽物だと思っていて、友人がもう映画に出ていないことに腹を立てていた」と続けた。
極度の疲労とプレッシャー:準備ゼロで撮影に飛び込む
当時、マイケルは『ファミリータイズ』との同時撮影という、想像を絶する過密スケジュールにより、極度の疲労とプレッシャーにさらされていた。
その凄まじいスケジュールは、昼間にパラマウント・スタジオでドラマの収録に臨み、夜になると『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の撮影現場でマーティを演じるというものだった。帰宅後は数時間しか眠れず、再びテレビ収録に戻るという、まさに超人的なスケジュールをこなしていたのだ。
実は、マーティ役の第一候補は、もともとマイケルだったがドラマのクリエイターであるゲイリー・デヴィッド・ゴールドバーグがドラマに専念させるために出演を断っていたという経緯がある。エリック・ストルツの降板後、ゴールドバーグはエピソードの撮影に支障をきたさない条件で出演を認めた。これに伴い、スケジュールはテレビ収録に合わせて組み直され、多くの撮影済みシーンも再撮影が必要となった。
すでに映画は撮影の半ばに差しかかっていたため、マイケルには役作りの準備をする「時間がまったくなかった」と語る。「本の中で、映画では皆が同じ言語を話すための共通の感覚を見つけなければならないと語っている。でも僕にはそれを作る時間がなかった。飛び込んで、自分の演技が全体とうまく噛み合うよう祈るしかなかった」と当時の苦悩を吐露した。
「皆にとって非常に高いリスクが伴う作品だった。ただうまくやりたいと思っていた」と振り返っている。
過酷な状況で撮影に臨んだマイケルが、自身の演技を客観的に評価できるようになったのは、それから何年も経ってからのことだった。
ある年のクリスマス、妻トレイシー・ポランと子どもたちと一緒にツリーを飾っていたとき、別の部屋から『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のオープニング音楽が聞こえてきた。マイケルは「引き寄せられるように見入ってしまってね。30分、いや45分くらい経ってからトレイシーに『どこ行ったの?』って呼ばれたんだ」と振り返る。
そのとき、彼はトレイシーにこう告げたという。「これ、本当にいい映画だよ。僕も本当にいいね」
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズはU-NEXTなどで配信中。新著「Future Boy」はAmazonなどで販売中。
(海外ドラマNAVI)
参考元:People